仮想システム統合により、プロトタイプ ハードウェアへの依存度が低減され、製品開発サイクルのどの段階においても、すべてのエンジニアがシステムに仮想的にアクセスできるようになります。Simulink® を使用すると、物理ハードウェア、組み込みソフトウェア、アルゴリズム、およびシステムが動作する環境で構成される複雑な仮想システムのモデル化、シミュレーション、および解析を行うことができます。
Simulink では、次のような作業が可能です。
- 直感的なアーキテクチャモデルを使用してシステム アーキテクチャを記述
- ドメイン固有のツールとあらかじめ用意されたブロックを使用して、複数のドメインにまたがるシステムをモデル化
- すぐに実行できる再利用可能なコンポーネントにより、メンテナンスしやすい大規模モデルを開発
- 1 つのシステムレベル シミュレーションにさまざまなチームやツールのコンポーネントを簡単かつ堅牢に統合
- シミュレーションと解析により、システムの動作を理解し、妥当性を確認
- マルチコア デスクトップ、コンピューター クラスター、またはクラウドで大規模なシミュレーション ジョブを並列実行
- スタンドアロンの実行可能ファイル、Web アプリ、および Functional Mockup Unit (FMU) としてシミュレーションをデプロイ
「ハードウェアの検証と妥当性確認の機能を備えたシミュレーション環境を提供するツールは他にはありません。1 つの環境で、これらの機能を得られるのです。MATLAB と Simulink を使用する理由はそこにあります。」
Dr. Deepak Mishra, Indian Space Research Organization
ユーザー事例
システム アーキテクチャの記述
System Composer™ を使用して、システム アーキテクチャを指定し、解析します。詳細な Simulink 実装モデルへの橋渡しとなる、記述的なシステム アーキテクチャ モデルを作成します。接続された環境により、アーキテクチャと設計ワークフローの項目が常に同期されます。
これらのアーキテクチャモデルを使用して、仮想システムのテンプレートを作成します。事前定義済みの構造を使用して、システム シミュレーションを構成し、仮想システムを自動的に組み立てます。
複数のドメインにまたがるシステムのモデル化
複雑な仮想システムには、複数のドメインのコンポーネントが含まれる場合があります。連続時間、離散時間、およびハイブリッドのシミュレーション コンポーネントを、Simulink を使用して 1 つのモデルに構築します。また、Simulink モデルは、Stateflow® でステートマシンを使用した組み合わせおよび順序論理を含めたり、SimEvents® でエージェント (3:06)とイベント駆動型プロセスを表現したりできます。物理システムのモデルは、Simscape™ を使用して記述します。
Simulink では、あらかじめ用意されたブロックを使用して産業分野別のアプリケーションを設計できるため、ブロックを自分で作成する必要はありません。たとえば、自動車のパワートレインには Powertrain Blockset™、航空機の推進システムには Aerospace Blockset™、オーディオシステムやビデオシステムには信号処理ツールを使用して、ブロックを使用したモデリングとシミュレーションを行えます。
メンテナンスしやすい大規模モデルの開発
サブシステムとモデル参照を使用したシステムのコンポーネント化により、Simulink で大規模で複雑な設計を作成します。これらの手法を使用することで、大規模なモデルを組み立て、シミュレーションを行うことができます。カスタムライブラリを構築して、組織内でパーツやコンポーネントを共有し、再利用します。モデル参照を使用して、他のチームメンバーと同時に設計を進め、システムに統合する前にコンポーネントを個別に検証します。モデルの DevOps ワークフローを導入するには、Jenkins™ などの継続的インテグレーション (CI) システムで MATLAB® ユニット テスト フレームワークを使用してテストを実行します。
複数のソースからコンポーネントを統合
Simulink を使用して、異なる取得元からの設計コンポーネントを 1 つにまとめます。50 種類以上の Simulink 向けアドオン製品や 100 種類以上のモデリングおよびシミュレーション接続パートナーのブロックライブラリやコンポーネントを使用できます。Simulink を使用して、MATLAB、C/C++、Python、その他の言語で書かれたコードを設計に取り込みます。
Simulink は、Functional Mock-Up Interface (FMI) などのオープンなシミュレーション規格をサポートしています。Simulink の FMI インポートブロックを使用して、外部の FMU を取り込みます。ROS や DDS などのミドルウェアを通じて、外部のシミュレーション フレームワークを統合します。
モデル次数の削減手法を使用して、さまざまな忠実度でモデル化されたコンポーネントを結合し、モデル全体のコンポーネントの忠実度を管理して一致させることができます。
シミュレーションと解析
システム シミュレーションを使用すると、モデリング時にシステムの設計上の問題を検出し、修正できます。シミュレーションのペーシングを使用して、指定した速度でシミュレーションを実行し、システムの動作を明確に観察します。シミュレーションのステップを進めたり戻したりすることで、システムに対する洞察を深め、予期しない動作の原因を理解します。
ダッシュボード ブロックを使用して、パラメーター値を対話的に制御し、一連の信号がどのように反応するかを確認します。シミュレーション データ インスペクターを使用してシミュレーション データのログを記録し、結果を表示および比較します。MATLAB を使用してさらに詳細な解析を行います。
クラスターやクラウドでの大規模なシミュレーション ジョブの実行
Simulink を設定して、モンテカルロ・シミュレーション、設計最適化、自動テスト (4:17)などのタスクを実行し、仮想システムのすべての設計ケースをカバーします。クラスターまたはクラウドでシミュレーション ジョブを実行することで、システム設計の洞察を迅速に取得できます。Simulink で [複数のシミュレーション] パネルを使用すると、スクリプトを作成せずに大規模なシミュレーション ジョブを作成できます。シミュレーション マネージャーを使用して、シミュレーションの進行状況や結果を監視、検証、可視化します。
Simulink は、シミュレーション中にデータストリーミングを使用してデータを段階的にメモリに読み込み、記録します。シミュレーション データは、一度に 1 チャンクずつ処理され、データセット全体をメモリに読み込む必要はありません。そのため、ビッグデータを使用し生成する大規模なシミュレーションでも、システムメモリのボトルネックが解消されます。
シミュレーションのデプロイ
適切な機能レベルを選択して、共同作業者、サプライヤー、および顧客とシミュレーションを共有します。Simulink Compiler™ を使用すると、モデルからシミュレーション アプリを自動生成し、スタンドアロンの実行可能ファイルまたはブラウザーベースでアクセスできる Web アプリにコンパイルすることができます。
モデルから FMU をエクスポートして、外部のシミュレーション環境で使用できます。また、モデルの Web 表示、生成コード、パスワード保護などをオプションで追加することができる保護されたモデルとしてモデルを共有することもできます。
Simulink を使用したシステム設計およびシミュレーション
バーチャル車両
さまざまなシナリオで仮想テストを実行し、車両の動作に関する洞察を得る
通信システム
エンジニアによる RF フロントエンドやアンテナアレイなどの無線通信システムの設計とシミュレーションを支援
ミックスドシグナル システム
PLL、データコンバーターなどのアナログシステムおよびミックスドシグナル システムを解析、設計、検証
自動運転システム
自動運転の知覚、計画、制御システムの設計を推進
ロボティクスおよび自律システム
知覚から運動への自律型アプリケーションを開発し、システムレベルの動作を最適化
メカトロニクス システム
物理サブシステムを制御システムおよび組み込みソフトウェアと統合することにより、メカトロニクス システムをモデル化、シミュレーション、検証