モンテカルロシミュレーションとは、ランダムに生成された入力に対してモデルがどのように反応するかを調べるための手法です。一般的に次の3つの手順で行われます。
- ランダムにN個の入力 (シナリオと呼ばれることもある) を生成
- N個の入力のそれぞれについて、シミュレーションを実行。シミュレーションは、分析対象となるシステムの電算化/コンピュータリゼーションされたモデル上で実行される。
- シミュレーションの出力を集約し、評価。一般的には、出力の平均値、出力値の分布、出力値の最小値または最大値などを評価する。
モンテカルロシミュレーションを用いて解析するシステムには、金融モデル、物理モデル、数学モデルなどがあります。シミュレーションは互いに独立しているため、モンテカルロシミュレーションは並列計算技術に適しており、計算時間を大幅に短縮することができます。
MATLABでのモンテカルロシミュレーション
MATLAB®言語は、モンテカルロシミュレーションのモデルを構築し、そのシミュレーションを実行するために使用できる、さまざまな高レベルの数学関数を提供します。MATLABは、金融モデリング、天気予報、オペレーション分析など、幅広い用途に使用されています。
金融モデリングにおいて、モンテカルロシミュレーションは、価格、レート、経済予測、リスク管理、ストレステストなどに活用されています。Financial Toolbox™は、確率モデルの構築と評価を行うための確率微分方程式のツールを提供します。Risk Management Toolbox™は、コピュラモデルの適用を含むクレジットシミュレーションを容易にします。
Statistics and Machine Learning Toolbox™では、連続および離散の入力を生成するために、さまざまな確率分布が用意されており、入力をより細かく制御することができます。
Simulinkでのモンテカルロシミュレーション
Simulink®では、コントローラ、モーター、ゲイン、その他のコンポーネントを表現するマルチドメインシステムをモデル化し、シミュレーションすることができます。このような複雑なシステムの設計とテストには、要件や動作に最も影響を与えるモデルパラメータの特定、シミュレーションデータの記録と分析、システム設計の検証など、複数のステップがあります。
モンテカルロシミュレーションでは、パラメータスイープを実行し、デザインスペースを探索し、複数のシナリオをテストし、これらのシミュレーション結果を統計的分析によって設計プロセスの指針とすることで、設計の信頼性を高めることができます。Simulink Design Optimization™は、この感度分析を行い、Simulinkモデルの設計に影響を与えるインタラクティブなツールを提供します。
モンテカルロシミュレーションの並列実行
モンテカルロシミュレーションのパフォーマンスを向上させるに、Parallel Computing Toolbox™やMATLAB Parallel Server™を使って、計算を複数のコアに分散して並列実行することができます。
リソース
ドキュメンテーション、例、ビデオ等を通じて、さらに知識を深めましょう。
さらに学ぶ
- オペレーショナルリスクを測定するためのシナリオ分析モデルの開発と導入 - ユーザー事例
- モンテカルロ法によるシステムモデルの改善テクニック - AIAA Paper
- モンテカルロシミュレーションとロバスト性解析 - File Exchange
- 感度解析ツールを使用した設計の探索 (5:01) - ビデオ