Powertrain Blockset

自動車パワートレイン システムのモデル化とシミュレーション

 

Powertrain Blockset™ は、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、および電気システムなどの、自動車パワートレインの組み立て済みリファレンス アプリケーション モデルを提供します。これには、エンジンサブシステム、トランスミッション アセンブリ、トラクションモーター、バッテリーパック、およびコントローラーモデルをシミュレーションするためのコンポーネント ライブラリが含まれています。また、Powertrain Blockset には、仮想テストに使用する動力計モデルも含まれています。MDF ファイルのサポートは、データインポートのためのキャリブレーション ツールへの標準規格に基づくインターフェイスを提供します。

Powertrain Blockset は開発プロセス全体で再利用できる標準的なモデルアーキテクチャを提供します。これは、設計のトレードオフ分析やコンポーネントのサイズ設定、制御パラメーターの最適化、ハードウェアインザループ テストに使用することができます。リファレンス アプリケーションのコンポーネントを独自のデータでパラメーター化したり、サブシステムを独自のモデルに置き換えたりすることで、モデルをカスタマイズすることができます。

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パワートレイン システムのモデル化

リファレンス アプリケーション

Powertrain Blockset は、パワートレイン システム モデルの出発点として、ガソリン (火花点火、SI)、ディーゼル (圧縮点火、CI)、ハイブリッド、および電気の自動車システムなどの、組み立て済みリファレンス アプリケーションを多数提供しています。プロジェクトでパワートレイン システムをモデル化するには、パワートレインの種類に基づいてリファレンス アプリケーションを選択することができます。それぞれのリファレンス アプリケーションには、プラントモデル、コントローラー、前後方向ドライバー、およびドライブ サイクル データが含まれます。

リファレンス アプリケーションには、 Simulink® プロジェクト の設定が含まれます。Simulink プロジェクトにより、最上位モデルのファイル、コンポーネント モデルのファイル、およびスクリプトの管理とバージョン制御が可能になります。

ガソリン パワートレイン リファレンス アプリケーションの最上位モデル。

プロジェクトに合わせてカスタマイズされたシステムモデル

リファレンス アプリケーションはシステムモデルの出発点となります。パワートレイン プロジェクトに合わせてリファレンス アプリケーションをカスタマイズするには、ドメイン固有のツール、テストベンチ、または車両からのデータを使用して、リファレンス アプリケーションのコンポーネントをパラメーター化します。アプリケーションやパワートレインの設定に応じて、コンポーネントモデルの種類を選択し、システムモデルをさらにカスタマイズすることが必要になる場合があります。

Powertrain Blockset のコンポーネント ライブラリは、次のための物理システムとコントローラーを提供します。

  • 推進
  • トランスミッション
  • ドライブトレイン
  • エネルギー貯蔵
  • 前後方向の車両運動
  • ドライブサイクルのデータと前後方向ドライバー

Powertrain Blockset のすべてのモデルは、リファレンス アプリケーションやライブラリ内のコンポーネントなどを含め、すべて自由にカスタマイズできます。Simulink プロジェクトを使用して、バリアントの選択、バージョンの管理、および比較など、 モデルのバリアント を管理することができます。

ガソリン パワートレイン リファレンス アプリケーションの Simulink プロジェクト。

マップ形式および動的内燃エンジンモデル

Powertrain Blockset は、マップ形式と動的という 2 種類の内燃エンジンモデルを提供します。マップエンジンは、マクロのエンジン挙動を、指令された負荷と計測されたエンジン速度の関数としての一連のルックアップテーブル (ブレーキトルク、燃費フロー、空気流量、排気温度、効率、およびエミッション) として表現します。動的エンジンは、エンジンの挙動を、吸入空気流量とターボチャージャーのダイナミクスなどのエンジンダイナミクスを考慮する個別のコンポーネントモデルに分解します。

アプリケーションに基づいてエンジンモデルの種類を切り替えることができます。動的エンジン モデルは、閉ループ AFR 制御アルゴリズム開発など、動的なサブシステムの状態に依存する制御、推定器、および診断アルゴリズムの設計に適しています。マップエンジンモデルは、燃費、エミッション、および性能のトレードオフのためのエンジンとトランスミッション パワートレインのマッチング解析など、エンジンサブシステムの動的特性を必要としない解析と設計の作業に適しています。

SI と CI エンジンモデルはともに ハードウェアインザループ (HIL) テストでリアルタイム実行されます。

動的 SI エンジンモデル。

電動パワートレイン コンポーネント

Powertrain Blockset には、電気や複数モードのハイブリッド電気など、共通の電動パワートレイン用のリファレンス アプリケーションが含まれています。これらのリファレンス アプリケーションでは、モーター、ジェネレーター、およびエネルギー貯蔵などの電動パワートレイン コンポーネントを自由に設定してパラメーター化することができます。

たとえば、 Simscape Electrical™ のブロックを使用して、パワー エレクトロニクスのスイッチングの影響を取り込み、電気の効率と損失を予測することができます。

電気モーターブロック。

コントローラーモデルの設計およびテスト

組み込みコントローラーモデル

Powertrain Blockset は、内燃エンジン、トランスミッション、および電気モーターなどのサブシステム用に、単純なコントローラーモデルを提供します。これらのコントローラーモデルには 2 つの重要な目的があります。

第 1 に、コントローラーモデルによりパワートレインのシステムモデルを完成させます。これは、トランスミッション コントローラーと車両の他のシステムとの相互作用をテストする際などに重要です。システムモデルのエンジンにエンジン コントローラーを含めることで、シミュレーションにおけるシフトイベント中のトランスミッションとエンジンとの間の相互作用を再現することができます。

第 2 に、組み込みコントローラーモデルはコントローラー開発の出発点となるので、ゼロから構築する必要はなくなります。コントローラーモデルは業界の標準的な手法に基づいており、 Simulink® の最新機能を採用しています。

SI エンジン コントローラーの空気サブシステムでのカムフェーザー制御

ユーザー定義のコントローラーモデル

各リファレンス アプリケーションのコントローラーモデルは、モジュールおよび階層方式で設計されています。独自のコントローラーを開発する場合、組み込みコントローラーの各コンポーネントを入れ替えることができます。この方法により、リファレンス アプリケーション モデルを仮想動力計、または仮想車両として使用し、コントローラーを段階的にテストすることができます。1 つの機能から始め、プラントモデルに対する統合テストのため、より全体的なコントローラーモデルへと機能モデルをまとめていきます。

組み込み CI エンジン コントローラーで機能モデルを独自のモデルに変更。

組み込み推定器

組み込み推定器は、物理センサーが使用できないときにセンサーを除去、または仮想センサーを実装するために、制御設計で幅広く使用されます。内燃エンジン コントローラーには、トルク、排気温度、EGR フロー、背圧、空気量、マニホールド圧、AFR、およびエンジン負荷を推定する状態推定器が含まれています。独自の推定器を開発する場合、最初の設計と構築における労力を低減できる、これらのモデルコンポーネントの利点を活かすことができます。また、これらの推定器はエンジン プラント モデル内の対応するサブシステムと同一になります。そのため、エンジン プラント モデルがパラメーター化されると、推定器用にパラメーター値を自動的に再利用することができます。推定器のモデルは Embedded Coder® を用いて ECU 実装用に設計されています。

システム設計のトレードオフ分析の実行

コントローラーの設計とテストに加えて、エミッション、燃費、および性能などパワートレイン設計でのトレードオフ調査にリファレンス アプリケーションを使用することができます。マップエンジンとモーターのブロックは、コンポーネント サプライヤーから容易に入手可能なデータを用いるため、最初のトレードオフ分析に適しています。ターボチャージャーのワインドアップや電気モーター制御アルゴリズムの影響が必要な調査など、きめ細かいトレードオフの調査でパワートレインの動的効果を考慮するため、動的なエンジンとモーターのブロックを使用することができます。

設計トレードオフの調査では、数万回ものシミュレーション実行が必要になることがよくあります。 MATLAB® を使用して、シミュレーションを自動化して結果を解析することができます。 Optimization Toolbox™ の高度な最適化関数で、最良の設計パラメーターのセットを自動的に見つけることができます。全体のシミュレーション時間を減らすため、 Parallel Computing Toolbox™ を使用してコンピューターコアのクラスターにパワートレイン システムのシミュレーションを展開することができます。

パワートレインのマッチング設計調査でのエンジン BSFC 操作点

ハードウェアインザループ (HIL) テスト用の展開

HIL テストのニーズをサポートするため、モデルでは忠実度とシミュレーション速度のバランスを取る必要があります。Powertrain Blockset のブロックは、重要な物理効果 (ターボチャージャーのワインドアップ、多様な入出ダイナミクス、ドライブライン ダイナミクスなど) を捕捉するために必要な詳細を提供し、シミュレーションでの高いパフォーマンスと高速なリアルタイム実行を実現しています。リファレンス アプリケーションでの動的およびマップベースのエンジンモデルの両方を、HIL テストで使用できます。これにより、リファレンス アプリケーションから開始して、データをニーズに合わせて自由にカスタマイズし、独自のコントローラーモデルで HIL テストを行うことができます。

Powertrain Blockset モデルでの HIL テスト。

詳細サブシステムモデルの組み込み

詳細サブシステムモデルを変更

Powertrain Blockset はさまざまな自動車サブシステム用のブロックを提供します。しかし、対象の特定のダイナミクスを捕捉するため、サブシステムのいずれかをカスタマイズする必要があるかもしれません。ブロックはオープンでドキュメント化されているため、ライブラリをニーズに合わせて変更することができます。たとえば、ライブラリから動的な CI エンジンブロックをコピーして、スロットルを追加し、吸入と排気のダイナミクスの効果を捕捉することができます。デフォルトのエンジンまたはカスタマイズ済みのバージョンで車両設定を作成し、新しい CI エンジンブロックを追加の サブシステム バリアント としてリファレンス アプリケーションに含めることができます。

ライブラリブロックをカスタマイズして、新規エンジンバリアントを作成。

Simscape との統合

Powertrain Blockset のリファレンス アプリケーションにより、組み込みサブシステムを独自のバリアントと入れ替えることで、個別コンポーネントのカスタムモデルをテストすることが可能になります。たとえば、 Simscape Driveline™ と Simscape Fluids™ を使用して物理接続に基づくドライブトレイン モデルを構築し、Powertrain Blockset の閉ループ車両モデルに組み込むことができます。この方法でカスタムの設計と Powertrain Blockset を組み合わせて、システムレベルでの総合的なテストが可能になります。リファレンス アプリケーションのフレームワークを再利用することにより、サブシステムテストのセットアップと実行が加速され、また特定のニーズに合わせて車両モデルをカスタマイズする柔軟性も生まれます。

Simscape Driveline でカスタムのドライブトレイン バリアントを作成。

新機能

トランスミッション制御モジュール

アルゴリズム設計とその性能、燃費、およびエミッション解析のためのシフトスケジュールを最適化

ドライブサイクルの逸脱の追跡

標準テストで指定されるドライブサイクル逸脱を特定

Longitudinal Driver ブロック

加速度および減速度指令を制御するための入力を設定

これらの機能および対応する関数の詳細については、リリースノートを参照してください。