MATLAB、Simulink、Simscape により、エンジニアはデータとモデルを体系的に活用し、電気自動車 (EV) 開発のフロントローディングを進めることができます。これらの製品により、システムレベルの動作の理解、設計のトレードオフの評価、EV のライフサイクル全体にわたる検証済みのアルゴリズムの展開が可能になるとともに、以下を実現できます。
- モデルベース システムズ エンジニアリングによる EV システム全体の設計
- バッテリーの安全性、寿命、および航続可能距離の向上
- 高度なモーターおよびパワー エレクトロニクス制御によるパワートレインの効率の向上
- 車両の熱マネジメントおよびエネルギー使用の最適化
- データおよび AI による開発サイクルの加速
EV 開発のための MATLAB および Simulink の導入事例
システム アーキテクチャの開発とシステム シミュレーションの実行
電気自動車にはマルチドメイン システムの統合を含む車両レベルでの設計と解析が必要です。Powertrain Blockset、Vehicle Dynamics Blockset、および Simscape により、以下が可能になります。
- モーター、発電機、およびエネルギー貯蔵コンポーネントを備えた完全な EV シミュレーションの迅速な立ち上げと稼働
- アーキテクチャのトレードオフ、モーターやバッテリーのサイズ設定、制御パラメーターの最適化を解析
- パワートレイン、シャシー、または車両モーション制御向けのカスタム制御機能を開発してから、閉ループ車両モデルを使用してその性能を評価
- さまざまな処理手順からモデル間でデジタルトレースを使用し、システム アーキテクチャ、詳細設計、実装の詳細を単一環境内で取得
- アーキテクチャから解析、ハードウェアインザループ (HIL) テストに至るまで、開発全体を通してモデルを再利用
バッテリーのモデル化と BMS の開発
MATLAB と Simulink により、バッテリーセルの等価回路モデル (ECM)、電気化学モデル、およびデータ駆動型モデルを作成できます。以下を行うこともできます。
- EV の動作条件において、高忠実度モデルまたは低次元化モデルを使用して、バッテリーの電気-熱動特性、ヒステリシス効果、経年劣化、および熱暴走をシミュレーション
- セルの形式、パックのレイアウト、冷却プレートの設計、および熱マネジメント戦略に関するアーキテクチャのトレードオフを確認
- 状態推定 (SOC/SOH/SOP)、セルバランス、故障の保護と緩和、熱マネジメント、バッテリー急速充電プロファイルなど、ドライブサイクル全体にわたる BMS アルゴリズムを開発および検証
- 閉ループ デスク シミュレーション、コード生成、ソフトウェアインザループ (SIL) テスト、プロセッサインザループ (PIL) テスト、ハードウェアインザループ (HIL) テストなど、BMS ソフトウェアの開発および認証を実現
- バッテリーモデルを EV シミュレーションに統合して、航続距離、エネルギー使用、および安全余裕を評価
パワートレインおよびキャビン熱システムのモデル化と制御アルゴリズムの開発
MATLAB、Simulink、Simscape により、特に過酷な動作条件や環境条件において、コンポーネントおよび車両レベルの性能を評価するための詳細な熱システムモデルを作成できます。
- リアルタイム シミュレーションに対応した車両全体のクーラント、空気、および冷媒回路のモデルを開発
- さまざまなモードでコンプレッサーのバルブおよびポンプを動作させるための制御アルゴリズムを開発
- 極端な条件下でも安全で高性能な動作を確保するために、コンポーネントの温度、消費電力、および熱流量を監視
- 現実世界の動作条件に合わせてシステムを最適化するために、燃費、システムのディレーティング、経年劣化、およびその他の熱の影響をシミュレーション
トラクションモーター、インバーターのモデル化およびモーター制御ソフトウェアの開発
Motor Control Blockset および Simscape Electrical により、ハードウェアテスト前にモーター制御システムをモデル化およびシミュレーションすることで、開発を加速できます。
- 精度とシミュレーション速度のバランスを取るために、適切な忠実度を用いて、永久磁石同期モーター (PMSM)、誘導機、半導体デバイスなどのモーターおよびパワー エレクトロニクスをモデル化
- 正確なモデルの構築に必要な初期の労力と時間を減らすために、パラメーター推定の自動化、モーターの有限要素解析 (FEA) データのインポート、または半導体の SPICE データやベンダー デバイス データのインポートを実行
- センサーベースとセンサーなしのベクトル制御アルゴリズムを実装。古典的な制御手法を使用するか、開発期間を短縮するために Field Oriented Control (FOC) Autotuner などの自動化ツールを使用して、電流ループと速度ループを調整
- リスクを低減し、反復時間を短縮するために、動力計での検証前に HIL テストによって、制御アルゴリズム、保護ロジック、およびモード遷移をシミュレーションおよび検証
- AUTOSAR および ISO 26262 認証ワークフローのサポートを利用して、Simulink モデルから直接、モーター制御ユニット (MCU) および FPGA 向けの MISRA™ 準拠の C コードおよび HDL コードを生成
制御アルゴリズムの展開、統合、テスト
EV 開発者には、安全規格への準拠がますます求められています。MATLAB と Simulink を使用すると、以下を行うことができます。
- 最適化された C および HDL コードの自動生成
- 自動的な要件のトレース、コード/モデルの品質の測定、テストケースの生成
- ISO 26262 に対する適格性が事前に確認されたツールの使用、ISO 26262 リファレンス ワークフローへの準拠による、機能安全要件への対応
- AUTOSAR Blockset (Classic および Adaptive) を活用した AUTOSAR ソフトウェア コンポーネントのモデル化、コンポジションのシミュレーション、ARXML ファイルのインポート/エクスポート
- CI/CD パイプラインとの統合、コード生成、展開のためのパッケージ化、回帰テストの自動化
EV 開発における AI とデータ駆動型ワークフローの活用
AI および低次元化モデリング (ROM) の手法をモデル化、シミュレーション、および展開のワークフローに統合します。MATLAB と Simulink を使用すると、以下を行うことができます。
- リアルタイム HIL テストの場合も含め、AI および ROM を適用して、高忠実度のバッテリー、モーター、および熱システムのモデルの計算量を削減
- バーチャルセンサーを使用して、モーターやバッテリーの温度、SOC、および SOH を推定し、ハードウェアコストを削減
- 機械学習と予知保全のワークフローによる、バッテリーやモーターの異常の検出および故障の予測
- システムレベルのモデルに統合された強化学習を含む、最適なエネルギー管理およびモーター制御手法の開発
- ポイント アンド クリック アプリを使用して、データの準備、モデルの学習、AI コンポーネントの検証を行ってから、組み込みハードウェア、エッジデバイス、またはクラウドに展開