Association for Standardization of Automation and Measuring Systems (ASAM) は、自動車の開発、テスト、および検証のためのインターフェイス、プロトコル、ファイル形式、およびデータモデルを定義する標準化団体です。MATLAB、Simulink、および RoadRunner 製品ファミリは、他のツールとの相互運用性を有効化するさまざまな ASAM 規格をサポートしています。

シミュレーションのための ASAM OpenX 規格

シミュレーション領域における ASAM OpenX® 規格には、自動運転機能のシミュレーションベースのテストに関する包括的なガイドラインが備わっています。この規格は、広範な仮想開発のユースケースをカバーし、仮想シミュレーションと物理コンポーネントを融合したハイブリッド テスト モデルを促進します。

シナリオベースのテストのためのワークフローの各フェーズにわたる規格。
道路、車線、およびジャンクションは、規格エントリを用いて ASAM OpenDRIVE にエクスポートされます。

OpenDRIVE

ASAMOpenDRIVE® 規格は、道路、車線、オブジェクトのジオメトリなどの道路ネットワークを記述します。RoadRunner を使用して、ASAM OpenDRIVE のバージョン 1.4、1.5、1.6、および 1.7 をインポート、可視化、およびエクスポートします。OpenDRIVE Viewer Tool を使用して、インポートするデータを可視化します。OpenDRIVE Export Preview Tool を使用して、エクスポートをプレビューします。

OpenSCENARIO XML 表現を示すファイル形式。

OpenSCENARIO XML

ASAM OpenSCENARIO® XML は、動的な運転挙動を記述するファイル形式です。この形式では、車線変更や記録された軌道などのアクションに基づいて、車両や歩行者のようなエンティティの複雑な挙動を取得します。RoadRunner Scenario は、OpenSCENARIO XML 形式にシナリオをエクスポートし、軌道をインポートします。

OpenSCENARIO DSL 表現を示すファイル形式。

OpenSCENARIO DSL

ASAM OpenSCENARIO DSL は、人間と機械が読み取ることができるドメイン固有の言語です。RoadRunner Scenario は、OpenSCENARIO DSL へのシナリオのエクスポートと、具体的なシナリオのインポートをサポートしています。

ジャンクションの OpenCRG 表現。

OpenCRG

ASAM OpenCRG® は、Curved Regular Grid (CRG) 形式を使用して路面を記述するオープン規格です。RoadRunner を使用して、路面データを ASAM OpenCRG V1.2.0 にエクスポートおよびインポートします。RoadRunner で路面データを可視化するには、Road CRG Tool を使用します。

移動する車両の OSI データの可視化。

Open Simulation Interface

Open Simulation Interface (OSI) は、分散シミュレーションのモデルとコンポーネントの間のインターフェイスを指定して、自動運転機能の環境認識に焦点を当てます。

テストの自動化

ASAM には、API 経由でのテスト機器との相互作用に焦点を当てた規格が用意されています。これらの規格は、センサーとアクチュエータの管理、キャリブレーション、ハードウェアインザループ (HIL) テスト、DoE システム、および標準化されたテストドキュメント形式をカバーしています。

ハードウェアインザループ シミュレーション用のリアルタイム ハードウェア システム。
テスト自動化ツールの図が、最上位にテスト自動化、中央にパッケージ テストベンチ API、最下位にテストベンチを示しています。

ASAM XIL

ASAM XIL API 規格は、車戴ソフトウェアとシステムの開発におけるテストの自動化とシミュレーション プロセスを効率化するために設計されたフレームワークです。このインターフェイス規格には、テスト自動化ソフトウェアと HIL シミュレーターを接続するための、ベンダーニュートラルで一般的な手法が用意されています。

Simulink Test は、dSPACE® SCALEXIO、NI PXI、Vector VT System などのサードパーティ製のリアルタイムシステムを使用したテスト自動化のための XIL をサポートしています。Simulink Real-Time は、TraceTronic ECU-TEST、Piketec TPT などのサードパーティ製ソフトウェアを使用した Speedgoat リアルタイムシステムによるテスト自動化用の XIL をサポートしています。

測定およびキャリブレーション

ASAM には、電子コントロール ユニット (ECU) と連携するための規格が用意されています。これらの規格は、車両の ECU 内でのデータの相互作用と管理の方法を概説するものです。また、データへのアクセス、読み取り、および書き出し方法、データをわかりやすく説明する方法、データを効率的に保存する方法、キャリブレーション プロセスの詳細などをカバーします。

リアルタイム コンピューター (XCP クライアント) と ECU (XCP サーバー) に接続された開発用コンピューターの図。リアルタイム コンピューターは、UDP 通信または CAN 通信を用いて ECU に接続されます。

ASAM XCP

ASAM XCP プロトコル (汎用測定/キャリブレーション プロトコル) は、主に ECU のキャリブレーションに使用されるネットワーク プロトコルです。ASAM XCP プロトコルは、メモリ内容の読み取りおよび書き出し、データ収集、シミュレーションなどのさまざまなタスクをサポートします。

Vehicle Network Toolbox は、MATLAB と Simulink から ECU のキャリブレーションと測定を行うための XCP をサポートしています。Simulink Real-Time は、Speedgoat リアルタイムシステムを使用した ECU バイパス用に、CAN および UDP/IP 経由の XCP をサポートしています。Vector CANape® や ETAS® INCA などのサードパーティ製ツールは、Speedgoat リアルタイムシステム上で実行するリアルタイム アプリケーションのパラメーターの調整や信号測定のために、UDP 経由の XCP をサポートしています。

製品

ASAM 規格サポートで使用される製品について説明します。