電力システムの応用

MATLAB と Simulink を使用すると、実世界のデータとシミュレーション モデルを組み合わせ、複雑な電力負荷システムや冷却システムの挙動を解析して最適化できます。商業ビル、工場、AI データセンター、燃料電池などで用いられる閉ループ制御や監視型エネルギーマネジメントシステムの開発を可能にします。

KOICA 主導プロジェクトとモロッコ グリーンテクノロジー研究開発総合支援プロジェクトの一環として、300 kW マイクログリッドのテストベンチのシステム構成全体を設計・構築し、現地研究者が活用できるようにモデルベースの SCADA を構築しました。

データセンターのエネルギー需要がもたらす影響のモデリングとシミュレーション

MATLAB、Simulink、Simscape 製品は、AI やクラウド コンピューティングの普及によって拡大するデータセンターのエネルギー需要をモデル化するために、エンジニアに活用されています。ハイパースケーラー (超大規模クラウドプロバイダー) においては、MATLAB と Simscape Electrical を活用することで、計算リソースの増大に伴いギガワット規模に達する電力需要を予測し、このような複雑で変動の大きい負荷が配電系統に与える影響を把握できます。データセンター設備の最適な冷却方法を検討することも可能です。一方、地域の電力会社では、Simscape Electrical を活用することで、こうした予測困難な負荷が引き起こす周波数や電圧の変動、不要な高調波などを考慮し、地域電力網をどのように増強すべきかを理解することができます。

データセンターの電力消費のモデリング

MATLAB、Simulink、Simscape 製品を使用することで、ラックサーバー内の高性能 TPU や GPU が消費する電力をモデル化してシミュレーションできます。さらに、データセンター内の各システム、またはデータセンター全体から発生する熱を計算し、稼働時に必要となる冷却負荷や冷却システムの消費電力を計画できます。


使用例

データセンターが電力系統に与える影響の解析

MATLAB、Simulink、Simscape Electrical を使用すると、データセンターの定常/過渡状態における電気的動作を解析し、超大規模データセンターが地域の配電系統に与える負荷をモデル化し、シミュレーションできます。Simscape Electrical は、データセンターのほかにも、電力系統内の他の負荷や発電設備を追加して、さまざまな忠実度レベルでモデル化できます。これにより、長期的な電力需要から、無数の電力コンバーターによって高調波や電力品質の低下が引き起こされる短期的な過渡擾乱まで、幅広い解析が可能になります。こうした影響は同じ電力系統から供給を受ける一般家庭や企業にも及びます。Simscape Electrical では、システムに影響を与えない形で故障をモデルに追加できるため、予期しない停電に対する電力系統のレジリエンスを適切に把握できます。


使用例

ビル エネルギーマネジメントシステムの開発

MATLAB と Simulink を活用すると、動的な制御方針の実装、リアルタイムデータの組み込み、EMS 運用の自動化レベル向上を通じて、スマートで効率的なビル エネルギーマネジメントシステムを設計できます。MATLAB と Simulink は、データアクセスからモデリング、最適化、展開に至る EMS 開発ワークフローに使用できます。

  • 電力需要、発電量、電力価格、気象条件に関する予測モデルの作成
  • 電力系統や HVAC システムの運用スケジューリングに最適な EMS 制御戦略のモデリング、シミュレーション、設計
  • エッジデバイスの監視制御用コードの生成と組み込みコントローラーへの展開
  • 運用最適化ソフトウェアの実稼働クラウド環境への導入
設備とセキュリティを管理するために相互に接続されたコンポーネントを示すスマートビルシステム。

ビル EMS のエネルギー需要予測

MATLAB と Simulink を使用すると、環境要因や技術経済要因に基づくデータ駆動型エネルギー需要予測を実行して、ビル エネルギーマネジメントシステムの運用を最適化することができます。

  • ファイルまたはデータベースから時系列データにアクセス
  • MATLAB で対話型アプリやワークフロー自動化機能を活用し、データの前処理、解析、可視化を実行
  • 事前構築済みの統計モデル計量経済学モデル、または機械学習ディープラーニングのモデルから選択
  • 予測モデルの並列学習を行い、モデルの性能を評価
  • シミュレーション用に Simulink で学習済みエネルギー需要予測モデルを物理システムモデルに直接統合

使用例

ビル EMS のモデリング、シミュレーション、最適化

MATLAB と Simulink は、電気システムモデリング、EMS 制御設計、EMS 最適化のための設計環境として利用できます。

最適化と予測のためにニューラル状態空間モデルを用いたモデル予測制御システムの図。

使用例

ビル EMS の検証と展開

システムモデルからコードを生成してビル EMS 設計を検証することにより、デスクトップ シミュレーションからリアルタイム シミュレーションへ迅速に移行できます。制御はエッジデバイスに展開し、運用管理システムはクラウドに展開できます。


PEM 燃料電池システムのモデリングとシミュレーション

燃料電池の応用システムを効率的に開発するには、適切な忠実度のシミュレーション モデルが必要です。こうしたモデルを活用すると、設計空間の探索や設計トレードオフの分析を通じて、情報に基づく制御システム開発の意思決定が可能になります。

MATLAB、Simulink、Simscape Electrical を使用すると、次のことが可能になります。

  • 燃料電池と水素電解槽のモデリング
  • 燃料電池システム アーキテクチャの開発
  • 制御システムの実装
  • 燃料電池と電解槽の大規模な電気システムへの統合
Nuvera が設計した水素燃料電池。

PEM 燃料電池のモデリング

Simulink と Simscape では、既成のライブラリ コンポーネントを用いた物理ベースのアプローチ、またはモデリングツールを活用したデータ主導のアプローチを通じて、燃料電池と電解槽のシステムをモデル化してシミュレーションできます。

  • 燃料電池スタックや電解槽のさまざまな構成の検討
  • 水素ガス、空気流量、水輸送、熱生成といった複数分野にまたがる物理現象の影響と、バランスオブプラント コンポーネント (補助装置など) のモデリング
  • 電気・熱特性を評価して電気システムと熱管理システムの設計を支援
酸素と水素の流れ、電流と水を生成する化学反応を示した PEM 燃料電池の図。

使用例

燃料電池制御の実装

制御システムは、安全で耐久性に優れた燃料電池システムの効率的な運用を実現する上で重要な役割を果たします。Simulink と Simscape を活用することで、迅速に制御設計をプロトタイピングし、ハードウェアインザループ (HIL) テストや展開のためのコードを生成できます。

  • 電圧・電流調整、湿度調整、圧力管理、水管理、熱管理に対応する電気・熱制御アルゴリズムを設計
  • 燃料電池モデル向けに最適化された理解しやすい C/C++ または HDL 制御コードを生成
  • プラントモデル用コードの生成
  • 高額な燃料電池実機プロトタイプの損傷を回避するため、リアルタイム HIL テストを実施
  • 組み込みプロセッサまたは FPGA/SOC デバイスへの制御コードの展開

燃料電池システムは信頼性と効率性を備えている必要があります。当社では、システムで試す前に、MathWorks のツールを使用して制御アルゴリズムを迅速に開発・シミュレーションすることで、それを実現しています。C や C++ を使用してアルゴリズムを調べる時間はありません。幸いなことに、MATLAB を使用すれば、わずか数行のコードでアイデアをテストできます。これにより、大幅に作業時間を短縮し、商業的に採算の取れるオンサイト エネルギー システムを構築するという目標に向かって前進することができます。


使用例