村田製作所がモデルベース デザインによりエネルギー管理システム制御ソフトの開発期間を 50%以上 短縮

課題

同社初のエネルギー管理システム製品の市場投入までの期間を短縮する

ソリューション

コントローラーとパワーエレクトロニクスのモデル化とシミュレーションを行い、量産コードを生成するために、Simulink でモデルベース デザインを使用する

結果

  • 制御ソフトウェア開発期間を 50% 以上短縮
  • 欠陥のないコードの生成
  • プロジェクトの始動を迅速化

「認証に必要なすべての要件を、実際の回路で検証する前に Simulink のシミュレーションで確認します。また、Embedded Coder を使用してモデルから直接コードを生成したために、シミュレーションと実際の組み込みソフトウェアとの間にギャップはありません。」

Yue Ma 氏、株式会社村田製作所

村田製作所製リチウムイオン蓄電池付きフレキシブル3相エネルギーマネージメントシステム


村田製作所は、スマート ホーム イニシアチブの一環として、ソーラー パネル、電池、インテリジェント制御システムを組み合わせたエネルギー管理システム (EMS) を開発し、エネルギー使用量を最適化しています。ソーラー パネルが家庭のニーズよりも多くの電力を生成した場合、制御システムは過剰なエネルギーを使用して電池を充電するか、グリッドに電力を戻します。逆に、ソーラーパネルによって生成されるよりも多くの電力を家庭が必要とする場合、制御システムは電池を放電するか、グリッドからの電力を使用します。

村田製作所のエンジニアたちは、新しい EMS 製品ラインの制御ソフトウェアの開発をスピードアップするために、Simulink® のモデルベース デザインを使用しました。

「EMS は私たちにとって新しい市場であり、リスクを最小限に抑える必要がありました」と、村田製作所のエネルギー技術開発マネージャー、Yue Ma 氏は述べています。「Simulink のモデルベース デザインにより市場投入までの時間を短縮できたことは、私たちにとって大きな利点でした。私たちは専門家のプログラマーではないので、制御設計をモデル化およびシミュレートし、そのモデルから質の高い C コードを生成できることが、正しく機能するシステムを最短の期間で作り出すために不可欠でした。」 

課題

EMS 製品を村田製作所では開発したことが無かったため、エンジニア チームはゼロからスタートしなければなりませんでした。様々なハードウェア トポロジーを評価するために、EMS 内のインバータ、コンバータ、および他のパワー エレクトロニクス ハードウェアをシミュレートする方法が必要でした。実際のハードウェアでシステムをテストすることは困難で費用がかかるので、制御システムをモデル化し、電力網モデルを含むシステム モデルを使用してシミュレーションを実行し、正常な動作状況と、電力網の停電やサージなどという異常でテストが困難な状況の両方で、設計を検証する必要がありました。

競合他社は既に EMS 製品を導入しているため、村田製作所は自社製品をすばやく市場に投入したいと考えていました。制御システムの開発期間を短縮するために、エンジニアリング チームはモデルから直接制御コードを生成することを希望しました。チームのエンジニアは 最大3 人で、プログラミング経験はほとんどないため、制御コードを手書きし、デバッグするには時間がかかりすぎると思いました。

ソリューション

村田製作所のエンジニアたちは、モデルベース デザインを用いて、EMS 組込み制御ソフトウェアを設計し、実装しました。

このプロジェクトを開始する前に、Ma 氏はモデルベース デザインとコード生成の基礎に関する 3 日間の MathWorks トレーニングコースに参加しました。

Ma 氏とチームは、太陽光コンバータ、DC-DC コンバータ、三相インバータなどの主要なシステム部品のプラント モデルを作成するために Simscape Electrical™ を使用しました。このモデルは、異なるハードウェア トポロジーをテストできるように調整可能でした。

主要信号の全高調波歪み (THD) および二乗平均平方根 (RMS) を計算するために測定ブロックを追加した後、チームはシミュレーションを実行して、これらの測定基準が許容範囲内にあることを確認し、異なるハードウェア トポロジーの性能を比較しました。

Simulink で作業して、チームはシステムの PI コントローラーをモデル化し、その後、制御パラメータを調整するために Simulink Control Design™ を使用してコントローラーおよびプラントで閉ループ シミュレーションを実行しました。

停電、グリッドからのサージ、およびシステム内の過電流状態を含む、異常な状況に対する設計の対応を評価するために、追加の閉ループ シミュレーションを実施しました。

Stateflow® を使用して、彼らは EMS 起動およびシャットダウン シーケンス、ならびにシステムの様々な動作モードの状態遷移をモデル化するための状態遷移図を作成しました。

マイクロコントローラーに制御ロジックを実装するため、Fixed-Point Designer で自動スケーリングやその他の時間節約ツールを使用して、浮動小数点設計を固定小数点設計に変換しました。

次に、Embedded Coder® を使用してコントローラー モデルから C コードを生成しました。Code Composer Studio™ を使用してコードをコンパイルし、それを Piccolo™ シリーズ 及びDelfino™ 32 ビットマイクロコントローラーに展開しました。

展開されたコードの基本的なチェックを実行するために開ループテストを実行した後、チームは、マイクロコントローラーを EMS 回路に接続して、コードを量産ハードウェアで検証しました。

村田製作所は、モデルベース デザインによる EMS プロジェクトと太陽光発電インバータ プロジェクトの両方を完了しました。同社は  系統連系の認証を申請しており、エンジニアリング チームは認証試験の準備を進めています。

結果

  • 制御ソフトウェア開発期間を 50% 以上短縮。「わずか 3 人のエンジニアが約 6 カ月で制御ソフトウェアを完成させました。モデルベース デザインがなければ、2 倍から 3 倍の時間がかかっていたか、より多くのソフトウェア エンジニアを雇用する必要があったでしょう」と Ma 氏は述べています。
  • 欠陥のないコードの生成。「私たちのプログラミング経験は限られていたので、コントローラーのコードを手作業で記述していたら、より多くのバグが発生していたでしょう」と Ma 氏は語ります。「コードを 100% 生成したことで、信頼性が向上しました。Embedded Coder で生成したコードにはバグがありませんでした。」
  • プロジェクトの始動を迅速化。「MathWorks のトレーニング クラスでは、私は多くの実践的なスキルと技能を学び、その後チームの仲間と共有しました。問題が発生したときに MathWorks から強力なサポートを受けられただけでなく、プロジェクト全体の実行に役立ちました」と Ma 氏は述べています。