マイクログリッド制御とは?
マイクログリッドは、主要な送配電系統と切り離すか、または接続して運用される、特定の地域内に設置された発電システムです。マイクログリッドは、再生可能な発電源と従来の発電源の両方を備えることができ、再生可能な発電源の変動性を補完するエネルギー貯蔵装置を組み込むことができます。
マイクログリッドの電力安定性は、回転慣性がなく、インバーターベースの電源に依存しているため、負荷 (電力需要) の変化に対して影響を受けやすくなっています。また、マイクログリッドでは分散型発電と双方向の電力潮流が連動するため、運用も複雑化します。
マイクログリッドは、送配電系統に接続された状態 (グリッド接続モード) でも、送配電系統から独立した状態 (スタンドアロンモードまたは自立モード) でも動作できます。自立モードでは、システム負荷はマイクログリッドの発電装置のみから供給されます。このモードでは、マイクログリッド制御がグリッドフォーミング制御を使用して発電装置の電圧と周波数を調整します。グリッド接続モードでは、送配電系統がマイクログリッドの電圧と周波数を制御し、マイクログリッド制御がグリッド フォローイング制御を使用して発電装置からの有効電力と無効電力を調整します。
マイクログリッド制御には複数のモードが存在し、安定かつ安全な運用を実現します。
- グリッド同期: このマイクログリッド制御モードでは、マイクログリッドの電圧の大きさ、周波数、位相を送配電系統の電圧に一致させてから接続します。電圧が一定の許容誤差内で一致していない場合、接続時に大きな過渡現象が発生し、不安定性をもたらし、危険な動作や機器の損傷につながる可能性があります。
- グリッドフォーミング: このマイクログリッド制御モードでは、特定の発電装置が、AC 系統では電圧および周波数制御、DC 系統では電圧制御を行います。自立型マイクログリッドは、グリッドフォーミング制御が存在しない場合、安全で安定した運用ができません。
- グリッド フォローイング: このマイクログリッド制御モードでは、特定の発電装置が、AC 系統では有効電力および無効電力制御、DC 系統では電力制御を行います。グリッド フォローイング装置は、電圧や周波数の制御に直接関与するのではなく、その端末の電圧や周波数の状態に「追従」します。
- 出力抑制: このマイクログリッド制御モードでは、発電および負荷電力またはそのいずれかを削減します。発電/負荷を抑制する主な理由は、計画外の事象が発生した場合や、運用状況によってグリッドに負担がかかった場合における安全性と安定性の維持です。
マイクログリッド制御モードは、エネルギー源のモデル化、電力コンバーター、制御アルゴリズム、電力補償、グリッド接続、バッテリー マネジメント システム、電力需要予測などを、MATLAB®、Simulink®、Simscape Electrical™ を使用して設計およびシミュレーションできます。
MATLAB および Simulink を使用したマイクログリッド制御設計
MATLAB および Simulink を使用すると、マイクログリッド制御システムを設計、解析、シミュレーションできます。関数、アルゴリズム、アプリの豊富なライブラリを使用して、以下を行うことができます。
- 従来型発電、再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵装置などのエネルギー源を持つマイクログリッド制御ネットワークを設計する。
- インバーターベースの電源をモデル化する。
- マイクログリッド制御アルゴリズムやエネルギーマネジメントシステムを開発する。
- 送配電系統との相互運用性を評価する。
- 電力需要を解析および予測して、運用における不確かさを軽減する。
- 初期段階の実現可能性から稼働中の運用まで、対処が必要な工学的問題にモデルの詳細度を一致させる。
- マイクログリッド制御アルゴリズムとモデルを、組み込みターゲット、リアルタイムシステム、クラウド プラットフォームに実装する。
MATLAB および Simulink を使用したマイクログリッド制御システムの設計方法の詳細については、Simscape Electrical、Control System Toolbox™、および Optimization Toolbox™ を参照してください。
製品使用例および使い方
ユーザー事例
ソフトウェア リファレンス
参考: MATLAB、Simulink、および Simscape を使用した電動化の推進, モデル化とシミュレーション, 電力需要予測, Simulink Control Design