Plug Power、燃料電池の制御開発を加速

「C や C++ を使用してアルゴリズムを調べる時間はありません。幸いなことに、MATLAB を使用すれば、わずか数行のコードでアイデアのテストを行えます。これにより、大幅に作業時間を短縮し、商業的に採算の取れるオンサイト エネルギー システムを構築するという目標に向かって前進することができます。」

課題

燃料電池の制御開発における市場投入までの時間短縮と運用コスト削減

ソリューション

MathWorks ツールを使用したシステムのモデル化とシミュレーションを通じた新しいアルゴリズムの迅速なテスト

結果

  • 開発時間の短縮
  • プロセス効率の向上
  • 運用コストの削減
Plug Power 燃料電池システム。

Plug Power Inc. は、未来の発電を実用化する目標に向けて、燃料電池をベースにしたオンサイト エネルギー システムの設計および開発を行っています。同社は、MathWorks のツールを使用して、製品性能の向上、コスト削減、製造、および統合プロセスの改善を実現しています。

Plug Power の制御エンジニアである Rebecca Dinan 氏は次のように述べています。「これらのシステムは信頼性が高く、効率的であることが必要です。当社では、システムで試す前に、MathWorks のツールを使用して制御アルゴリズムを迅速に開発およびシミュレーションすることで、これを実現しています。」

課題

市場投入までの時間を短縮しながら、信頼性が高く費用対効果の高い製品を作成するためには、Plug Power が燃料電池システムを正確にモデル化し、ハードウェアへの実装前に新しいアルゴリズムや改良を加えたアルゴリズムを迅速にテストする必要があります。

最適な性能を得るため、発電モジュール (燃料電池など) と改質油処理モジュールは厳しい温度範囲内で実行され、制御設計上のさらなる課題が生じています。また、Dinan 氏は、「電力需要の変化はシステムに大きな外乱をもたらします。私たちはシステム全体の制御を自動化する必要があります」と述べています。

これらの自動制御アルゴリズムは、少ない入力で同レベルのパフォーマンスを達成し、制御システム内のセンサー数を減らすことで企業のコスト削減を実現しなければなりません。

ソリューション

Plug Power は、MATLAB および Simulink を使用して、アルゴリズムの開発とテスト、コンポーネントとシステムのシミュレーション、アイデアから実装までの開発プロセスの効率化を行っています。

最近のプロジェクトで、Dinan 氏は、送風機を操作して触媒温度を維持するための制御アルゴリズムを開発しました。同氏はまず、研究室で送風機を手動で操作し、送風機がどの程度実際の温度に影響するか調べました。

その後、MATLAB を使用してデータを解析し、システム同定を行いました。Dinan 氏は、「データを入力し、MATLAB を使用して、ゲイン、時間遅延、時定数など、すべてのオープンループ伝達関数のパラメーターを決定しました」と説明しています。

これらのパラメーターを使用して、Simulink で比例積分微分 (PID) コントローラーを組み込んだモデルをすぐに開発しました。Dinan 氏は次のように語っています。「PID コントローラーは一定の温度が設定され、送風機を使用してこの温度に調節します。この機能は自動車におけるクルーズコントロールのようなものです。これを実現するために、Simulink の PID ブロックを使用しました。これはシンプルで、すぐに使用できるからです。」

システムのダイナミクスでより複雑な戦略が必要である場合、Dinan 氏は Control System Toolbox と Deep Learning Toolbox を使用してモデル予測コントローラーを調整します。

また、Deep Learning Toolbox を使用することで、燃料電池システムにかかる電力需要を予測するモデルの作成にも成功しました。このモデルは、過去の大量の電力負荷データに基づくものです。

Dinan 氏は次のように述べています。「Deep Learning Toolbox のおかげで、データ解析、モデル作成、および検証を迅速に行うことができました。」

Dinan 氏は 1 行の MATLAB コードを使用して 3 次元プロットを作成し、S/N 比などのシステムのさまざまな側面を解析しました。

制御を調整した後、Dinan 氏は事前テスト済みのアルゴリズムを組み込みソフトウェアのエンジニアに転送し、簡単に実装できるようにしました。

MATLAB で開発された GUI の使用により、Plug Power は送風機の位置による影響をシミュレーションでき、制御システム開発のさらなる期間短縮が期待されます。

Plug Power の別のグループでは、Simulink を使用して次世代燃料電池システムの完全なモデルを作成し、制御設計を加速しています。現在、物理システムを用いて Simulink システムモデルの検証を進めています。

結果

  • 開発時間の短縮。MathWorks ツールの使用により、Plug Power はアルゴリズム開発期間を数週間短縮しました。「MATLAB の使用により、パターン認識アルゴリズムを開発し、目的の結果を得るのに 1 週間もかかりませんでした。C++ で同じ結果を達成するには、行列の計算をすべてコード化するのに 1 か月以上かかったでしょう」と Dinan 氏は述べています。

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  • プロセス効率の向上。MathWorks ツールを使用することで、制御エンジニアは、制御アルゴリズムを迅速に設計および検証できます。Dinan 氏は次のように報告します。「MATLAB で開発したアルゴリズムは、システムで機能すること、後でソフトウェア開発者に差し戻して変更する必要はないことを、より確信できました。」

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  • 運用コストの削減。Dinan 氏は、次のように述べています。「MathWorks ツールは、運用コストを削減し、システム コンポーネントの老朽化を抑えるのに役立っています。システムでアルゴリズムをテストする前に、アイデアをシミュレーションして、エラーや非効率性を検出し、修正することができます。つまり、MathWorks のツールを使用すれば、予防措置を簡単に講じることができるのです。」また Plug Power は、次世代システムのセンサーなどの部品数を 50% 削減しました。