MATLAB と Simulink を使用すると、産業分野の規制および規格に準拠しながら、医用画像処理のためのアルゴリズムおよび機器を設計、開発、テストすることができます。また、医療機器向け MATLAB および Simulink 製品の妥当性を確認することにより、開発プロセスにおいて FDA/CE 規制の要件を満たし、IEC 62304 などの規格に適合させることができます。

MATLAB と Simulink を使用すれば、次のことが可能になります。

  • 高性能な画像形成および再構成手法のプロトタイピングと実装
  • コンピューター ビジョン、ラジオミクス、コンピューター支援診断のための画像処理アルゴリズムの作成
  • 説明可能な人工知能 (AI) とディープラーニング モデルの学習と検証
  • クラウドでの医用画像処理アプリケーションのデプロイと共有
  • 医用画像処理機器向けのアンテナ、アレイ、電力システム、制御システムの設計とシミュレーション

「Simulink を使用することで、システムアーキテクトとハードウェア設計者の間のコミュニケーションがスムーズになります。Simulink という共通言語のおかげで、私たちは知識、アイデア、設計を交換することができます。Simulink と HDL Coder により、VHDL 構文とコーディングルールのチェックに時間をかけることなく、アルゴリズムの開発と、シミュレーションを介した設計の微調整に注力することができます。」

画像形成および画像解析の合理化

MATLAB および Simulink では、画像の形成、再構成、および解析のための、高度なアルゴリズムのラピッド プロトタイピングと実装が可能です。これらの製品によって、k 空間 (MRI)、RF 信号 (超音波)、投影線 (CT) などの生データから高品質の医用画像を作成できます。これらのアルゴリズムの検証、妥当性確認、展開を組み込みハードウェア環境とクラウド環境で行うことにより、ディープラーニング、機械学習、および再構成アルゴリズムに対応した医療機器認証ワークフローを実現できます。高度な設計とコンプライアンスをアルゴリズムに組み込みながら、製品の機能拡張をより迅速に市場に投入できます。


高度な医用画像処理アルゴリズムの開発

MATLAB と Simulink の広範な画像処理機能により、医用画像を 3D (MRI、CT)、リアルタイム (超音波、内視鏡検査)、マルチモーダル (PET、SPECT)、高解像度 (デジタルパソロジー) などのネイティブ形式でインポート、可視化、解析することができます。組み込みの対話型アプリにより、コンピューター ビジョン、ラジオミクス、コンピューター支援診断タスク向けの直感的なワークフローが提供されます。製品化のため、アルゴリズムはターゲット ハードウェア用に最適化された高性能なコードに自動的に変換できます。


AI ベースの医用画像処理アプリケーションの作成

MATLAB と Simulink を使用することで、画像セグメンテーション、分類、オブジェクト検出などの AI ベースの医用画像処理アプリケーションの作成が可能になります。TensorFlow™ や PyTorchYou などの一般的な AI フレームワークを利用できるだけでなく、AI を画像処理アプリケーションの完全な開発ワークフローに統合できるという利点があります。また、モデルベースデザインにより、FDA/CE 規制遵守のための検証と妥当性確認を開発プロセスに組み入れることもできます。


クラウドでの医用画像処理アプリケーションのデプロイと共有

MATLAB と Simulink を使用すると、AWS®、Azure®、NVIDIA® GPU クラウドなどのパブリックプロバイダーを利用して、SaaS (software-as-a-service) やヘルスケア IoT 向けのクラウドベースの医用画像処理アプリケーションを作成できます。ブラウザーベースの Web アプリを作成して、他のユーザーとアプリを共有し、コラボレーションや外的な妥当性確認を行うことができます。また、クラウドを使用して、ディープラーニングやその他の計算量の多いタスクでの画像処理アプリケーションのパフォーマンスを加速させることもできます。


医用画像処理機器の設計

MATLAB と Simulink では、モデル化とシミュレーションを使用して、医用画像処理機器の部品や制御システムを設計できます。MRI コイル、超音波トランスデューサ アレイ、RF 電力システムなどのマルチドメインのコンポーネントのほか、モーター、熱管理、X 線の加速電圧の制御システムを設計できます。また、高価なハードウェア プロトタイプを構築する前に、バーチャル環境でそれらのコンポーネントが正しく動作するかどうかをテストできます。

MATLAB による MRI 用バードケージコイルのグラフ。