Phased Array System Toolbox™ には、無線通信、レーダー、ソナー、音響、医療用画像処理などの用途において、センサーアレイやビームフォーミング システムの設計およびシミュレーションを行うためのアルゴリズムとアプリが用意されています。サブアレイや任意の形状を含む、アクティブアレイやパッシブアレイの動作のモデル化および解析を行うことができます。シミュレーションされた信号は、ビームフォーミングや信号処理アルゴリズムの設計のために、これらのアレイで送受信できます。
5G や LTE セルラー、SATCOM、無線 LAN 通信システムでは、マルチビームアンテナや電子走査可能なアンテナを設計できます。このツールボックスには、Massive MIMO システムやミリ波システム向けにハイブリッドおよびフルデジタルのビームフォーミング アーキテクチャをシミュレーションするアルゴリズムが付属しています。マルチパス フェージング環境をシミュレーションして、ビームフォーミング アンテナアレイの性能をテストできます。
レーダー、ソナー、音響システムの設計向けに、ツールボックスでビームフォーミング、時空間適応信号処理 (STAP)、到来方向 (DOA) 推定、整合フィルター処理、信号検出などの信号処理アルゴリズムが用意されています。このツールボックスには、テスト信号の生成や、ターゲットのエコー、干渉、伝播効果のシミュレーションに使用できる連続波形およびパルス波形が用意されています。
また、シミュレーションの高速化やデスクトップ プロトタイピングのために、このツールボックスは C コード生成をサポートしています。参照例では、Simulink® モデルから HDL コードを生成するためのワークフローを紹介しています。
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フェーズドアレイの設計と解析
アレイ形状、素子の間隔、カスタムアンテナ素子、位相シフトの量子化、相互結合、摂動素子を含め、フェーズドアレイをモデル化し、解析します。
サブアレイのモデル化
最新のフェーズドアレイ システムでよく使用されるサブアレイをモデル化します。
偏光のモデル化
偏光電磁場の送信、伝播、反射、受信を行います。
狭帯域および広帯域のビームフォーミング
スペクトルベースおよび共分散ベースの手法を使用して、狭帯域および広帯域のデジタル ビームフォーミング アルゴリズムをモデル化します。
時空間適応信号処理 (STAP)
STAP と時空間フィルター処理を組み合わせて、干渉するジャマーを無効にします。STAP を使用して、背景クラッター内の動きが遅いターゲットや静止しているターゲットを検出します。
到来方向推定
到来方向推定を使用して、放射源または反射源の方向を推定します。DOA アルゴリズムには、ビーム走査、MVDR、MUSIC、2D MUSIC、Root-MUSIC、移動するオブジェクト用のモノパルストラッカーなどがあります。
パルス圧縮およびターゲット検出
定偽警報率 (CFAR)、2D CFAR、および整合フィルターを使用して、ターゲット検出を生成します。レーダー方程式とソナー方程式を使用して ROC 曲線を生成し、要件を調べます。
パルス波形および連続波形、整合フィルター、不確定性関数
パルス波形および連続波形と、それに対応する整合フィルターを設計します。シミュレーションやモデル化に使用するベースバンド IQ データを生成します。
信号伝播とターゲット
方位角、仰角、周波数に基づく RCS パターンでターゲットをモデル化します。センサーとターゲットの軌跡を定義します。雨、ガス、霧などの散乱体や環境条件を考慮して、マルチパス MIMO チャネルをモデル化します。
MIMO 通信システム
大規模なフェーズド アレイ フロントエンドを備えた MIMO 通信システムをモデル化します。ベースバンドと RF サブシステムの間でビームフォーミング アーキテクチャを分割します。
レーダーシステムおよび EW システム
レーダーシステムおよび EW システムをシミュレーションします。
ソナーシステムと空間音響システム
ソナーシステムと空間音響システムをシミュレーションします。
アルゴリズムの高速化とコード生成
C/C++ コードを生成するか、Simulink® のデータフロー領域を使用して、シミュレーションやアプリケーションを高速化します。リファレンス ワークフローに従って、Simulink モデルから HDL コードを生成します。
空間信号処理アルゴリズム用のコード生成
空間信号処理アルゴリズム用に C/C++ コードと、MEX コードまたは HDL コードを生成します。
シミュレーションを高速化するデータフロー
データフロー領域で並列処理スレッドを使用して、シミュレーション時間を短縮します。