Motor Control Blockset™ には、ブラシレスモーター用にベクトル制御やその他のアルゴリズムを作成および調整するための Simulink® ブロックが用意されています。ブロックには、パーク変換とクラーク変換、センサーなしのオブザーバー、弱め界磁、空間ベクトル変調、Field Oriented Control Autotuner などがあります。制御アルゴリズムは、ブロックセットに含まれるモーターやインバーターのモデルを使用して、閉ループのシミュレーションで検証できます。
このブロックセットのパラメーター推定ツールは、モーターハードウェア上で事前定義済みのテストを実行して、固定子抵抗、d 軸と q 軸のインダクタンス、逆起電力、慣性、および摩擦を特定します。これらのモーターパラメーター値を閉ループのシミュレーションに組み込むことで、コントローラー設計を解析できます。
参照例では、デスクトップ シミュレーションで制御アルゴリズムを検証し、運用環境への実装に必要な実行速度に対応したコンパクトな C コードを生成する方法をご紹介します。また、この参照例を使用して、ブロックセット対応のモーター制御ハードウェアキット向けにアルゴリズムを実装することもできます。
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シミュレーションとコード生成
表面および埋込永久磁石同期モーター (PMSM) や誘導モーター、ブラシレス DC モーター (BLDC) のベクトル制御アルゴリズムを設計および実装するための出発点として、完全組み立て済みの参照例を使用します。これらのモデル例を使用して、閉ループシステムのシミュレーションでアルゴリズム設計をテストおよび検証した後、同じモデルを再利用して、組み込みコードを生成および実装します。
モーター制御キット
参照例を使用して、コンパクトで処理速度の速い C コードをすばやく生成し、サポートされているいくつかのモーター制御ハードウェアキット向けにモーター制御アルゴリズムを実装します。アプリケーションを Simulink モデルから直接ターゲット マイクロプロセッサーに自動的に構築および実装して、モーターハードウェアでアルゴリズムをテストします。ホストマシンからこれらのターゲット アプリケーションと通信して制御します。
制御アルゴリズムの設計
Simulink で、永久磁石同期モーター (PMSM) や誘導モーター用にベクトル制御アルゴリズムを作成するには、Park、Clarke、PI コントローラー、空間ベクトル変調、最大トルク/電流制御 (MTPA)、弱め界磁ブロック、および誘導モーターの滑り速度推定器ブロックを使用します。6 段階整流ブロックを使用して、ブラシレス DC (BLDC) モーターを制御します。
コード生成
組み込みマイクロコントローラーに実装するためのコンパクトで処理速度の速い浮動小数点コードまたは固定小数点コードを生成します (Embedded Coder を使用)。リアルタイム実行のプロファイリングによって、現在のループパフォーマンスを評価します。
ラピッド コントロール プロトタイピング
Simulink Real-Time および Speedgoat の電気モーター制御キットを使用して、リアルタイムで制御アルゴリズムのテストを行います。このキットは、アナログおよびデジタル I/O を使用して Speedgoat のリアルタイム ターゲット ハードウェアの Motor Control Blockset で開発されたブラシレス DC モーター制御アルゴリズムを実行およびテストするための完全なソフトウェア/ハードウェア パッケージで構成されています。
センサー デコーダー
参照例を使用して、ホール センサーと直交エンコーダーのオフセットをキャリブレートします。次に、センサー デコーダー ブロックを使用して、ホール センサー、直交エンコーダー、リゾルバーからの信号を処理し、回転子の位置と速度を計算します。
オブザーバー
Sliding Mode Observer ブロックと Flux Observer ブロックを使用して、センサーなしのベクトル制御を実装します。これらのブロックを使用して、測定された電圧と電流から永久磁石同期モーター (PMSM) や誘導モーターの回転子の電気的位置と機械的速度を計算します。磁束と機械式トルクを推定します。組み込みコードを生成する前に、オブザーバー パラメータを調整し、シミュレーションでオブザーバーの動作を確認します。
最初のコントローラーの調整
モーターとインバーターのパラメーターに基づいて速度ループと電流ループの初期 PI コントローラーのゲインを自動的に計算します。提供されているスクリプトは、根軌跡、ボード線図、および電流ループのステップ応答を計算してプロットすることにより、時間領域と周波数領域で電流ループのダイナミクスを分析するのに役立ちます (Control System Toolbox を使用)。
Field-Oriented Control Autotuner
Field-Oriented Control Autotuner ブロックを使用して、磁界方向コントローラーの速度ループと電流ループのゲインを調整し、ループごとに指定された帯域幅と位相余裕を達成します (Simulink Control Design を使用)。プラントモデルに対するシミュレーションでゲインを調整します。Speedgoat のターゲット コンピューターを使用して、モーター ドライブ ハードウェアに対してリアルタイムでゲインを調整することもできます (Simulink Real-Time を使用)。
事前に用意された機器テスト
モーターで事前定義テストを実行する参照例を使用して、永久磁石同期モーター (PMSM) の固定子抵抗、d 軸と q 軸のインダクタンス、逆起電力、慣性、および摩擦パラメーターを特定します。これらのテストには、ホールセンサー、直交エンコーダー、またはセンサーなしオブザーバーを使用できます。
モーターとインバーターのモデル
線形集中定数モーターモデルを実装するブロックを使用して、表面および埋込永久磁石同期モーター (PMSM) と誘導モーターをモデル化およびシミュレーションします。機器テストによって決定された値でこれらのモデルをパラメーター化します。コントローラーモデルをモーターモデルや提供された平均値インバーターモデルと組み合わせて、高速な閉ループシミュレーションを実現します。
Simscape Electrical によるモデルの忠実度の向上
Simscape Electrical™ を使用して、インバーターの非線形モーターダイナミクスと理想的または詳細なスイッチングをモデル化し、シミュレーションします。非線形性とスイッチング効果を組み込んだシミュレーションで、これらの忠実度の高いモーターモデルやインバーターモデルに対してベクトル制御アルゴリズムをテストします。