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故障の検出と診断のための判定モデル

状態監視では、故障状態と健全状態を区別し ("故障検出")、故障状態が存在する場合には故障の原因を特定します ("故障診断")。状態監視のアルゴリズムを設計するには、システム データから抽出された状態インジケーターを使用して、テスト データから抽出されたインジケーターの解析により現在のシステムの状態を判定できる決定モデルに学習をさせます。したがって、アルゴリズム設計のプロセスにおいて、これが状態インジケーターを特定した後の次の手順になります。

(故障予測のための状態インジケーター使用の詳細については、残存耐用期間を予測するモデルを参照してください。)

状態監視のための決定モデルのいくつかの例には、以下が含まれます。

  • インジケーターがこれを超えると故障を示す、状態インジケーター値のしきい値または範囲のセット

  • 状態インジケーターの任意の特定値が特定タイプの故障を示す尤度を記述する確率分布

  • 状態インジケーターの現在の値を故障状態に関連する値と比較して、何らかの故障状態が存在する尤度を返す分類器

一般に、故障の検出または診断用に異なるモデルをテストしている場合は、1 つ以上の状態インジケーターの値の table を作成します。状態インジケーターは、さまざまな健全動作や故障動作の状態を表すアンサンブルのデータから抽出される特徴です (監視、故障検出、予測のための状態インジケーターを参照)。データを決定モデルの学習用のサブセット ("学習データ") と、それに重ならない検証用のサブセット ("検証データ") に分割すると便利です。一般に、オーバーラップするデータセットを使用した学習および検証に比べると、完全に別個の学習データと検証データを使用した方が、新しいデータに対し決定モデルがどう振る舞うかを把握しやすくなります。

アルゴリズムを設計する際、異なる状態インジケーターを使用してさまざまな故障検出および診断のモデルをテストすることがあります。したがって、設計プロセスのこの手順では、状態インジケーターの抽出手順を反復して、各種のインジケーター、インジケーターの組み合わせ、および決定モデルを試す場合が多くなります。

Statistics and Machine Learning Toolbox™ および他のツールボックスには、分類器や回帰モデルなどの決定モデルの学習に使用できる機能が含まれています。以下に、よく使われる方法について、いくつか概要を示します。

特徴選択

"特徴選択" の手法によって、実行を試みている解析に無関係な特徴を除外して、大規模なデータセットを削減することができます。状態監視のコンテキストにおいて、無関係な特徴とは、故障動作から健全な動作を分離しない、あるいは異なる故障状態の区別に役立たない特徴です。言い換えれば、特徴選択とは、システム性能の劣化に伴い検出可能かつ安定した形で変化するため状態インジケーターとしての役割に適している特徴を特定するということです。特徴選択のためのいくつかの関数には、以下が含まれます。

  • pca"主成分分析" を実行し、観測値に最大の変化をもたらす独立データ変数の線形結合を見つけます。たとえば、多くの特徴の抽出元となるアンサンブルの各メンバーについて 10 個の独立したセンサー信号があるとします。そのような場合、主成分分析によって、アンサンブル内で表されるさまざまな健全な状態と故障状態の区別にどの特徴または特徴の組み合わせが最も効果的かを判定しやすくなります。風力タービン高速ベアリングの経過予測の例では、この特徴選択の方法を使用します。

  • sequentialfs — 特徴候補のセットに対し、差別化に改善が見られなくなるまで順次特徴を選択していくことで、健全な状態と故障状態を最もよく区別する特徴を特定します。

  • fscnca — 近傍の成分解析を使用して分類のための特徴選択を実行します。Simulink を使用した故障データの生成の例ではこの関数を使用して、抽出した状態インジケーターのリストに対し、故障状態を区別する際の重要度による重み付けを行います。

特徴選択に関連する他の関数については、次元削減と特徴抽出 (Statistics and Machine Learning Toolbox)を参照してください。

統計的分布の当てはめ

状態インジケーターの値および対応する故障状態の table がある場合、その値を統計的分布に当てはめることができます。結果の分布に検証データまたはテスト データを比較することで、検証データまたはテスト データがいずれかの故障状態に対応している尤度が得られます。こうした当てはめに使用できるいくつかの関数には、以下が含まれます。

統計的分布の詳細については、確率分布 (Statistics and Machine Learning Toolbox)を参照してください。

機械学習

故障の検出と診断の問題に機械学習の手法を適用する方法はいくつかあります。分類は、ラベル付けされたデータの例から新しい観測値を分類することをアルゴリズムが "学習" する、教師あり機械学習の一種です。故障の検出と診断のコンテキストでは、アンサンブルから求めた状態インジケーターとその対応する故障ラベルを、分類器に学習させるアルゴリズム近似関数に渡すことができます。

たとえば、さまざまな健全状態や故障状態の条件にまたがるデータのアンサンブルの各メンバーについて、状態インジケーター値の table を計算するとします。このデータを、分類器モデルを当てはめる関数に渡すことができます。この "学習データ" は、新しいデータセットから抽出された状態インジケーター値のセットを受け入れて、健全状態または故障状態の条件のどれがデータに適合するかを推定するよう、分類器モデルに学習させます。実際には、学習にアンサンブルの一部分を使用し、学習済みの分類器を検証するためにアンサンブルの別の部分は使わずにおきます。

Statistics and Machine Learning Toolbox には分類器の学習に使用できる関数が数多く含まれています。このような関数には、以下が含まれます。

  • fitcsvm — 故障状態の有無など、2 つの状態間を区別するようバイナリ分類モデルに学習させます。Simulink を使用した故障データの生成の例では、この関数を使用して、特徴ベースの状態インジケーターの table をもつ分類器に学習させます。また、定常状態実験を使用した遠心ポンプの故障診断の例でも、データを静的モデルに当てはめて取得したパラメーターの統計プロパティから計算された、モデルベースの状態インジケーターとともにこの関数を使用します。

  • fitcecoc — 複数の状態間を区別するよう分類器に学習させます。この関数は、マルチクラスの分類問題を一連のバイナリ分類器にまとめます。シミュレーション データを使用した複数クラス故障検出の例ではこの関数を使用します。

  • fitctree — 問題を一連のバイナリ決定木にまとめることで、マルチクラスの分類モデルに学習させます。

  • fitclinear — 高次の学習データを使用して分類器に学習させます。この関数は、数多くの状態インジケーターがあり、それらを fscnca などの関数ではまとめることができない場合などに便利です。

他の機械学習手法には、データを互いに排他的なクラスターに分割する "k-means クラスタリング" (kmeans) などがあります。この手法では、データ点からその割り当て先クラスターの平均位置までの距離を最小化することにより、新しい測定値がクラスターに割り当てられます。ツリー バギングは、分類用の決定木のアンサンブルを集計するもう 1 つの手法です。定常状態実験を使用した遠心ポンプの故障診断の例では TreeBagger 分類器を使用します。

分類のための機械学習手法の一般的な情報については、分類 (Statistics and Machine Learning Toolbox)を参照してください。

動的モデルを使った回帰

故障の検出と診断のもう 1 つの方法は、モデルの同定を使用することです。この方法では、健全状態および故障状態にあるシステム動作の動的モデルを推定します。その後、どのモデルがシステムのライブ測定値をよりうまく説明するかを解析します。この方法は、同定するモデル タイプの選択に役立つ、システムについての何らかの情報がある場合に便利です。この方法を使用するには、以下を行います。

  1. 健全な状態と、既知の故障、劣化、または耐用寿命末期の条件で動作しているシステムからデータを収集するか、またはシミュレートします。

  2. 健全状態と故障状態の各条件における動作を表す動的モデルを同定します。

  3. クラスタリング手法を使用して状態間に明確な区別をつけます。

  4. 操作中のマシンから新しいデータを収集して、その動作のモデルを同定します。その後、健全状態または故障状態の他のモデルのうち、観測された動作の説明となる可能性が最も高いものを判定できます。

データに基づくモデルを使用した故障検出の例ではこの方法を使用します。動的モデルの同定に使用できる関数には、以下が含まれます。

forecast のような関数を使用して、同定されたモデルの将来の動作を予測できます。

管理図

統計的工程制御 (SPC) メソッドは、工業製品の品質を監視し評価するための手法です。SPC は、開発・製造工程の定義、測定、解析、改善、および制御を行うプログラムで使用されます。予知保全のコンテキストにおいては、状態インジケーター値がどんな時に故障を示しているのかを判定するために、管理図と管理ルールが役立ちます。たとえば、しきい値を超えると故障を示す状態インジケーターがあり、ある程度の正常な変動もそれにより示されるため、しきい値をいつ超えたかを特定するのが難しいものとします。管理ルールを使用して、1 回の測定値ではなく、指定数の測定値が連続してしきい値を超えた場合に発生するものとして、しきい値条件を定義できます。

  • controlchart — 管理図を可視化します。

  • controlrules — 管理ルールを定義してそれらに違反していないか判定します。

  • cusum — データの平均値のわずかな変化を検出します。

統計的工程制御の詳細については、統計的工程管理 (Statistics and Machine Learning Toolbox)を参照してください。

changepoint の検出

故障状態を検出するもう 1 つの方法は、状態インジケーターの値を経時的に追跡してトレンド動作における急激な変化を検出することです。こうした急激な変化は故障を示すことがあります。このような changepoint の検出に使用できるいくつかの関数には、以下が含まれます。

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