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監視、故障検出、予測のための状態インジケーター

"状態インジケーター" は、システムの劣化や異なる操作モードでの動作につれてその振る舞いが予測可能な形で変化する、システム データの特徴です。状態インジケーターには、正常動作と故障動作の区別や残存耐用期間の予測に役立つ任意の特徴を指定できます。有用な状態インジケーターは、類似のシステム ステータスをクラスターにまとめ、異なるステータスを分離します。状態インジケーターの例には、以下から求めた数量が含まれます。

  • 経時的なデータの平均値などの、単純な解析

  • 信号スペクトルのピーク振幅の周波数、スペクトルの経時的な変化を記述する統計モーメントなどの、より複雑な信号解析

  • データを使用して推定された状態空間モデルの最大固有値などの、モデルベースのデータ解析

  • 信号を使用した動的モデルの推定、動的モデルのシミュレーションによる残差信号の計算、残差に対する統計解析の実行など、モデルベースの方法と信号ベースの方法の両方による組み合わせ

  • 複数の特徴から単一の効果的な状態インジケーターを求める組み合わせ

通常、状態インジケーターの特定は、予知保全アルゴリズムを設計するワークフローにおいてデータへのアクセスと前処理に続く 3 番目の手順です。

Workflow diagram, illustrating, from left to right, the general steps from acquiring data to deployment.

既知の条件下で取得したシステム データから抽出された状態インジケーターを使用してモデルに学習させると、その後、未知の条件下で取得した新しいデータを基にシステムの状態の診断や予測ができるようになります。実際には、使用するマシン、データ、および故障状態に最適の状態インジケーターを見つけるには、データを調査し、さまざまな状態インジケーターを使って実験する必要が生ずる場合があります。残差分析を使用した遠心ポンプの故障診断Simulink を使用した故障データの生成の例では、複数の状態インジケーターをテストして、使用に最適なものを経験的に決定する解析について説明しています。

場合によっては、1 つのインジケーターを単独で使用するよりも、状態インジケーターを組み合わせることで故障状態が分別しやすくなることがあります。転動体ベアリングの故障診断の例では、そのような組み合わせのインジケーターが役立っています。同様に、多くのアンサンブル メンバーに対して計算された複数の状態インジケーターを含む table を使用して、故障検出と診断用に判定モデルの学習を行える場合がよくあります。この方法を使用する例は、シミュレーション データを使用した複数クラス故障検出を参照してください。

Predictive Maintenance Toolbox™ および他のツールボックスには、状態インジケーターの抽出に便利な関数が多く含まれています。さまざまなタイプの状態インジケーターとその用法の詳細については、以下を参照してください。

状態監視と予知保全のためのデータ アンサンブルで説明されているように、Predictive Maintenance Toolbox のアンサンブル データストアを使って管理する測定データやシミュレーション データのベクトルまたは timetable から、状態インジケーターを抽出できます。状態監視と予知保全のためのデータの前処理で説明されているように、このようなデータを最初に前処理すると便利な場合があります。

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