"伝達関数" とは、線形化出力ポイントにおける線形化入力に対する LTI システムの応答です。伝達関数で線形解析を実行し、システムの安定性、時間領域の特性または周波数領域の特性を理解します。
与えられたブロック線図で複数の伝達関数を計算できます。ex_scd_simple_fdbk
モデルを考えます。
基準入力信号からプラント出力信号への伝達関数を計算できます。"基準入力" ("設定点" とも呼ばれる) r
は Reference ブロックで発生し、"プラント出力" y
は G ブロックで発生します。この伝達関数は、"閉ループ全体の" 伝達関数とも呼ばれます。この伝達関数を計算するために、ソフトウェアは、r
で線形化入力 dr
を追加し、y
で線形化出力を追加します。
ソフトウェアは、dr
から y
への伝達関数として閉ループ全体の伝達関数を計算します。これは、(I+GK)-1GK と同じです。
r
から y
への伝達関数が dr
から y
への伝達関数と同じになることを確認します。
プラント入力 u
からプラント出力 y
への "プラント伝達関数" を計算できます。プラントのダイナミクスをフィードバック ループの影響から切り離すには、y
、e
、または図のように u
にループの中断 (つまり "開始点") を導入します。
ソフトウェアはループを中断し、u
で線形化入力 du
を追加し、y
で線形化出力を追加します。このプラント伝達関数は、du
から y
への伝達関数 (G) と同じです。
同様に、"コントローラー伝達関数" を取得するには、コントローラー入力 e
からコントローラー出力 u
への伝達関数を計算します。y
、e
または u
でフィードバック ループを中断します。
getIOTransfer
を使用して、さまざまな開ループまたは閉ループの伝達関数を取得できます。伝達関数を設定するには、任意の組み合わせで入力、出力および開始点 (一時的または永続的) として解析ポイントを指定します。ソフトウェアはそれぞれの組み合わせを一意的に処理します。次のコードについて考えます。これは、解析ポイント u
を使用して伝達関数を取得するいくつかの方法を示します。
T0
では、u
でループの中断を指定します。T1
では、u
で入力のみを指定します。T2
では、u
で入力および開始点 ("開ループの入力" とも呼ばれる) を指定します。T3
では、u
で出力のみを指定します。T4
では、u
で出力および開始点 ("開ループの出力" とも呼ばれる) を指定します。T5
では、u
で入力および出力 ("相補感度ポイント" とも呼ばれる) を指定します。T6
では、u
で入力、出力および開始点 ("ループ伝達ポイント" とも呼ばれる) を指定します。次の表は、getIOTransfer
が解析ポイントを処理する方法を示します。ここでは、u
のさまざまな使用方法に注目します。
u の指定内容 | getIOTransfer による解析ポイントの処理 | 伝達関数 |
---|
ループの中断
コード例:
T0 = getIOTransfer(sllin,'e','y','u')
|
ソフトウェアは u で信号の流れを切断し、線形化入力 de を e に、線形化出力を y に追加します。 |
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入力
コード例:
T1 = getIOTransfer(sllin,'u','y')
|
ソフトウェアは、u に線形化入力 du を、y に線形化出力を追加します。 |
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開ループの入力
コード例:
T2 = getIOTransfer(sllin,'u','y','u')
|
ソフトウェアは u で信号の流れを切断して線形化入力 du を追加し、y に線形化出力を追加します。 |
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出力
コード例:
T3 = getIOTransfer(sllin,'y','u')
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ソフトウェアは、y で線形化入力 dy を、u で線形化出力を追加します。 |
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開ループの出力
コード例:
T4 = getIOTransfer(sllin,'y','u','u')
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ソフトウェアは y で線形化入力 dy を追加し、u で線形化出力を追加して信号の流れを切断します。 |
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相補感度ポイント
コード例:
T5 = getIOTransfer(sllin,'u','u')
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ソフトウェアは、u で線形化出力および線形化入力 du を追加します。 |
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ループ伝達関数の点
コード例:
T6 = getIOTransfer(sllin,'u','u','u')
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ソフトウェアは u で線形化出力を追加して、ループを中断し、線形化入力 du を追加します。 |
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ソフトウェアは、伝達関数を計算する際に Simulink モデルを変更しません。