制御システムエンジニアは、プラントモデリングから、制御アルゴリズムおよび監視ロジックの設計と調整、自動コード生成を用いたプラントの展開、システムの検証、妥当性確認、テストに至るまで、開発のあらゆる段階で MATLAB および Simulink を使用しています。MATLAB および Simulink には、次の機能が備わっています。

  • プラントダイナミクスのモデル化、制御アルゴリズムの設計、閉ループ シミュレーションの実行のためのマルチドメイン ブロック線図環境
  • システム同定ツールまたは物理モデリングツールを利用したプラントモデリング
  • オーバーシュート、立ち上がり時間、位相余裕、ゲイン余裕、および時間領域と周波数領域におけるその他の性能および安定性の特性を解析するための事前構築済みの関数と対話型ツール
  • 根軌跡、ボード線図、LQR、LQG、ロバスト制御、モデル予測制御などの設計手法と解析手法
  • PID、ゲインスケジュール、任意の SISO および MIMO 制御システムの自動調整
  • 強化学習、能動的外乱除去制御、モデル規範形適応制御、その他のデータ駆動型および AI ベースの制御アルゴリズム
  • スケジューリングの実行、モード切り替え、故障検出、分離、回復 (FDIR) のための監視ロジックのモデル化、設計、シミュレーション

プラントダイナミクスのモデル化とシミュレーション

MATLAB および Simulink を使用して、正確なプラントモデルを構築します。サポートされているさまざまなモデリング手法を使用して、プラントの複雑なダイナミクスを記述し、プラントの各構成要素に合わせた最適な手法を使用して、システムレベルのプラントモデルを作成します。

物理モデリングツールを使用することで、基礎となる第一原理方程式を導くことなく、複雑なマルチドメイン プラント モデルを作成します。Simscape モデルは、物理システムの構造と一致するレイアウトを持っています。電気領域、機械領域、流体領域、その他の物理領域の構成要素をネットワークに接続することによって、モデルを組み立てます。あるいは、モデルの詳細な構造が不明な場合は、AI ベースの手法を含むシステム同定を使用して、入出力データから線形および非線形のプラントダイナミクスを推定します。高次元かつ高忠実度のサードパーティツールを使用してモデル化された構成要素の AI ベースの低次元化モデルを作成します。


フィードバック補償器の設計および調整

閉ループ補償器の解析と開発を行い、オーバーシュート、立ち上がり時間、安定余裕などの重要な性能のパラメーターを評価します。非線形 Simulink モデルの平衡化および線形化を行います。モデルの性能および安定性に対する不確かさの影響をモデル化し、解析することもできます。

ボード線図、根軌跡、その他の線形制御設計手法を利用し、シミュレーション モデルまたはテストハードウェアで PID コントローラーを自動調整します。あらかじめ用意されているツールを使用して、分散型の多変数コントローラーを自動調整したり、高度な制御手法 (モデル予測制御やロバスト制御など) を活用できます。最適化手法を使用してコントローラーのゲインを計算し、立ち上がり時間およびオーバーシュートの制約を満たします。

AI ベースおよびその他のデータ駆動型の制御手法を使用することで、複雑なシステムの性能を向上させます。複雑な非線形ダイナミクスを解析的に導出することが不可能なシナリオで、変化するダイナミクスを学習しそれに適応するコントローラーを開発する場合に、データ駆動型の制御アルゴリズムを使用します。


監視ロジックの設計およびシミュレーション

Stateflow を使用し、制御システムの監視ロジックのモデル化、設計、シミュレーションを行います。この監視ロジックにより、コントローラーの動作のスケジューリング、システムの動作モードの制御、故障検出、分離、回復 (FDIR) を実行します。

グラフィカルなエディターを使用して、ステートマシンまたはフローチャートとしてロジックを構築します。状態遷移図、フローチャート、状態遷移表、真理値表などのグラフィカルな表現および表形式の表現を組み合わせ、イベント、時間ベースの条件、外部入力信号に対するシステムの反応をモデル化することもできます。状態図のアニメーションを使用し、モデル内のアクティブなステートおよび遷移を強調表示することによって、シミュレーション中の動作を可視化します。

監視ロジックの設計およびシミュレーション

組み込みコントローラーへの設計の展開

組み込みコントローラーへの設計の展開

制御システムのアルゴリズムを設計した後は、実装に向けた調整を行うことができます。設計の固定小数点データ型のプロパティを指定することで、固定小数点演算を使用する実装に備えることができます。閉ループ デスクトップ シミュレーションで制御アルゴリズムを検証した後に、C、ストラクチャード テキスト、または HDL のコードを自動生成することによって、それらを量産マイクロコントローラー、PLC、FPGA に展開します。

制御システムのテストと検証を継続的に行うことができます。組み込みコントローラーで制御アルゴリズムを実行し、コントローラーに接続されたターゲット コンピューターでプラントモデルをリアルタイムで実行することによって、ハードウェアインザループ (HIL) テストを行います。形式的検証手法を使用して、制御システムのさらなる検証とテストを行うことができます。


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