System Identification Toolbox には、動的システムモデリング、時系列解析、予測を行うための MATLAB 関数、Simulink ブロック、アプリが用意されています。測定された変数間の動的関係を確認し、時間領域データまたは周波数領域データを使用しながら、連続時間または離散時間で伝達関数、プロセスモデル、状態空間モデルを作成できます。AR、ARMA、その他の線形および非線形自己回帰モデリング手法を使用して、時系列を予測できます。
このツールボックスでは、ガウス過程 (GP)、サポート ベクター マシン (SVM)、その他の表現など、機械学習の手法を用いた Hammerstein-Wiener モデルや非線形 ARX モデルを使用して非線形のシステムダイナミクスを推定できます。あるいは、ディープラーニングを使用してニューラル常微分方程式 (ODE) モデルを作成し、非線形のシステムダイナミクスを取得することもできます。また、グレーボックス システム同定を実行して、ユーザー定義モデルのパラメーターを推定できます。同定したモデルを Simulink に統合して高速なシミュレーションを行い、制御設計、診断、予測に使用できます。
適応制御、故障検出、ソフトセンシング アプリケーション用に拡張またはアンセンテッド カルマン フィルターおよび粒子フィルターを使用し、オンライン パラメーター推定および状態推定を実行できます。オンライン推定アルゴリズム用の C/C++ コードを生成し、組み込みデバイスをターゲットに設定できます。
システム同定アプリ
システム同定アプリを使用して、システムの線形および非線形モデルを対話的に推定します。時間領域データと周波数領域データをインポートおよび前処理します。モデルを同定して比較し、それぞれのプロパティを解析して、テストデータセットに対するモデルの妥当性を確認します。
ドキュメンテーション | 例
線形システム同定
制御設計、システム シミュレーション、予測などのアプリケーション用に、測定された時間領域データまたは周波数領域データから線形モデルを推定します。連続時間または離散時間で、伝達関数、プロセスモデル、状態空間モデル、多項式モデルを作成します。スペクトル解析を使用して、周波数応答モデルを推定します。時間領域および周波数領域で、モデルの応答に対するパラメーターの不確実性の影響を計算し、可視化します。
ドキュメンテーション | 例
非線形システム同定
非線形 ARX および Hammerstein-Wiener モデルを推定して、システムの非線形ダイナミクスを取得します。非線形 ARX モデルを使用して、ウェーブレット ネットワーク、ツリー分割、シグモイド ネットワークで表現される動的非線形性を自己回帰モデルと組み合わせます。さらに、リグレッサーを指定してシステムの物理法則を確認したり、非線形 ARX モデルに最適なリグレッサーのサブセットを自動的に選択したりします。Hammerstein-Wiener モデルを使用して、その他の線形システムの入力および出力の非線形性を推定します。
ドキュメンテーション | 例
AI ベースの非線形システム同定
機械学習およびディープラーニング技術を非線形 ARX および Hammerstein-Wiener モデルと組み合わせて、システムの非線形ダイナミクスを記述します。Statistics and Machine Learning Toolbox および Deep Learning Toolbox では、サポート ベクター マシン (SVM)、ツリーアンサンブル、ガウス過程、フィードフォワード ネットワークを使用して、非線形性を表します。また、ニューラル ODE を使用して、ディープラーニングに基づく非線形状態空間モデルを作成します。
ドキュメンテーション | 例
グレーボックス システム同定
線形または非線形の微分方程式、差分方程式、または状態空間システムを使用してシステムをモデル化します。測定された入出力データからグレーボックスモデルの指定されたパラメーターを推定し、システムのダイナミクスを取得します。
ドキュメンテーション | 例
時系列モデル
システムから測定されたデータに適合するように、時系列モデルまたは信号モデルを推定します。AR、ARMA、ARIMA、状態空間モデルなどの線形モデル、または非線形 ARX などの非線形モデルを使用して時系列を予測します。
ドキュメンテーション | 例
オンライン推定
新しいデータが利用可能になるとモデルのパラメーターを更新する再帰アルゴリズムを使用して、システムのモデルをリアルタイムに推定します。粒子フィルターのほか、線形、拡張、またはアンセンテッド カルマン フィルターを使用して、システム状態を推定します。
ドキュメンテーション | 例
制御システム設計および Simulink
Control System Toolbox を使用してコントローラーを設計および調整するために、推定されたモデルをプラントモデルとして使用します。システム解析、仮想センサーモデリング、低次元化モデリング、制御設計用の組み込みブロックを使用して、推定されたモデル、状態推定器、再帰モデルを Simulink で実装します。
ドキュメンテーション | 例
展開
オンライン故障検出、低次元化モデリング (ROM)、診断および予測などのアプリケーション用に、コード生成を使用して、推定されたモデル、状態推定器、再帰モデルを展開します。Simulink で実装したモデルの場合は、Simulink Coder および Simulink PLC Coder をそれぞれ使用して、C/C++ コードと IEC 61131-3 ストラクチャード テキストを生成します。MATLAB では、MATLAB Coder を使用して C/C++ コードを生成します。あるいは、MATLAB Compiler を使用して、スタンドアロン アプリケーションを生成します。
ドキュメンテーション | 例
製品リソース:
「Optimization Toolbox および System Identification Toolbox を用いて既存の AFR 制御システムの性能を改善することで、排気ガスが大きく削減されました。開発中のエンジンによる開発評価テストの中で、特定の状況下で NOx と CO の排出が半分以上削減されることが分かりました。」
日産自動車株式会社、加藤浩志氏