Simulink.Parameter
パラメーター値の保存、共有、構成
説明
Simulink.Parameter
オブジェクトを作成し、モデル内の 1 つ以上のブロック パラメーターの値を設定します (Gain ブロックの [ゲイン] パラメーターなど)。ワークスペースまたはデータ ディクショナリでオブジェクトを作成します。パラメーター値をオブジェクトに設定して、ブロックからオブジェクトを参照します。
Simulink.Parameter
オブジェクトを使用して、以下を行います。
複数のブロック パラメーター間で値を共有する。
エンジニアリング定数または調整可能なキャリブレーション パラメーターを表す。
パラメーター値をそのデータ型とその他のプロパティから分離する。
コード生成用のパラメーター データを構成する。
オブジェクトの Value
プロパティにパラメーター値が格納されます。このオブジェクトをモデルで使用するには、ブロック パラメーターの値をオブジェクトの名前を含む式に設定します。式から Value
プロパティを省略します。詳細については、パラメーター オブジェクトの使用を参照してください。
ブロック パラメーターの詳細については、ブロック パラメーター値の設定および生成されたコードによる内部信号、状態、パラメーター データの保存方法 (Simulink Coder)を参照してください。
作成
次の方法で Simulink.Parameter
オブジェクトを作成します。
直接ブロック ダイアログ ボックスまたはプロパティ インスペクターから。ワークスペース変数の作成、編集、管理を参照してください。
モデル データ エディターを使用する。[パラメーター] タブを検査します。変数を含む行を右クリックし、コンテキスト メニューから [パラメーター オブジェクトに変換] を選択します。
モデル エクスプローラーを使用する。組み込みのデータ クラス パッケージ Simulink からのデータ オブジェクトの作成を参照してください。
以下で説明する関数
Simulink.Parameter
を使用する。
説明
paramObj = Simulink.Parameter
は、既定のプロパティ値をもつ Simulink.Parameter
オブジェクトを返します。
paramObj = Simulink.Parameter(
は paramValue
)Simulink.Parameter
オブジェクトを返し、Value
プロパティを paramValue
に初期化します。
プロパティ
例
パラメーター オブジェクトを使用して [ゲイン] パラメーターの値を設定する
コマンド プロンプトで、
Simulink.Parameter
オブジェクトを作成します。myParam = Simulink.Parameter;
Value
プロパティに数値を代入します。myParam.Value = 15.23;
パラメーターが取ることのできる最小値および最大値を
Min
プロパティとMax
プロパティを使用して指定します。myParam.Min = 10.11; myParam.Max = 25.27;
新しい Simulink モデルを開きます。Gain ブロックを追加して [ゲイン] パラメーターを
myParam
に設定します。シミュレーション中に、[ゲイン] パラメーターの値として15.23
が使用されます。
パラメーター オブジェクトによって保存された値の変更
コマンド プロンプトで、値
2.52
を保存するSimulink.Parameter
オブジェクトを作成します。myParam = Simulink.Parameter(2.52);
オブジェクトの
Value
プロパティにアクセスすることで値を変更します。この手法により、オブジェクトの他のプロパティの値が保持されます。myParam.Value = 1.13;
特定の数値データ型をもつパラメーター オブジェクトの作成
モデルのメンテナンスを軽減するには、DataType
プロパティを既定値 auto
のまま残します。パラメーター オブジェクトは、オブジェクトを使用するブロック パラメーターからデータ型を取得します。
モデル内で信号のデータ型またはその他のデータ型を変更するときに、データ型変更のリスクを軽減するには、パラメーター オブジェクトのデータ型を明示的に指定します。たとえば、パラメーター データをカスタム コードにエクスポートするコードを生成するときは、オブジェクトのデータ型を明示的に指定します。
MATLAB コマンド プロンプトで、値
18.25
を保存するSimulink.Parameter
オブジェクトを作成します。myParam = Simulink.Parameter(18.25);
式
18.25
は、倍精度の浮動小数点データ型double
を備えた数値18.25
を返します。Value
プロパティは、数値18.25
を倍精度で保存します。DataType
プロパティを使用して、単精度のデータ型single
を指定します。myParam.DataType = 'single';
コードをシミュレーションまたは生成するときに、オブジェクトは
Value
プロパティの値18.25
をDataType
プロパティで指定されたデータ型single
にキャストします。
パラメーター値を数式に設定
この例では、パラメーター オブジェクト myParam
の値を 2 つの他の変数 myVar
と myOtherVar
の和に設定する方法を示します。この手法では、独立変数の値を変更すると、Simulink でパラメーター オブジェクトの新しい値がすぐに計算されます。
2 つの独立変数を作成します。
myVar = 5.2; myOtherVar = 9.8;
パラメーター オブジェクトを作成します。
myParam = Simulink.Parameter;
パラメーター オブジェクトの値を式
myVar + myOtherVar
に設定します。myParam.Value = slexpr('myVar + myOtherVar')
コードをシミュレーションまたは生成すると、式は
15
として評価されます。
バージョン履歴
R2006a より前に導入