Simulink.Breakpoint クラス
パッケージ: Simulink
スーパークラス:
ブレークポイント セットのデータの格納と共有、ASAP2 および AUTOSAR コード生成用のデータの構成
説明
Simulink.Breakpoint
クラスのオブジェクトは、ルックアップ テーブル用のブレークポイント セットのデータを格納します。このデータは、1 つ以上の Prelookup ブロックで使用できます。このオブジェクトにより、ブレークポイント セットのデータ型とコード生成設定を指定し、複数のルックアップ テーブル間でセットを共有できます。Simulink.Breakpoint
オブジェクトと Simulink.LookupTable
オブジェクトを使用して、キャリブレーション用の COM_AXIS コード生成を構成します。
Simulink.Breakpoint
オブジェクトについて生成されたコードは、配列または 2 つのフィールドをもつ構造体です。オブジェクトが構造体として表示されるよう構成した場合、1 つのフィールドは指定されたブレークポイント セットのデータを、1 つのスカラー フィールドはブレークポイント セット データ内の要素数を格納します。構造体の型名、フィールド名、その他の特性は、オブジェクトのプロパティを使用して構成できます。
たとえば STD_AXIS コードの生成など、ルックアップ テーブルとブレークポイント セットのデータを、生成コード上の単一の構造体にパッケージ化するには、Simulink.LookupTable
オブジェクトを使用してすべてのデータを格納します。ルックアップ テーブルの共有ブレークポイントとテーブル データのパッケージ化を参照してください。
Simulink.Breakpoint
からサブクラス化し、基底クラスから継承するには、クラス定義ファイルの最初の行で次の構文を入力します。ここで、myBreakpoint は新しいクラスの名前です。
classdef myBreakpoint < Simulink.Breakpoint
サブクラス化の例については、データ クラスの定義を参照してください。
サブクラスにプロパティを追加する場合、MATLAB® コマンド ラインでサブクラス オブジェクトを表示することでそれらを確認できます。プロパティ ダイアログ ボックスで、これらのプロパティが新しいタブに表示されます。
作成
BpSet = Simulink.Breakpoint
は、既定のプロパティの値をもつ、BpSet
という名前の Simulink.Breakpoint
オブジェクトを返します。
モデル エクスプローラーを使用して Simulink.Breakpoint
オブジェクトを作成するには、ツール バーのボタン を使用します。オブジェクトの既定の名前は Object
です。
プロパティ ダイアログ ボックス
- ブレークポイント
ブレークポイント セットの情報。以下の特性を構成できます。
- 調整可能なサイズをサポートする
生成コード内のテーブルの有効サイズの調整を可能にする指定。このオプションをオンにすると、生成コード内に
Simulink.Breakpoint
オブジェクトが構造体変数として出現します。この構造体には、ブレークポイント ベクトル データを格納する 1 つのフィールドと、ブレークポイント ベクトル内の要素数を格納する 1 つのフィールドがあります。2 番目のフィールドの値を変更し、テーブルの有効サイズを調整できます。このオプションをオフにすると、
Simulink.Breakpoint
オブジェクトが、構造体ではなく独立した配列変数として、生成済みのコード内に出現します。- 値
ブレークポイント セットのデータ。最低 2 つの要素をもつベクトルを指定します。
また、
sin(1:0.5:30)
のように算術演算子を含む式も、その式が数値ベクトルを返す限り使用できます。[適用] または [OK] をクリックすると、オブジェクトは式を実行し、その結果を使用してこのプロパティの値を設定します。[データ型] を
auto
に設定した場合、[値] を設定するためにはsingle([1 2 3])
などの型付き式を使用するか、fi
(Fixed-Point Designer) コンストラクターを使用してfi
オブジェクトを組み込みます。このデータは、より直感的なインターフェイスを使用して、ルックアップ テーブル ブロック内で編集できます。MATLAB からのルックアップ テーブル データのインポートを参照してください。
- データ型
ブレークポイント セットのデータ型。既定の設定は
auto
で、ブレークポイント セットが [値] に指定した値からデータ型を取得することを意味します。[1 2 3]
など型なし式を使用して [値] を設定する場合、ブレークポイント データはデータ型double
を使用します。single([1 2 3])
など型付き式やfi
オブジェクトを指定する場合、ブレークポイント データはその表現またはオブジェクトによって指定されたデータ型を使用します。列挙データ型もサポートされます。整数データ型、half データ型、浮動小数点データ型、固定小数点データ型、またはデータ型の式 (
Simulink.AliasType
オブジェクトの名前など) を明示的に指定できます。Simulink® のデータ型の詳細については、Simulink でサポートされているデータ型を参照してください。
Simulink.LookupTable
オブジェクトおよびSimulink.Breakpoint
オブジェクトのテーブルとブレークポイント データのデータ型を制御する方法を決定するには、ルックアップ テーブル オブジェクトのデータ型の制御 (Simulink Coder)を参照してください。- 次元
ブレークポイント セットの次元の長さ。
シンボリック次元を使用するには、文字ベクトルを指定します。Implement Symbolic Dimensions for Array Sizes in Generated Code (Embedded Coder)を参照してください。
- 最小値
ブレークポイント セットの要素の最小値。既定値は空の
[]
です。数値の実数値を指定できます。Simulink がこのプロパティを使用する方法の詳細については、ブロック パラメーターの最小値と最大値の指定を参照してください。
- 最大値
ブレークポイント セットの要素の最大値。既定値は空の
[]
です。数値の実数値を指定できます。Simulink がこのプロパティを使用する方法の詳細については、ブロック パラメーターの最小値と最大値の指定を参照してください。
- 格納された整数の最小値
固定小数点データ型をもつ
Simulink.Breakpoint
オブジェクトに対するブレークポイント セットの要素の最小値。格納整数値として指定します。値は実際値の [最小値] から派生します。このプロパティは、プロパティ ダイアログ ボックスでのみ使用できます。- 格納された整数の最大値
固定小数点データ型をもつ
Simulink.Breakpoint
オブジェクトに対するブレークポイント セットの要素の最大値。格納整数値として指定します。値は実際値の [最大値] から派生します。このプロパティは、プロパティ ダイアログ ボックスでのみ使用できます。- 単位
ブレークポイント セットの要素の物理単位。
degC
などのテキストを指定できます。Simulink モデルでの単位の指定を参照してください。- フィールド名
生成コード内の構造体フィールドの名前。このフィールドには、ブレークポイント セットのデータが保存されます。既定値は
BP
です。フィールド名を変更するには、テキストを指定します。この列は、[調整可能なサイズをサポートする] を選択したときのみ表示されます。
- 調整可能なサイズの名前
生成コード内の構造体フィールドの名前。このスカラー フィールドはブレークポイント セットの長さ (要素数) を格納し、生成コードのアルゴリズムはこの値を使用してテーブル サイズを決定します。コードの実行中にテーブルの有効なサイズを調整するには、メモリ内でこの構造体フィールドの値を変更します。既定の名前は
N
です。フィールド名を変更するには、テキストを指定します。この列は、[調整可能なサイズをサポートする] を選択したときのみ表示されます。
- 説明
ブレークポイント セットの説明。
This breakpoint set represents the pressure input
などのテキストを指定できます。
- データ定義: ストレージ クラス
生成コード内の構造体変数 ([調整可能なサイズをサポートする] を選択した場合) または配列変数のストレージ クラス。この変数はブレークポイント セットのデータを格納します。既定の設定は、
[自動]
です。ストレージ クラスの詳細については、C Data Code Interface Configuration for Model Interface Elements (Simulink Coder)を参照してください。
Embedded Coder® がある場合、カスタム ストレージ クラスを選択できます。カスタム ストレージ クラスの詳細については、Struct ストレージ クラスを使用してパラメーター データを構造体に整理する (Embedded Coder)を参照してください。
- データ定義: 識別子
生成コードの変数の代替名。既定値が空の場合、生成コードは
Simulink.Breakpoint
オブジェクト名を変数名として使用します。識別子を設定するには、テキストを指定します。このプロパティを有効にするには、[データ定義: ストレージ クラス] を
[Auto]
以外に設定します。- データ定義: 配置
生成コードのデータ配置境界。構造体または配列変数に割り当てられるデータの開始メモリ アドレスは、指定した値の倍数になります。既定値は
-1
です。これは使用に基づいてコード ジェネレーターが最適な配置を決定することを指定します。128 を超えない 2 のべき乗である正の整数を指定します。コード置換のデータ配置を使用する方法の詳細については、Data Alignment for Code Replacement (Embedded Coder)を参照してください。
- 構造体の型定義: 名前
生成コードの構造体変数が使用する構造体の型の名前。既定値は空です。テキストを指定します。
このプロパティは、[調整可能なサイズをサポートする] を選択した場合のみ表示されます。
- 構造体の型定義: データ スコープ
構造体の型定義のスコープ (手書きのコードからインポートされるか、生成コードからエクスポートされるか)。既定値は
[Auto]
です。[Auto]
を選択した場合、次のように処理されます。[構造体の型定義: ヘッダー ファイル] ボックスで値を指定していない場合、生成コードは構造体の型定義をファイル
にエクスポートします。model
_types.h
はモデル名です。model
[構造体の型定義: ヘッダー ファイル] ボックスで
myHdr.h
などの値を指定している場合、生成コードはmyHdr.h
から構造体の型定義をインポートします。
データ スコープを明示的に指定するには、次のようにします。
カスタム コードから生成コードに構造体の型定義をインポートするには、
[Imported]
を選択します。生成コードから構造体の型定義をエクスポートするには、
[Exported]
を選択します。
潜在的な MISRA C:2012 の違反を回避するには、構造体の型定義のデータ スコープを
[インポート]
または[エクスポート]
に設定します。[構造体の型定義: ヘッダー ファイル] ボックスに値を指定しない場合、生成コードと
との間で型定義がインポートまたはエクスポートされます。StructName
.h
は、プロパティ [構造体の型定義: 名前] で指定する名前です。StructName
このプロパティは、[調整可能なサイズをサポートする] を選択した場合のみ表示されます。
- 構造体の型定義: ヘッダー ファイル
構造体の型定義を含むヘッダー ファイルの名前。作成したヘッダー ファイルから定義をインポートするか、生成されたヘッダー ファイルに定義をエクスポートすることができます。構造体の型のスコープを制御するには、[構造体の型定義: データ スコープ] プロパティの設定を調整します。
このプロパティは、[調整可能なサイズをサポートする] を選択した場合のみ表示されます。
プロパティ
コピーのセマンティクス
ハンドル。ハンドル クラスがコピー操作にどのように影響するかについては、オブジェクトのコピーを参照してください。
例
1 次元ルックアップ テーブル間のブレークポイント データの共有
myBpSet
という名前のSimulink.Breakpoint
オブジェクトを作成します。myBpSet = Simulink.Breakpoint
ブレークポイント データを指定します。
myBpSet.Breakpoints.Value = [-2 -1 0 1 2];
FirstLUTObj
という名前のSimulink.LookupTable
オブジェクトを作成します。FirstLUTObj = Simulink.LookupTable;
テーブル データを指定します。
FirstLUTObj.Table.Value = [1.1 2.2 3.3 4.4 5.5];
最初の
FirstLUTObj
をReference
に設定します。FirstLUTObj.BreakpointsSpecification = 'Reference';
ブレークポイント セット オブジェクトを参照するルックアップ テーブルを構成します。
FirstLUTObj.Breakpoints = {'myBpSet'};
テーブル データの別のセットを格納するには、別の
Simulink.LookupTable
オブジェクトを作成します。ルックアップ テーブル オブジェクトを、同じブレークポイント セット オブジェクトを参照するように構成します。SecondLUTObj = Simulink.LookupTable; SecondLUTObj.Table.Value = [1.2 2.3 3.4 4.5 5.6]; SecondLUTObj.BreakpointsSpecification = 'Reference'; SecondLUTObj.Breakpoints = {'myBpSet'};
FirstLUTObj
および SecondLUTObj
を使用して、2 つの異なる Interpolation Using Prelookup ブロックのテーブル データを指定できます。myBpSet
を使用して、Interpolation Using Prelookup ブロックへの入力を提供する 1 つまたは 2 つの Prelookup ブロックにブレークポイント セットのデータを指定します。
制限
FIX_AXIS スタイルに従ってコードを生成することはできません。
サブシステム内のブロックが
Simulink.LookupTable
オブジェクトまたはSimulink.Breakpoint
オブジェクトを使用する場合、データ型オーバーライド (固定小数点のインストルメンテーションおよびデータ型オーバーライドの制御を参照) をサブシステムのみに設定することはできません。代わりに、データ型オーバーライドをモデル全体に設定します。
バージョン履歴
R2016b で導入
参考
Simulink.lookuptable.Breakpoint
| Simulink.lookuptable.StructTypeInfo
| Simulink.lookuptable.Table
| Simulink.Parameter
| Simulink.LookupTable
トピック
- AUTOSAR キャリブレーションおよび測定用のルックアップ テーブルの設定 (AUTOSAR Blockset)
- ルックアップ テーブル ブロックについて
- ルックアップ テーブルの共有ブレークポイントとテーブル データのパッケージ化
- 生成されたコードにおける調整可能なキャリブレーション パラメーターの作成 (Simulink Coder)