TV、スマートフォン、無線LANやBluetoothなどが普及し、現在では膨大な数の無線信号が空中を飛び回っています。無線信号を送信する際に使用する電波の周波数をキャリア(搬送波)周波数と呼び、それぞれの通信システムには、使用可能なキャリア周波数帯が割り振られています。
しかし、各々の信号は混信してはならず、また、電波として利用できる周波数は限られています。そのため、電波を可能な限り、効果的・効率的に利用する必要があります。近年では、機械学習やディープラーニングを無線通信システムに応用することなども検討されていますが、OFDM技術は、それ以前から広く活用されています。
電波を有効活用する技術のひとつに多重化があります。時間や周波数を多重することにより、同一の伝送路を使用して、同一時間に通信が行える容量を増やすことが可能です。時間で多重される場合にはTDM(時分割多重、Time division multiplexing)と呼ばれ、周波数で多重する場合には、FDM(周波数分割多重, Frequency Division Multiplexing)と呼ばれます。
周波数分割多重の場合には、お互いに干渉しない複数のキャリア(マルチキャリア)に分けて、データを分散して送信します(マルチキャリア伝送)。
OFDMのメリット
OFDMは、多くの無線通信規格で広く採用されている方式です。OFDMには次のようなメリットがあります。
- 広帯域チャネルで見られる周波数選択性フェージング(受信信号への悪影響)やマルチパスの歪みを克服できる。
- キャリア同士の間隔を狭めることができ、帯域を有効活用できる
- シングルキャリアと比較してビットレートを低くできる
- サブキャリア毎に変調方式を設定できる
- MIMOやMassive MIMOシステムと連携しやすい:マルチパスの影響を受けることなく他のアンテナから送信された信号を分離できるため
- サブキャリアが重なることで矩形波に近い波形となるため、高い周波数効率であること

W-OFDM、F-OFDM、CP-OFDMのスペクトル比較

FBMC vs OFDM
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