Bluetooth mesh (Bluetoothメッシュ)

Bluetooth mesh とは?

Bluetooth® mesh は、離れた Bluetooth デバイス間で多対多の通信を利用できるようにする、Bluetooth SIG (Bluetooth Special Interest Group) によって開発されたネットワーク技術です。Bluetooth mesh ネットワーキングとも呼ばれ、Bluetooth の Bluetooth Low Energy (LE) 規格に則って実装されています。この技術のマネージド フラッディングと呼ばれるルーティング手法により、個別のネットワークノードに障害が発生した場合でも、堅牢性の高いルーティングを維持します。

システム設計者は、ビルディング オートメーション、センサーネットワーク、産業用照明、スマートホーム、遠隔監視、その他の大規模な IoT (Internet of Things) アプリケーションなどの用途に Bluetooth mesh を使用しています。設計者は Bluetooth mesh を使用することで、以下の機能を活用できます。

  • 低消費電力
  • マルチホップ通信を介したカバレッジ領域の拡大
  • 無線リソースの効率的な利用による優れたネットワーク拡張性
  • 認証と暗号化による通信セキュリティ
  • メッセージ経路の冗長化によるシステムの高信頼性
  • 低ネットワーク レイテンシ

MATLAB での Bluetooth mesh のモデル化

MathWorks の Bluetooth® Toolbox では、Bluetooth mesh ネットワークの作成、構成、可視化の例を使用して、Bluetooth mesh ネットワークを作成することができます。各ネットワークノードは、複数の Bluetooth mesh のプロトコル層 (図 1 に青で表示) をモデル化しています。物理的な Bluetooth mesh ネットワークでは、これらの層によって次の機能が定義されています。

  • ネットワークのプロビジョニング
  • 暗号化、復号化、およびメッセージ認証によるセキュリティ強化
  • メッセージのセグメンテーションと再構築
  • ネットワークの構成と管理
  • ユースケースシナリオの管理 (例: 照明制御)
図 1. メッシュを含む Bluetooth LE プロトコルスタックの簡略図。

図 1. メッシュを含む Bluetooth LE プロトコルスタック。

MATLAB®bluetoothLENode コマンドを使用して、Bluetooth LE ノードを作成することができます。このノードオブジェクトは、PHY と MAC の動作の両方を実行し、送信機と受信機のどちらとしても機能します。以下は、broadcaster-observer ノードを作成する bluetoothLENode 呼び出しからのサンプル出力です。

 >> node = bluetoothLENode("broadcaster-observer") node = bluetoothLENode with properties:TransmitterPower:20 TransmitterGain:0 ReceiverRange:100 ReceiverGain:0 ReceiverSensitivity: -100 NoiseFigure:0 InterferenceFidelity:0 AdvertisingInterval:0.0200 RandomAdvertising:0 ScanInterval:0.0050 MeshConfig: [1×1 bluetoothMeshProfileConfig] Name:"Node1" Position: [0 0 0] Read-only properties:Role: "broadcaster-observer" FriendshipConfig: [1×1 bluetoothMeshFriendshipConfig] TransmitBuffer: [1×1 struct] ID:1 

Bluetooth mesh のノードタイプのモデル化

Bluetooth mesh ネットワーク内のデバイスはノードとも呼ばれ、用途に応じて異なる名前が付けられます。図 2 は、これらの異なるノードタイプ間の相互作用を示しています。

図 2. 異なるタイプの Bluetooth mesh ノードの相互作用。

図 2. 異なるタイプの Bluetooth mesh ノードの相互作用。

各ノードの説明は以下のとおりです。

  • リレーノード: マルチホップを介して受信したメッセージを再送信する
  • 低電力ノード: LPN とも呼ばれる電力に制約のあるノードであり、低電力機能を利用して、無線の稼動時間を最小限に抑え、省電力化することが可能
  • フレンドノード: 電力に制約のないノードであり、LPN をサポートするために動作する (LPN とフレンドノードの関係はフレンドシップと呼ばれます)

MATLAB® を使用すると、無線センサーネットワーク内の Bluetooth mesh ノードの電力プロファイルを可視化することができます。これには、無線センサーネットワークの例における Bluetooth mesh ノードのエネルギー プロファイリングが含まれます。

Bluetooth mesh ネットワーク内のマネージド フラッディングのモデル化

無線センサー ネットワーク内の Bluetooth mesh フラッディングの例では、マネージド フラッディングを実証しています。この例では、ノードの位置やタイプの指定、フラッディングの程度の制御、送信元から送信先へのパケットの流れの可視化、ネットワーク スループットの計算を行うことができます。

多くのメッシュネットワークは、ルーティング メカニズムを実装してメッセージのリレーを最適化します。他のネットワークでは、最適な経路を考慮せずに、リレーメッセージをノードにフラッディングしています。Bluetooth mesh ネットワーキングでは、この両方のメカニズムを含むマネージド フラッディングと呼ばれるアプローチを使用しています。図 3 は、Bluetooth mesh 内のマネージド フラッディングを示しています。

図 3. Bluetooth mesh 内のマネージド フラッディング。

図 3. Bluetooth mesh 内のマネージド フラッディング。

図 3 は、Bluetooth mesh 内の、スイッチと接続された電球との間の通信を示しています。最初は、スイッチと電球はオフの状態です。スイッチをオンの状態にすると、電球を点灯させるメッセージがブロードキャストされます。スイッチの範囲内にあるすべてのメッシュノードにメッセージが届きますが、緑色のリレーノードだけが電球に届くまでメッセージを再送信します。


参考: Bluetooth Toolbox, 無線通信, OFDM, Massive MIMO, RF システム, 5G 無線技術, 5G Toolbox, LTE Toolbox, WLAN Toolbox, Communications Toolbox, Phased Array System Toolbox, DVB-S2, Bluetooth LE とは, 無線ネットワーク, Bluetooth 干渉