解析のための MATLAB 環境には、データの収集とタスクの自動化に必要なツールが用意されています。MATLAB および Simulink 内で、プラグインデータ収集ボードや、テスト用機器、Web カメラ、フレームグラバーを制御してデータを収集したり、CAN バス経由でメッセージを送受信したりできます。
データを収集した後に、対話形式でデータを探索したり、可視化やデータ解析をライブで実行することができます。その後、テストシステムの構築や、設計および概念の検証、繰り返し処理の自動化を行うことができます。また、MATLAB で構築されたテスト アプリケーションを他のコンピューターに配布することもできます。
ハードウェアおよび機器との通信
MATLAB や Simulink と関連製品を使用することで、データ収集ハードウェア、イメージング ハードウェア、機器、または CAN バスを制御してデータを収集できます。また、SPI (Serial Peripheral Interface)、I2C (Inter-Integrated Circuit)、Modbus、および Bluetooth のシリアルプロトコルを使用して、回路基板やセンサーと通信することも可能です。ワークスペースを離れることなく、収集したデータを可視化して解析することができます。
テストおよび計測機器を使用したデータの収集と送信
単一の環境で、柔軟なテストシステムの構築、テストルーチンの自動化、設計の検証、収集したライブデータの解析および可視化を行うことができます。
オシロスコープ、任意波形発生器、信号アナライザーなどのスタンドアロン機器を使用する場合は、Instrument Control Toolbox を使用して機器の制御とデータの収集が行えます。機器との通信を素早く確立するには、GPIB、VISA (USB など)、TCP/IP、UDP などの業界標準の通信プロトコルや、IVI や VXIplug&play などの業界標準のインスツルメント ドライバーを使用して行うことができます。Keysight、Rohde & Schwarz、Tektronix など、複数の機器メーカーに対応しています。LXI、PXI、AXIe 規格に基づき、テストシステムの構築を行うこともできます。
プラグインデータ収集ボードを使用する場合は、Data Acquisition Toolbox を使用して、様々なベンダーのサポートされているボードに接続します。多くのボードにアナログとデジタルの両方の入出力機能が搭載されているため、モーターとセンサーを制御しながら、ライブデータの収集と解析を行うことができます。
I2C、SPI、Modbus、Bluetooth プロトコルを使用したデータの収集と送信
Instrument Control Toolbox (2:31) を使用すると、MATLAB をデバイスに接続して、I2C、SPI、または Bluetooth SPP (Serial Port Profile) 経由で通信できます。このようなプロトコルを使用してメッセージを送受信できるだけでなく、加速度計、温度センサー、湿度センサー、ジャイロスコープなどの組み込みセンサーとインターフェイス接続するアプリケーションを構築できます。また、SPI や I2C 経由で通信する組み込みシステムの一般的なテストを行うことができるほか、Modbus RTU または Modbus TCP/IP を使用して産業機器と通信することができます。
Industrial Communication Toolbox では、OPC UA、Modbus RTU、Modbus TCP/IP、MQTT などのプロトコルを使用して、産業機器やセンサーとの通信を行うことができます。また、PI サーバーとのデータ交換も可能です。
カメラおよびフレームグラバーからのイメージとビデオの取得
Image Acquisition Toolbox では、PC 互換のイメージング ハードウェアから MATLAB や Simulink にイメージやビデオを取り込むことができます。複数のハードウェアベンダーに対応しているため、安価な Web カメラや産業用フレームグラバーから、高感度や高速度などのさまざまな要求に応える高性能の科学用カメラまで、幅広いイメージデバイスを利用できます。イメージを収集したら、MathWorks の画像処理および動画処理製品を使用して特徴を抽出し、さらに解析することができます。
CAN バスとの直接通信
Vehicle Network Toolbox では、Vector や Kvaser のほか、NI-CAN/NI-XNET および PEAK- System インターフェイス ハードウェアをサポートしているため、MATLAB または Simulink のワークスペースから直接、CAN (コントローラー エリア ネットワーク) バストラフィックを監視および解析できます。MATLAB または Simulink から CAN プロトコルおよび XCP プロトコルを使用して、車載ネットワークと直接通信できます。単一環境内で、以下を行うことができます。
- CAN プロトコルおよび XCP プロトコルを介したメッセージの送受信
- 組み込みツールを使用した CAN バストラフィックのライブ監視
- CAN メッセージの自動フィルタリング
- 業界標準の DBC ファイルおよび A2L ファイルの使用
テストデータの解析
データを収集したら、MATLAB や関連するデータ解析製品で解析および可視化ツールを使用できます。同じ環境にデータを収集して解析することで、データから必要な情報を素早く抽出することができます。対話型ツールやコマンドライン関数を使用して、信号および画像処理、統計解析、デジタル フィルタリング、曲線近似、非線形最適化などの作業を行うことができます。また、データ収集やテストデータのライブ解析用にグラフィカル インターフェイスを構築することもできます。
収集したデータを扱う際には、デジタル フィルタリング ルーチンを使用して、対象の信号や特徴を絞り込み、時間領域データを周波数領域に簡単に表示することができます。イメージデータを扱う際は、ノイズを含むイメージや劣化したイメージを復元し、形状やテクスチャの解析が可能です。データを繰り返し収集するようなプロジェクトでは、1 つの現象の統計情報を経時的に調べることができます。
テストの自動化とテスト アプリケーションの構築
MATLAB の機能を使用してテストシステムを自動化することで、データの収集および解析を簡略化できます。テストシステムは、LXI、PXI、および AXIe 規格に基づき、構築できます。グラフィカル インターフェイスを備えたアプリケーションを構築し、MATLAB を使用して他のユーザーとアプリケーションを共有することができます。また、MathWorks のデスクトップおよび Web 配布製品を使用して、MATLAB で構築したテスト アプリケーションを他のコンピューターに配布することも可能です。