フォード・モーター・カンパニーが音質メトリクスを開発し展開

課題

人の主観的な印象と強い相関を示す音質メトリクスの開発と展開

ソリューション

音質解析ツール開発および音質メトリクスの全社と全世界のサプライヤへの展開に、MATLAB プロダクトファミリを活用

結果

  • フォード車の品質が向上
  • 開発期間が6ヶ月も短縮
  • ソースコードの管理が容易に

アルゴリズムの短期開発、データ収集と解析、そして、アプリケーション構築と展開のためのソフトウェアのプラットフォームとして、フォードは、 MATLAB プロダクトファミリを選択しました。

ノック検知の GUI

電動シートアジャスタ、電動ミラー、その他のコンポーネントからの音はもちろん、ロードノイズ、風きり音、エンジン音まで、ノイズの低減は、自動車の主要な設計要求です。最近まで、ノイズの低減と言えば、音全体のレベルの低減が主な取組み内容でした。しかし、シャープネス、ラウドネス、変動強度などの評価量が音質知覚に影響することを技術者も認識するようになってきました。

費用も時間もかかる聴感実験を行わず、好ましい音響環境を得るために、技術者は人の主観的な印象と強い相関を示す客観的な音質メトリクスを開発する必要があります。

フォードの研究、先行開発、量産部門のグループは、フォード全社と全世界のサプライヤ向けに、MATLAB® で音質解析ツールと信頼性の高い音質メトリクスを開発しました。そして、3週間も経たないうちに、比較的初心者でも、プログラミングすることなく、開発したアプリケーションを利用できるように、フォードは、MATLAB Compiler™ を用いて、MATLAB で開発したメトリクスからスタンドアロン・アプリケーションを作成しました。

課題

規格化されている唯一のメトリクス(ISO 532B)は、定常ラウドネスです。他のメトリックスは全て、ベンダー固有のもので、ベンダー毎に異なります。

フォードは、使い易く、拡張性があり、サードパーティの解析システムへのプラグインとして、音質メトリクスと一緒に、安価に配布できる測定解析ツールの開発に着手しました。そして、そのスタンドアロン版には、記録、再生、編集、データベースとの連携、信号解析、人の主観的な印象と強い相関を示す音質メトリクスの算出という基本的な機能が必要でした。

ソリューション

アルゴリズムの短期開発、データ収集と解析、そして、アプリケーション構築と展開のためのソフトウェアのプラットフォームとして、フォードは、 MATLAB プロダクトファミリを選択しました。MATLAB と MATLAB Compiler を用いて、フォードは、開発した音質メトリクスを複数のサードパーティの解析システムへ展開しましたが、そこで利用した MATLAB のソースコードのバージョンは一つでした。

MATLAB と MATLAB Compiler により、フォードは、MATLABベースの DLL を生成し、音質メトリクスをサプライヤのサードパーティの解析システムに統合しました。他の言語で記述されたサードパーティの音質解析システムは、信号とデータを MATLAB ベース DLL に渡します。さらに、フォードは、MATLAB を使い、Simple Sound Quality Tool (SSQT)というツールの GUI フロント・エンドを開発し、MATLAB Compiler でコンパイルし、スタンドアロン・アプリケーションとして、サプライヤに配布しました。

このアプローチを用い、MATLAB アプリケーションを他の言語に書き換え、MATLAB のない環境で動作させるようにするプロセスを避けることにより、フォードは、開発期間を最大で6ヶ月も削減しました。このアプローチでは、また、オリジナルの MATLAB アプリケーションを更新するだけでよいので、アプリケーションの維持が容易になりました。こうして、フォードは、MATLAB ベースのスタンドアロン・アプリケーションを全世界の25を越えるサプライヤに配布しました。サプライヤは、データ収集にも SSQT メトリクスを用いたデータ解析にも、自社のサードパーティ・システムを利用することができるようになったのです。

Signal Processing Toolbox™ と Statistics and Machine Learning Toolbox™ を用いて、フォードの技術者は、音の大きさ、甲高さ、変動感を客観的に測るラウドネス、シャープネス、変動強度に対する様々な音質メトリクスを開発しました。フォードの技術者は、スイッチ、ワイパー、その他のインテリア装備品はもちろん、シート、ペダル、ミラーまで、電気モータから発する音の音質評価にこれらのメトリクスを利用します。

フォードの技術者は、また、通常の音質メトリクスで特徴づけるには困難な、突風、インパルス状のエンジン・ノイズ、ノッキングなどの時間変化する様々な音を処理するアルゴリズムも開発しました。フォードの技術者は、MATLAB ツールと MATLAB Compiler を用い、これら音質メトリクスを開発し、スタンドアロン化したのです。

結果

  • フォード車の品質が向上. SSQT により、フォード、サプライヤ共に、同じメトリクスを用い、不整合を排除できるため、サプライヤはフォード車の音質要求をクリアできるようになりました。

  • 開発期間が6ヶ月も短縮. フォードは、MATLAB Compiler により、開発したメトリクスを容易に展開し、開発期間を6ヶ月も短縮しました。 MATLAB Compiler がなければ、サードパーティの解析システムへのプラグインのためには、サードパーティ・ソフトウェアの特別なバージョンか、または、多大なる手間をかけて音質メトリクスをCコードに変換する必要があるでしょう。

  • ソースコードの管理が容易に. MATLAB 環境では、MATLAB ファイルを維持すればよいため、技術者はソースコードの管理を容易に行えます。スタンドアロン・アプリケーションもプラグインも、同じコードから生成されるため、同じ実行結果が得られます。