信号値の調査
モデルに関する貴重なデータをブロック間で送信している間は、信号が異なる値をとる場合があります。この節では、信号の初期化と表示の方法と信号がとることができるデータ型と次元に関する詳細情報を学習します。
信号値の初期化
信号に明示的な初期値がない場合、Simulink® が使用する初期値は信号のデータ型に依存します。
信号のデータ型 | 既定の初期値 |
---|---|
数値 (固定小数点以外) | ゼロ |
固定小数点 | 実際のグラウンド値 |
boolean | 偽 |
列挙型 | 既定値 |
シミュレーションの開始時に Simulink で使用するために、信号の既定ではない初期値を指定できます。
任意の信号について、信号オブジェクト (
Simulink.Signal)
) を定義し、その信号オブジェクトを使用して信号の初期値を指定できます。Outport、Data Store Memory、Memory などの一部のブロックは、信号オブジェクト、ブロック パラメーターまたはその両方を使用して、ブロックの状態または出力の初期値を指定できます。
詳細については、信号と離散状態の初期化を参照してください。
信号値の表示
シミュレーション中に信号の値を表示するためにブロックまたは信号ビューアー (信号とスコープのマネージャーなど) のいずれかを使用できます。たとえば、シミュレーション中に、Scope ブロックまたは信号とスコープのマネージーを使用して、オシロスコープのような表示画面に時変信号をグラフ化することができます。信号値を表示するオプションについての一般情報は、Scope ブロックとスコープ ビューアーの概要を参照してください。詳細は、以下を参照してください。
モデルの信号を表示するために使用できるブロック。Sinksを参照
信号ビューアー。フローティング スコープおよびスコープ ビューアー タスク
信号とスコープのマネージャー。ビューアーおよびジェネレーター マネージャーを参照
テスト ポイント。モデルで Floating Scope ブロックを使用するときに、観測可能なことを Simulink が保証する信号。テスト ポイントとしての信号の設定を参照。
モデル ブロック線図での信号値の表示
モデル ブロック線図に信号値のグラフィッカルな表示を含めるには、以下の方法のいずれか 1 つを使用します。
シミュレーション中のデータ ヒントの表示
Simulink は、シミュレーションの実行中に、ブロック線図上にデータ ヒントとして、多くのブロックの出力 (端子の値) を表示することができます。
Simulink エディターで、[デバッグ] タブで [出力値] を選択し、[信号] タブに移動し、[値ラベル] 、 [値の表示の切り替え] ボタンで切り替えを行います。
表示オプションを変更するには、[オプション] サブメニューを使用します。
詳細については、端子の値のラベルを使用した信号値の表示を参照してください。
シミュレーション後の信号値の表示
シミュレーション後に特定の信号の下に信号値を表示するには、以下の手順を実行します。
信号を右クリックします。
コンテキスト メニューで [選択した端子の値ラベルを表示] を選択します。
信号のデータ型
データ型とは、内部的に信号の値を表すために使う形式のことです。既定の設定では、Simulink 信号のデータ型は double です。他のデータ型の信号を作成することができます。Simulink の信号は、MATLAB® と同じ範囲のデータ型をサポートします。詳細については、Simulink におけるデータ型についてを参照してください。
複素数信号
信号の値は、複素数または実数にできます。値が複素数である信号は、複素数信号です。以下の方法のいずれか 1 つを使用して複素数値の信号を作成します。
ルートレベルの Inport ブロックを使用して MATLAB ワークスペースからモデルに複素数値の信号データを読み込みます。
モデルに Constant ブロックを作成し、その値を複素数に設定します。
複素数信号の実数部と虚数部に対応する実数の信号を作成し、Real-Imag to Complex 変換ブロックを使用してそれらを複素数信号に結合します。
複素数信号を受け取るブロックを通して、複素数信号を操作します。ブロックが複素数信号を受け入れるかについて不明な場合は、そのブロックのドキュメンテーションを参照してください。
信号データのエクスポート
シミュレーション中に信号値を MATLAB ワークスペースに保存して、後で取り出して後処理することができます。さまざまな方法の要約は、シミュレーション データの保存を参照してください。