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pzmap

動的システムの極-零点配置図

説明

[p,z] = pzmap(sys) は、動的システム モデル sys のシステムの極と伝達零点を返します。

次の図は、連続時間 (左) と離散時間 (右) の線形時変モデルの極-零点配置図を示しています。

  • システム連続時間の場合、安定性を確実にするには複素 s 平面上のすべての極が左半平面 (青い領域) になければなりません。異なる極が虚軸上にある場合、つまり極の実数部がゼロである場合、システムは辛うじて安定しています。

  • 離散時間システムの場合、複素 z 平面にあるすべての極が単位円 (青い領域) 内になければなりません。システムが単位円上に 1 つ以上の極をもつ場合、システムは辛うじて安定しています。

pzmap(sys) は、sys の極-零点配置図をプロットします。プロットでは、極と零点が xo でそれぞれ表されます。SISO システムでは、pzmap はシステムの極と零点をプロットします。MIMO システムでは、pzmap はシステムの極と伝達零点をプロットします。

pzmap(sys1,sys2,...,sysN) は、単一のプロットに複数のモデルの極と零点をプロットします。モデルの入力数と出力数は異なっていても構いません。また、連続システムと離散システムの組み合わせが使用できます。

pzmap(sys1,ColorSpec1,...,sysN,ColorSpecN) は、各システムのプロットの色を設定します。プロットをさらにカスタマイズするには、pzplot を使用します。

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次の伝達関数で表される連続時間システムの極と零点をプロットします。

H(s)=2s2+5s+1s2+3s+5.

H = tf([2 5 1],[1 3 5]);
pzmap(H)
grid on

MATLAB figure

グリッドをオンにすると、一定の減衰比 (zeta) と一定の固有振動数 (wn) が線で表示されます。このシステムには、o でマークされる 2 つの実数零点がプロット上にあります。このシステムには x でマークされる複素数の極の組もあります。

離散時間の同定された状態空間 (idss) モデルの極-零点配置図をプロットします。実際には、システムの入出力測定値に基づいた推定で idss モデルを取得できます。この例では、状態空間データから 1 つ作成します。

A = [0.1 0; 0.2 -0.9]; 
B = [.1 ; 0.1]; 
C = [10 5]; 
D = [0];
sys = idss(A,B,C,D,'Ts',0.1);

極-零点配置図を調べます。

pzmap(sys)

MATLAB figure

システムの極は x でマークされ、零点は o でマークされます。

この例では、伝達関数モデルの 3 行 1 列の配列を読み込みます。

load('tfArray.mat','sys');
size(sys)
3x1 array of transfer functions.
Each model has 1 outputs and 1 inputs.

配列の各モデルの極と零点を異なる色でプロットします。この例では、配列の最初のモデルに赤、2 番目のモデルに緑、3 番目のモデルに青を使用します。

pzmap(sys(:,:,1),'r',sys(:,:,2),'g',sys(:,:,3),'b')
sgrid

MATLAB figure

sgrid は、減衰比および固有振動数が一定のラインを極-零点プロットの s 平面にプロットします。

pzmap を使用して次の伝達関数の極と零点を計算します。

sys(s)=4.2s2+0.25s-0.004s2+9.6s+17

sys = tf([4.2,0.25,-0.004],[1,9.6,17]);
[p,z] = pzmap(sys)
p = 2×1

   -7.2576
   -2.3424

z = 2×1

   -0.0726
    0.0131

この例では、各階に 2 つの変位と 1 つの回転という 3 つの自由度がある 8 階建てのビルのモデルを使用します。これらのいずれかの変位に対する I/O 関係は 48 状態モデルとして表され、各状態は変位またはその変化率 (速度) を表します。

ビルのモデルを読み込みます。

load('building.mat');
size(G)
State-space model with 1 outputs, 1 inputs, and 48 states.

システムの極と零点をプロットします。

pzmap(G)

MATLAB figure

プロットから、モデルを簡略化するためにモデル応答全体に影響を与えることなく消去が可能な、ほぼ相殺される極-零点のペアがいくつもあることがわかります。pzmap は、このようなほぼ相殺される極-零点のペアを視覚的に特定し、極-零点の簡略化を実行するのに役立ちます。

入力引数

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動的システム。SISO または MIMO 動的システム モデルか、動的システム モデルの配列として指定します。使用できる動的システムには次のようなものがあります。

  • tfzpkss モデルなどの連続時間または離散時間の数値 LTI モデル。

  • sparss モデルまたは mechss モデルなどのスパース状態空間モデル。

  • genssuss (Robust Control Toolbox) モデルなどの一般化された、あるいは不確かさをもつ LTI モデル。不確かさをもつモデルを使用するには Robust Control Toolbox™ ソフトウェアが必要です。

    • 調整可能な制御設計ブロックの場合、関数は応答をプロットするモデルをその現在の値で評価します。

    • 不確かさをもつ制御設計ブロックの場合、関数はモデルのノミナル値とランダム サンプルをプロットします。

  • idtf (System Identification Toolbox)idss (System Identification Toolbox)idproc (System Identification Toolbox) モデルなどの同定された LTI モデル。同定されたモデルを使用するには System Identification Toolbox™ ソフトウェアが必要です。

sys がモデルの配列である場合、プロットは同じ座標軸上に配列のすべてのモデルの応答を表示します。

色。次の値のいずれかとして指定します。

説明
"r"
"g"
"b"
"c"シアン
"m"マゼンタ
"y"黄色
"k"
"w"

出力引数

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システムの極。固有振動数の昇順に並んだ列ベクトルとして返されます。p は、順番を除いて pole(sys) の出力と同じです。

システムの伝達零点。列ベクトルとして返されます。ztzero(sys) の出力と同じです。

ヒント

  • 関数 sgrid または zgrid を用いて、減衰比および固有振動数が一定のラインを極-零点プロットの s 平面または z 平面にプロットします。

  • MIMO モデルの場合、pzmap は 1 つのプロットにすべてのシステムの極と伝達零点を表示します。個々の入出力ペアの極と零点をマッピングするには、iopzmap を使用します。

  • 極-零点プロットの外観をカスタマイズする追加オプションには、pzplot を使用します。

バージョン履歴

R2006a より前に導入