damp
固有振動数と減衰比
説明
例
連続時間システムの固有振動数、減衰比および極の表示
この例では、次の連続時間伝達関数モデルについて考えます。
連続時間伝達関数を作成します。
sys = tf([2,5,1],[1,0,2,-3]);
sys
の固有振動数、減衰比、時定数および極を表示します。
damp(sys)
Pole Damping Frequency Time Constant (rad/seconds) (seconds) 1.00e+00 -1.00e+00 1.00e+00 -1.00e+00 -5.00e-01 + 1.66e+00i 2.89e-01 1.73e+00 2.00e+00 -5.00e-01 - 1.66e+00i 2.89e-01 1.73e+00 2.00e+00
sys
の極には、s 平面の左半分にある不安定な極と複素共役の組が含まれます。不安定な極に対応する減衰比は -1 です。これは、システムの発振を増やして、システムを不安定にさせるため、減衰力ではなく駆動力と呼ばれます。
離散時間システムの固有振動数、減衰比および極の表示
この例では、サンプル時間が 0.01 秒の次の離散時間伝達関数を考えてみます。
.
離散時間伝達関数を作成します。
sys = tf([5 3 1],[1 6 4 4],0.01)
sys = 5 z^2 + 3 z + 1 --------------------- z^3 + 6 z^2 + 4 z + 4 Sample time: 0.01 seconds Discrete-time transfer function.
damp
コマンドを使用して sys
の極に関する情報を表示します。
damp(sys)
Pole Magnitude Damping Frequency Time Constant (rad/seconds) (seconds) -3.02e-01 + 8.06e-01i 8.61e-01 7.74e-02 1.93e+02 6.68e-02 -3.02e-01 - 8.06e-01i 8.61e-01 7.74e-02 1.93e+02 6.68e-02 -5.40e+00 5.40e+00 -4.73e-01 3.57e+02 -5.93e-03
Magnitude
列は離散時間の極の振幅を表示します。Damping
、Frequency
、および Time Constant
の各列は、等価な連続時間の極を使用して計算された値を表示します。
零点-極-ゲイン モデルの固有振動数と減衰比
この例では、2 つの出力と 1 つの入力を使用して離散時間零点-極-ゲイン モデルを作成します。0.1 秒のサンプル時間を使用します。
sys = zpk({0;-0.5},{0.3;[0.1+1i,0.1-1i]},[1;2],0.1)
sys = From input to output... z 1: ------- (z-0.3) 2 (z+0.5) 2: ------------------- (z^2 - 0.2z + 1.01) Sample time: 0.1 seconds Discrete-time zero/pole/gain model.
零点-極-ゲイン モデル sys
の固有振動数と減衰比を計算します。
[wn,zeta] = damp(sys)
wn = 3×1
12.0397
14.7114
14.7114
zeta = 3×1
1.0000
-0.0034
-0.0034
wn
と zeta
の各エントリは、sys
における I/O の組み合わされた数を表します。zeta
は wn
の固有振動数値の昇順で並べ替えられます。
状態空間モデルの固有振動数、減衰比および極の計算
この例では、次の状態空間モデルの固有振動数、減衰比、および極を計算します。
状態空間行列を使用して状態空間モデルを作成します。
A = [-2 -1;1 -2]; B = [1 1;2 -1]; C = [1 0]; D = [0 1]; sys = ss(A,B,C,D);
sys
の固有振動数、減衰比および極を計算するには、damp
を使用します。
[wn,zeta,p] = damp(sys)
wn = 2×1
2.2361
2.2361
zeta = 2×1
0.8944
0.8944
p = 2×1 complex
-2.0000 + 1.0000i
-2.0000 - 1.0000i
sys
の極は、s 平面の左半分にある複素共役です。対応する減衰比は 1 未満です。したがって、sys
は不足減衰システムです。
入力引数
sys
— 線形動的システム
動的システム モデル
線形動的システム。SISO または MIMO 動的システム モデルとして指定します。使用できる動的システムには次のようなものがあります。
出力引数
アルゴリズム
damp
では、システムの極の固有振動数、時定数および減衰比を以下の表に定義されているように計算します。
連続時間 | サンプル時間 Ts の離散時間 | |
---|---|---|
極配置 |
|
|
同等の連続時間の極 |
|
|
固有振動数 |
|
|
減衰比 |
|
|
時定数 |
|
|
サンプル時間が指定されていない場合、damp
はサンプル時間値を 1 と仮定して、zeta
を計算します。
バージョン履歴
R2006a より前に導入R2023b: 出力動作の変更
システムでゼロまたは無限大に極がある場合の関数 damp
の出力動作が変更されました。
関数は以下の値を返すようになりました。
連続時間
極配置 固有振動数 減衰比 0
0
–1
Inf
Inf
–1
離散時間
極配置 固有振動数 減衰比 0
Inf
+1
1
0
–1
Inf
Inf
–1
数値的には、安定した無限大の極と不安定な無限大の極に差はありません。したがって、関数はすべての無限大の極を不安定とみなします。
以前は、こうした場合に関数は NaN
を返していました。
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