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RayTracing

レイ トレーシング伝播モデル

説明

レイ トレーシング モデルは、3 次元環境のジオメトリを使用して伝播パスを計算します[1][2]RayTracing オブジェクトを使用して、レイ トレーシング モデルを表現します。

レイ トレーシング モデル:

  • 100 MHz ~ 100 GHz で有効。

  • 複数の伝播パスを計算。他の伝播モデルは、単一の伝播パスのみを計算。

  • 3 次元の屋外環境と屋内環境をサポート。

  • 伝播パスにおける信号の水平偏波と垂直偏波のトレースなどの電磁解析を使用して各光線のパス損失と位相シフトを判定。パス損失には自由空間損失と反射損失が含まれます。それぞれの反射について、モデルはフレネル方程式を使用して水平偏波と垂直偏波の損失を計算します。この計算には、入射角と指定された周波数における表面材料の比誘電率および伝導率[3][4]が使用されます。

Shooting and Bounicng Rays (SBR) 法またはイメージ手法を使用してレイ トレーシング モデルを作成できます。

作成

関数 propagationModel を使用して RayTracing オブジェクトを作成します。

プロパティ

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レイトレーシング

レイ トレーシング手法。次のいずれかの値として指定します。

  • "sbr"Shooting and Bounicng Rays (SBR) 法を使用します。これは、最大 10 回のパス反射をサポートします。SBR ではおおよその伝播パスを計算します。SBR 法の方がイメージ手法よりも一般に高速になります。モデルは、自由空間損失に加え、材料やアンテナの偏波による反射損失からもパス損失を計算します。

  • "image"イメージ手法を使用します。これは、最大 2 回のパス反射をサポートし、正確な伝播パスを計算します。モデルは、自由空間損失に加え、材料やアンテナの偏波による反射損失からもパス損失を計算します。

MaxNumReflections プロパティを使用してパス反射の最大数を指定します。

イメージ手法と SBR 法の違いの詳細については、伝播モデルの選択を参照してください。

データ型: char | string

発射光の角距離。次のいずれかの値として指定します。

  • "high" — 光線の角距離は [0.9912, 1.1845] の範囲であり、度単位で測定されます。この場合、40,962 本の光線がモデルから発射されます。

  • "medium" — 光線の角距離は [0.4956, 0.5923] の範囲であり、度単位で測定されます。この場合、163,842 本の光線がモデルから発射されます。

  • "low" — 光線の角距離は [0.2478, 0.2961] の範囲であり、度単位で測定されます。この場合、655,362 本の光線がモデルから発射されます。

低い角距離でのレイ トレーシング解析は、より多くの光線がモデルから発射されるため、高い角距離でのレイ トレーシング解析よりも時間がかかる可能性があります。

ヒント

関数 coverage を使用してカバレッジ マップを作成するときに、より低い角距離を選択することで結果を改善できます。

依存関係

発射光の角距離を有効にするには、Method プロパティを "sbr" として指定しなければなりません。

データ型: char | string

レイ トレーシングを使用して検索するパス反射の最大数。整数として指定します。サポートされる値は、Method プロパティの値によって異なります。

  • Method"image" の場合、サポートされる値は 01、および 2 です。

  • Method"sbr" の場合、[0, 10] の範囲の値がサポートされます。

データ型: double

サイト位置の座標系。"geographic" または "cartesian" として指定します。"geographic" を指定する場合、BuildingsMaterial プロパティと TerrainMaterial プロパティを使用して材料タイプを定義します。"cartesian" を指定する場合、SurfaceMaterial プロパティを使用して材料タイプを定義します。

データ型: string | char

建物の材料

地理的建物の表面材料。"perfect-reflector""concrete""brick""wood""glass""metal""custom" のいずれかの値として指定します。モデルは、この材料タイプを使用して、伝播パスが建物の表面で反射される際の反射損失を計算します。詳細については、一般的な材料に対する ITU 比誘電率と伝導率の値を参照してください。

BuildingsMaterial"custom" の場合、BuildingsMaterialPermittivity プロパティと BuildingsMaterialConductivity プロパティを使用して、材料の誘電率と伝導率を指定します。

依存関係

BuildingsMaterial を有効にするには、CoordinateSystem"geographic" に設定しなければなりません。

データ型: char | string

建物の表面材料の比誘電率。非負のスカラーとして指定します。比誘電率は、材料の真空の誘電率に対する絶対的な誘電率の比率として表されます。モデルはこの値を使用して、反射によるパス損失を計算します。既定の値は 1.9 GHz におけるコンクリートに対応します。

依存関係

BuildingsMaterialPermittivity を有効にするには、CoordinateSystem"geographic" に設定し、BuildingsMaterial"custom" に設定しなければなりません。

データ型: double

建物の表面材料の伝導率。非負のスカラーとしてジーメンス毎メートル (S/m) 単位で指定します。モデルはこの値を使用して、反射によるパス損失を計算します。既定の値は 1.9 GHz におけるコンクリートに対応します。

依存関係

BuildingsMaterialConductivity を有効にするには、CoordinateSystem"geographic" に設定し、BuildingsMaterial"custom" に設定しなければなりません。

データ型: double

地形材料

地理的地形の表面材料。"perfect-reflector""concrete""brick""water""vegetation""loam""custom" のいずれかの値として指定します。モデルは、この材料タイプを使用して、伝播パスが地形の表面で反射される際の反射損失を計算します。詳細については、一般的な材料に対する ITU 比誘電率と伝導率の値を参照してください。

TerrainMaterial"custom" の場合、TerrainMaterialPermittivity プロパティと TerrainMaterialConductivity プロパティを使用して、材料の誘電率と伝導率を指定します。

依存関係

TerrainMaterial を有効にするには、CoordinateSystem"geographic" に設定しなければなりません。

データ型: char | string

地形材料の比誘電率。非負のスカラーとして指定します。比誘電率は、材料の真空の誘電率に対する絶対的な誘電率の比率として表されます。モデルはこの値を使用して、反射によるパス損失を計算します。既定の値は 1.9 GHz におけるコンクリートに対応します。

依存関係

TerrainMaterialPermittivity を有効にするには、CoordinateSystem"geographic" に設定し、TerrainMaterial"custom" に設定しなければなりません。

データ型: double

地形材料の伝導率。非負のスカラーとしてジーメンス毎メートル (S/m) 単位で指定します。モデルはこの値を使用して、反射によるパス損失を計算します。既定の値は 1.9 GHz におけるコンクリートに対応します。

依存関係

TerrainMaterialConductivity を有効にするには、CoordinateSystem"geographic" に設定し、TerrainMaterial"custom" に設定しなければなりません。

データ型: double

表面材料

直交マップ表面の表面材料。"plasterboard""perfect-reflector""ceilingboard""chipboard""floorboard""concrete""brick""wood""glass""metal""water""vegetation""loam""custom" のいずれかの値として指定します。モデルは、この材料タイプを使用して、伝播パスが表面で反射される際の反射損失を計算します。詳細については、一般的な材料に対する ITU 比誘電率と伝導率の値を参照してください。

SurfaceMaterial"custom" の場合、SurfaceMaterialPermittivity プロパティと SurfaceMaterialConductivity プロパティを使用して、材料の誘電率と伝導率を指定します。

依存関係

SurfaceMaterial を有効にするには、CoordinateSystem"cartesian" に設定しなければなりません。

データ型: char | string

表面材料の比誘電率。非負のスカラーとして指定します。比誘電率は、材料の真空の誘電率に対する絶対的な誘電率の比率として表されます。モデルはこの値を使用して、反射によるパス損失を計算します。既定の値は 1.9 GHz における石こうボードに対応します。

依存関係

SurfaceMaterialPermittivity を有効にするには、CoordinateSystem"cartesian" に設定し、SurfaceMaterial"custom" に設定しなければなりません。

データ型: double

表面材料の伝導率。非負のスカラーとしてジーメンス毎メートル (S/m) 単位で指定します。モデルはこの値を使用して、反射によるパス損失を計算します。既定の値は 1.9 GHz における石こうボードに対応します。

依存関係

SurfaceMaterialConductivity を有効にするには、CoordinateSystem"cartesian" に設定し、SurfaceMaterial"custom" に設定しなければなりません。

データ型: double

オブジェクト関数

pathloss無線波伝播のパス損失
add伝播モデルの追加

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SBR 法とイメージ手法を使用して、シカゴにおける反射伝播パスを表示します。

シカゴの建物を含むサイト ビューアーを作成します。osm ファイルの詳細については、[1] を参照してください。

viewer = siteviewer("Buildings","chicago.osm");

建物の上に送信機サイトを作成し、別の建物の近くに受信機サイトを作成します。

tx = txsite("Latitude",41.8800, ...
    "Longitude",-87.6295, ...
    "TransmitterFrequency",2.5e9);
show(tx)
rx = rxsite("Latitude",41.8813452, ...
    "Longitude",-87.629771, ...
    "AntennaHeight",30);
show(rx)

レイ トレーシング モデルを作成します。イメージ手法を使用し、最大 1 回の反射でパスを計算します。次に、伝播パスを表示します。

pm = propagationModel("raytracing","Method","image", ...
    "MaxNumReflections",1);
raytrace(tx,rx,pm)

このレイ トレーシング モデルでは、送信機から受信機への伝播パスが 1 つあります。

レイ トレーシング モデルを更新し、SBR 法を使用して、最大 2 回の反射でパスを計算します。伝播パスを表示します。

pm.Method = "sbr";
pm.MaxNumReflections = 2;
clearMap(viewer)
raytrace(tx,rx,pm)

更新されたレイ トレーシング モデルは、送信機から受信機までの 3 つの伝播パスを表示します。

付録

[1] osm ファイルは、クラウドソーシングによる世界中の地図データへのアクセスを提供する https://www.openstreetmap.org からダウンロードされたものです。このデータは Open Data Commons Open Database License (ODbL) https://opendatacommons.org/licenses/odbl/ によりライセンスされています。

シカゴの建物を含むサイト ビューアーを作成します。.osm ファイルの詳細については、[1] を参照してください。

viewer = siteviewer("Buildings","chicago.osm");

建物の上に送信機サイトを作成し、別の建物の近くに受信機サイトを作成します。

tx = txsite("Latitude",41.8800, ...
    "Longitude",-87.6295, ...
    "TransmitterFrequency",2.5e9);
show(tx)

レイ トレーシング モデルを作成します。レイ トレーシング モデルは既定で SBR 法を使用します。反射の最大数を 2 に設定します。次に、カバレッジ マップを表示します。

pm = propagationModel("raytracing","Method","sbr", ...
    "MaxNumReflections",2);
coverage(tx,pm,"SignalStrengths",-100:5)

付録

[1] .osm ファイルは、クラウドソーシングによる世界中の地図データへのアクセスを提供する "https://www.openstreetmap.org" からダウンロードされたものです。このデータは Open Data Commons Open Database License (ODbL) https://opendatacommons.org/licenses/odbl/ によりライセンスされています。

詳細

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参照

[1] Yun, Zhengqing, and Magdy F. Iskander. “Ray Tracing for Radio Propagation Modeling: Principles and Applications.” IEEE Access 3 (2015): 1089–1100. https://doi.org/10.1109/ACCESS.2015.2453991.

[2] Schaubach, K.R., N.J. Davis, and T.S. Rappaport. “A Ray Tracing Method for Predicting Path Loss and Delay Spread in Microcellular Environments.” In [1992 Proceedings] Vehicular Technology Society 42nd VTS Conference - Frontiers of Technology, 932–35. Denver, CO, USA: IEEE, 1992. https://doi.org/10.1109/VETEC.1992.245274.

[3] International Telecommunications Union Radiocommunication Sector. Effects of building materials and structures on radiowave propagation above about 100MHz. Recommendation P.2040-1. ITU-R, approved July 29, 2015. https://www.itu.int/rec/R-REC-P.2040-1-201507-I/en.

[4] International Telecommunications Union Radiocommunication Sector. Electrical characteristics of the surface of the Earth. Recommendation P.527-5. ITU-R, approved August 14, 2019. https://www.itu.int/rec/R-REC-P.527-5-201908-I/en.

[5] International Telecommunications Union Radiocommunication Sector. Propagation by diffraction. Recommendation P.526-15. ITU-R, approved October 21, 2019. https://www.itu.int/rec/R-REC-P.526-15-201910-I/en.

[6] Keller, Joseph B. “Geometrical Theory of Diffraction.” Journal of the Optical Society of America 52, no. 2 (February 1, 1962): 116. https://doi.org/10.1364/JOSA.52.000116.

バージョン履歴

R2019b で導入

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