sigstrength
受信信号強度
説明
は、指定された伝播モデルを使用して、受信機サイトにおける信号強度を返します。伝播モデルを指定することは、名前と値の引数 ss = sigstrength(rx,tx,propmodel)PropagationModel を指定することと同じです。
は、前の構文にある任意の引数の組み合わせに加え、名前と値の引数を使用してオプションを指定します。たとえば、ss = sigstrength(___,Name=Value)Type="efield" は電界強度単位 (dBμV/m) で信号強度を返します。
例
送信機サイトを作成します。
tx = txsite(Name="Fenway Park", ... Latitude=42.3467, ... Longitude=-71.0972);
感度が dBm 単位で定義された受信機サイトを作成します。
rx = rxsite(Name="Bunker Hill Monument", ... Latitude=42.3763, ... Longitude=-71.0611, ... ReceiverSensitivity=-90);
受信電力とリンク マージンを計算します。リンク マージンは、受信感度と受信電力の差です。
ss = sigstrength(rx,tx)
ss = -71.1414
margin = abs(rx.ReceiverSensitivity - ss)
margin = 18.8586
シカゴの建物を指定してサイト ビューアーを起動します。OpenStreetMap® ファイルの詳細については、[1] を参照してください。
viewer = siteviewer(Buildings="chicago.osm");
建物の上に送信機サイトを作成します。
tx = txsite(Latitude=41.8800, ... Longitude=-87.6295, ... TransmitterFrequency=2.5e9);
別の建物の近くに受信機サイトを作成します。
rx = rxsite(Latitude=41.881352, ... Longitude=-87.629771, ... AntennaHeight=30);
レイ トレーシング伝播モデルを作成します。MATLAB® は、RayTracing オブジェクトを使用してこのモデルを表現します。既定では、伝播モデルは SBR 法を使用し、最大 2 回の表面反射を伴う伝播パスを検出します。
pm = propagationModel("raytracing");受信機サイト、送信機サイト、および伝播モデルを使用して信号強度を計算します。
ssTwoReflections = sigstrength(rx,tx,pm)
ssTwoReflections = -54.3151
伝播パスをプロットします。
raytrace(tx,rx,pm)

RayTracing オブジェクトを変更して、最大 5 回の反射を伴うパスを検出します。次に、信号強度を再計算します。
pm.MaxNumReflections = 5; ssFiveReflections = sigstrength(rx,tx,pm)
ssFiveReflections = -53.3965
RayTracing オブジェクトは、既定で、地形の材料としてコンクリートを使用し、建物の材料として OpenStreetMap ファイルから取得した材料を使用します。OpenStreetMap ファイルで材料が指定されていない場合、モデルはコンクリートを使用します。建物と地形の材料タイプを変更して、完全な電気伝導体をモデル化します。
pm.TerrainMaterial = "PEC"; pm.BuildingsMaterial = "PEC"; ssPerfect = sigstrength(rx,tx,pm)
ssPerfect = -38.9334
更新された伝播モデルの伝播パスをプロットします。
raytrace(tx,rx,pm)

付録
[1] OpenStreetMap ファイルは、クラウドソーシングによる世界中の地図データへのアクセスを提供する https://www.openstreetmap.org からダウンロードされたものです。このデータは Open Data Commons Open Database License (ODbL) https://opendatacommons.org/licenses/odbl/ によりライセンスされています。
入力引数
受信機サイト。rxsite オブジェクト、または rxsite オブジェクトの配列として指定します。
送信機サイト。txsite オブジェクトまたは txsite オブジェクトの配列として指定します。
パス損失の計算に使用する伝播モデル。次のオプションのいずれかとして指定します。
"freespace"— 自由空間伝播モデル"rain"— 降雨伝播モデル"gas"— ガス伝播モデル"fog"— 霧伝播モデル"close-in"— 近距離伝播モデル"longley-rice"— Longley-Rice 伝播モデル"tirem"— TIREM™ 伝播モデル"raytracing"— Shooting and Bouncing Rays (SBR) 法を使用するレイ トレーシング伝播モデル。レイ トレーシング モデルを入力として指定した場合、この関数はフェーザの和を使用してマルチパス干渉を組み込みます。関数
propagationModelを使用して作成した伝播モデル。たとえば、propagationModel("raytracing","Method","image")を指定して、イメージ手法を使用するレイ トレーシング伝播モデルを作成することができます。
既定値は、入力サイトで使用される座標系によって異なります。
| 座標系 | 伝播モデルの既定値 |
|---|---|
"geographic" |
|
"cartesian" |
|
"longley-rice" や "tirem" などの地形伝播モデルは、CoordinateSystem の値が "geographic" であるサイトでのみサポートされます。
名前と値のペアの引数 PropagationModel を使用して伝播モデルを指定することもできます。
名前と値の引数
オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで、Name は引数名で、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペアの順序は重要ではありません。
例: sigstrength(rx,tx,Type="efield") は電界強度単位 (dBμV/m) で信号強度を返します。
R2021a より前では、コンマを使用して名前と値をそれぞれ区切り、Name を引用符で囲みます。
例: sigstrength(rx,tx,"Type","efield") は電界強度単位 (dBμV/m) で信号強度を返します。
計算する信号強度のタイプ。以下のいずれかのオプションとして指定します。
"power"— 信号強度は、移動体受信機の入力における信号を電力単位 (dBm) で表したものになります。"efield"— 信号強度は、アンテナに入射される信号波を電界強度単位 (dBμV/m) で表したものになります。
データ型: char | string
パス損失の計算に使用する伝播モデル。次のオプションのいずれかとして指定します。
"freespace"— 自由空間伝播モデル"rain"— 降雨伝播モデル"gas"— ガス伝播モデル"fog"— 霧伝播モデル"close-in"— 近距離伝播モデル"longley-rice"— Longley-Rice 伝播モデル"tirem"— TIREM 伝播モデル"raytracing"— Shooting and Bouncing Rays (SBR) 法を使用するレイ トレーシング伝播モデル。レイ トレーシング モデルを入力として指定した場合、この関数はフェーザの和を使用してマルチパス干渉を組み込みます。関数
propagationModelを使用して作成した伝播モデル。たとえば、propagationModel("raytracing","Method","image")を指定して、イメージ手法を使用するレイ トレーシング伝播モデルを作成することができます。
既定値は、入力サイトで使用される座標系によって異なります。
| 座標系 | 伝播モデルの既定値 |
|---|---|
"geographic" |
|
"cartesian" |
|
"longley-rice" や "tirem" などの地形伝播モデルは、CoordinateSystem の値が "geographic" であるサイトでのみサポートされます。
データ型: char | string
可視化または表面データのマップ。siteviewer オブジェクト、triangulation オブジェクト、string スカラー、文字ベクトルのいずれかとして指定します。有効な既定値は、座標系に応じて異なります。
| 座標系 | 有効なマップ値 | 既定のマップ値 |
|---|---|---|
"geographic" |
|
|
"cartesian" |
|
|
a Alignment of boundaries and region labels are a presentation of the feature provided by the data vendors and do not imply endorsement by MathWorks®. | ||
ほとんどの場合、この引数を siteviewer や "none" 以外の値として指定した場合は出力引数も指定しなければなりません。
データ型: char | string
出力引数
参照
[1] International Telecommunications Union Radiocommunication Sector. Effects of Building Materials and Structures on Radiowave Propagation Above About 100MHz. Recommendation P.2040. ITU-R, approved August 23, 2023. https://www.itu.int/rec/R-REC-P.2040/en.
[2] International Telecommunications Union Radiocommunication Sector. Electrical Characteristics of the Surface of the Earth. Recommendation P.527. ITU-R, approved September 27, 2021. https://www.itu.int/rec/R-REC-P.527/en.
[3] Mohr, Peter J., Eite Tiesinga, David B. Newell, and Barry N. Taylor. “Codata Internationally Recommended 2022 Values of the Fundamental Physical Constants.” NIST, May 8, 2024. https://www.nist.gov/publications/codata-internationally-recommended-2022-values-fundamental-physical-constants.
拡張機能
sigstrength 関数は GPU でのレイ トレーシング解析をサポートしますが、次の使用上の注意および制限があります。
RayTracing伝播モデル オブジェクトが入力として指定され、オブジェクトのUseGPUプロパティが"on"または"auto"である場合、関数は GPU で実行されます。GPU がレイ トレーシング解析を高速化できる条件については、
RayTracingオブジェクトのUseGPUプロパティを参照してください。場合によっては、アルゴリズムとハードウェア実装のわずかな違いにより、GPU とローカル CPU の結果が異なることがあります。
GPU でレイ トレーシング解析を実行する方法の例については、Accelerate Ray Tracing Analysis Using GPUを参照してください。
バージョン履歴
R2019b で導入レイ トレーシング モデルを使用して受信電力を計算する際、sigstrength 関数は追加の材料を使用してレイ トレーシング解析を実行します。この変更の結果、シーン内の材料に応じて、sigstrength 関数は、R2025a では以前のリリースと異なる値を返す可能性があります。
レイ トレーシング モデルを使用して受信電力を計算する際、sigstrength 関数は改良されたアルゴリズムと定数値を使用します。
SBR 法では、シーン内の追加のエッジを回折の候補として使用します。その結果、SBR 法では、R2025a において以前のリリースよりも多くの光線を見つけることができるようになっています。
Antenna Toolbox™ または Phased Array System Toolbox™ の偏波アンテナをもつ送信機と受信機を指定すると、関数は光線の位相シフトを計算するために、アンテナの遠方界パターンを異なる方法で組み込む改良されたアルゴリズムを使用します。
関数は、2022 年の科学技術データ委員会 (CODATA) による基本定数の調整で推奨されている定数値[3]を使用します。以前のリリースでは、この関数は国際電気通信連合勧告 (ITU-R) P.2040 および P.527 の定数値を使用していました。
これらの変更の結果、sigstrength 関数は、R2025a では以前のリリースと異なる値を返す可能性があります。
次の場合、関数 sigstrength は同じシーンで複数の材料を使用してレイ トレーシング解析を実行します。
glTF ファイルからシーンを作成し、
"raytracing"、またはSurfaceMaterialプロパティが"auto"(既定) に設定されたRayTracing伝搬モデル オブジェクトとして入力引数propmodelを指定。OpenStreetMap® ファイルまたは地理空間テーブルからシーンを作成し、
"raytracing"、またはBuildingsMaterialプロパティが"auto"(既定) に設定されたRayTracing伝搬モデル オブジェクトとして入力引数propmodelを指定。
関数 sigstrength は、ファイルまたはテーブルに保存された材料を使用してレイ トレーシング解析を実行します。ファイルまたはテーブルで材料が指定されていない場合、またはレイ トレーシング解析でサポートされていない材料がファイルまたはテーブルで指定されている場合、この関数は、代わりにコンクリートを使用します。
その結果、関数 sigstrength は、R2023b では以前のリリースとは異なる値を返す可能性があります。ファイルまたはテーブルに保存された材料が使用されるのを回避するには、RayTracing オブジェクトを作成し (関数 propagationModel を使用)、SurfaceMaterial プロパティを "plasterboard" に設定し、BuildingsMaterial プロパティを "concrete" に設定します。次に、そのオブジェクトを関数 sigstrength への入力として使用します。
Shooting and Bounicng Rays (SBR) 法を使用する RayTracing 伝搬モデル オブジェクトを入力として指定した場合、複雑なシーンにおける関数 sigstrength のパフォーマンスが向上します。
MATLAB® がレイ トレーシング解析を実行するのに必要な時間は、シーン、および RayTracing オブジェクトのプロパティ (AngularSeparation、MaxNumDiffractions、MaxNumReflections、MaxAbsolutePathLoss、および MaxRelativePathLoss プロパティなど) によって異なります。MaxAbsolutePathLoss プロパティと MaxRelativePathLoss プロパティに適度な値を設定すると、R2023a と比べて R2023b のレイ トレーシング解析が 2 倍以上高速になる場合があります。
レイ トレーシング伝播モデルは、パス損失しきい値に基づいて伝播パスを破棄します。既定では、propmodel 入力引数を "raytracing" または RayTracing オブジェクトとして指定したときに、伝播モデルは最も強いパスより 40 dB を超えて弱いパスを破棄します。
その結果、関数 sigstrength は、R2023a では以前のリリースとは異なる値を返す可能性があります。相対パス損失しきい値に基づいてパスが破棄されることを回避するには、RayTracing オブジェクトを作成し (関数 propagationModel を使用)、その MaxRelativePathLoss プロパティを Inf に設定します。次に、そのオブジェクトを関数 sigstrength への入力として使用します。
レイ トレーシング モデルを使用して受信電力を計算する際、関数 sigstrength がフェーザの和を使用してマルチパス干渉を考慮するようになりました。以前のリリースで、この関数は電力の和を使用していました。そのため、R2022b では以前のリリースよりも正確な計算結果が得られます。
R2021b 以降、関数 sigstrength を使用し、引数 propmodel または名前と値の引数 PropagationModel を "raytracing" として指定した場合、この関数は、Shooting and Bouncing Rays (SBR) 法を使用して最大 2 回の反射を計算します。以前のリリースでは、関数 sigstrength はイメージ手法を使用し、最大 1 回の反射を計算します。
代わりにイメージ手法を使用して受信信号強度を計算するには、関数 propagationModel を使用して伝播モデルを作成します。次に、伝播モデルを入力として関数 sigstrength を使用します。コードを更新する方法を次の例に示します。
pm = propagationModel("raytracing","Method","image"); ss = sigstrength(rx,tx,pm)
SBR 法とイメージ手法の詳細については、伝播モデルの選択を参照してください。
R2021b 以降、すべての RF 伝播関数は既定で SBR 法を使用し、最大 2 回の反射を計算します。詳細については、既定のモデリング手法は Shooting and Bouncing Rays 法を参照してください。
MATLAB Command
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