このページの翻訳は最新ではありません。ここをクリックして、英語の最新版を参照してください。
Discrete Filter
無限インパルス応答 (IIR) フィルターのモデル化
ライブラリ:
Simulink /
Discrete
説明
Discrete Filter ブロックは、指定したデジタル IIR フィルターで各入力チャネルの信号を個別にフィルター処理します。フィルター構造を [Direct form I
]、[Direct form I transposed
]、[Direct form II
]、[Direct form II transposed
] のいずれかとして指定できます。ブロックは、固定係数をもつ静的フィルターを実現します。また、これらの静的フィルターの係数は調整することができます。
このブロックは、時間とともに入力信号の各チャネルに個々にフィルターをかけます。[入力処理] パラメーターを使用して、ブロックが入力の各要素を処理する方法を指定できます。入力要素を独立したチャネル (サンプル ベース処理) として扱うか、入力の各列を独立したチャネル (フレーム ベース処理) として扱うかを指定できます。フレームベースの処理を実行するには、DSP System Toolbox™ のライセンスがなければなりません。
[分子係数] パラメーターのフィルター タップの行列を指定した場合を除き、出力の次元は入力の次元と等しくなります。指定した場合は、その出力の次元は指定する別のフィルター タップのセット数に従います。
分子係数 パラメーターを使用して、Discrete フィルターの分子多項式の係数を指定します。分母係数 パラメーターを使用して、関数の分母多項式の係数を指定します。分母係数 パラメーターは、係数のベクトルでなければなりません。
z-1 の昇べきの順で分子多項式と分母多項式の係数を指定します。Discrete Filter ブロックを使うと、z-1 (遅れ演算子) の多項式を使用して、離散システムを表すことができます。通常、信号処理技術者はこの方法を使用します。一方、Discrete Transfer Fcn ブロックを使うと、z の多項式を使用して、離散システムを表すことができます。通常、制御技術者はこの方法を使用します。分子多項式と分母多項式の長さが同じ場合、2 つの方法は等しくなります。
初期状態の指定
[ダイアログ] および [入力端子] モードでは、既定の設定により内部フィルターの状態はゼロに設定されています。これは過去の入力および出力がゼロであると仮定することに相当します。オプションの 初期状態 パラメーターを選択すると、フィルター遅延の初期状態に非ゼロを指定できます。
初期状態に指定しなければならない数値や、その指定方法に関しては、以下の「入力可能な初期状態」の表および遅延要素数 (フィルター状態)を参照してください。初期状態 パラメーターは次の表に記述されている 4 つの形式のうちの 1 つになります。
入力可能な初期状態
初期状態 | 例 | 説明 |
---|---|---|
スカラー |
各チャネルの各遅延要素は | フィルターのすべての遅延要素がスカラー値に初期化されます。 |
ベクトル | 2 つの遅延要素があるフィルターの場合: [d1d2] すべてのチャネルでの遅延要素が d1 および d2。 | 各ベクトル要素が、対応する遅延要素に対して一意の初期状態を指定します。ブロックは初期状態と同じベクトルを入力信号の各チャネルに適用します。ベクトル長は、フィルター内の遅延要素の数と一致しなければなりません (遅延要素数 (フィルター状態)の表のとおり)。 |
ベクトルまたは行列 | 3 チャネルの入力信号および 2 つの遅延要素のフィルターの場合: [d1d2D1D2d1d2] または
| ベクトルや行列の各要素は、対応するチャネルの対応する遅延要素に固有な初期状態を指定します。
|
空行列 |
| 空行列、 |
入力チャネルごとの遅延要素数 (フィルター状態) は、次の表に示すようにフィルター構造に依存します。
遅延要素数 (フィルター状態)
フィルター構造 | チャネルごとの遅延要素数 |
---|---|
|
|
|
|
以下の表は、[入力処理] パラメーターをフレーム ベースまたはサンプル ベースに設定したかどうかに応じて、さまざまな入力サイズおよびさまざまなチャネル数に関する有効な初期状態について説明しています。
フレームベースの処理
入力 | チャネル数 | 有効な初期状態 (ダイアログ ボックス) | 有効な初期状態 (入力端子) |
---|---|---|---|
| 1 |
|
|
| N |
|
|
サンプルベースの処理
入力 | チャネル数 | 有効な初期状態 (ダイアログ ボックス) | 有効な初期状態 (入力端子) |
---|---|---|---|
| 1 |
|
|
| N |
|
|
| K×N |
|
|
初期状態 がスカラーのとき、ブロックはすべてのフィルター状態を同じスカラー値に初期化します。すべての状態をゼロに初期化するには、0
を入力します。初期状態 がベクトルか行列の場合、ベクトルや行列の各要素は、対応する一意の初期状態を示します。この一意の状態は対応するチャネルの遅延要素に対応します。
ベクトル長は、フィルター内の遅延要素の数と一致しなければなりません (
M = max(number of zeros, number of poles)
)。行列は、フィルター内の遅延要素の行数と一致しなければなりません (
M = max(number of zeros, number of poles)
)。さらに行列には、入力信号のチャネルごとに 1 列必要です。
初期フィルター出力 y1、初期入力 u1、初期状態 [x1, x2] の関係は、次の方程式で与えられます。
ここで、
b1、b2、および b3 は、離散フィルターの分子係数です。
a1、a2、および a3 は、離散フィルターの分母係数です。
この関係を示す例については、Discrete Filter ブロックに初期条件のベクトルを指定するを参照してください。
端子
入力
出力
パラメーター
ブロックの特性
拡張機能
バージョン履歴
R2006a より前に導入
参考
Discrete FIR Filter | Allpole Filter (DSP System Toolbox) | Digital Filter Design (DSP System Toolbox) | Filter Realization Wizard (DSP System Toolbox) | dsp.IIRFilter
(DSP System Toolbox) | dsp.AllpoleFilter
(DSP System Toolbox) | filterDesigner
(DSP System Toolbox) | fvtool
(Signal Processing Toolbox)
トピック
- サンプルベースおよびフレームベースの概念 (DSP System Toolbox)
- 状態の取り扱い