丸めモード
数値を有限精度で表す場合、使用可能な範囲のすべての数値を正確に表すことができるとは限りません。固定小数点数に対する演算の結果は、元の数の形式より長いレジスタに通常格納されます。結果を元の形式に戻すには、丸め手法を使用して値を表現可能な数値にキャストします。Fixed-Point Designer™ ソフトウェアには 7 つの丸めモードが用意されており、設計の丸めモードを選択する際にコストと精度の間で柔軟にバランスを取ることができます。
丸めモードの選択方法の詳細については、Choose a Rounding Modeを参照してください。
丸めモードの指定
[整数丸めモード] パラメーターを使用して、Data Type Conversion ブロックなどの固定小数点 Simulink ブロックの丸めモードを指定できます。

各丸めモードに対応する関数が MATLAB® で使用可能です。
fimathオブジェクトを構築する際に丸めモードを指定することもできます。
Ceiling
正方向に丸める場合、正の数値と負の数値はどちらも正の無限大方向に丸められます。その結果、正の累積バイアスがこの数にもたらされます。
関数 ceil を使用して正方向に丸めることができます。

Convergent
Convergent 丸め (最も近い偶数方向への丸め) では、最も近い表現可能な値に丸めますが、等距離の場合は最も近い偶数の整数に丸められ、丸めによってバイアスが除去されます。ただし、この丸め手法ではオーバーフローが発生する可能性があります。
関数 convergent を使用して偶数丸めを行うことができます。

Floor
負方向に丸める場合、正の数値と負の数値はどちらも負の無限大方向に丸められます。その結果、負の累積バイアスがこの数にもたらされます。
関数 floor を使用して負方向に丸めることができます。

Nearest
最も近い正の整数方向に丸める場合、数は最も近い表現可能な値に丸められます。等距離の場合、最も近い整数への丸めは、正の無限大方向の最も近い表現可能な数値に丸めます。
関数 nearest を使用して最も近い整数に丸めることができます。

Round
Round 丸め (最も近い整数方向への丸め) では、最も近い表現可能な数値に丸めます。等距離の場合は、次のようになります。
正数は、正の無限大方向の最も近い表現可能な数値に丸められます。
負数は、負の無限大方向の最も近い表現可能な数値に丸められます。
その結果、
小さな負のバイアスが負のサンプルにもたらされます。
正と負の値が均一に分布されたサンプルにはバイアスは発生しません。
小さな正のバイアスが正のサンプルにもたらされます。
関数 round を使用してこのような丸めを実行できます。

Simplest
Simplest 丸め (最も簡潔な丸め) モードでは、生成されたコード内の余分な丸めコードを削減または除去しようとします。Simplest 丸めモードが丸め動作を調整する方法の詳細については、効率的なコードを生成するための最も簡潔な丸めモードの使用を参照してください。ほとんどすべての場合には、最も簡潔な丸めモードによって最も効率的なコードが生成されます。この丸めモードは、Simulink でのみ使用可能です。
Zero
ゼロ方向の丸めは、計算の面では最も簡潔な丸めモードになります。必要な数を超える桁はすべて破棄されます。ゼロ方向の丸めの結果は、常に絶対値がより正確な元の値以下となる数値になります。
ゼロ方向の丸めでは、正の数値の結果に下向きの累積バイアスがもたらされ、負の数値の結果に上向きの累積バイアスがもたらされます。つまり、正の数値はすべてより小さな正の数値に丸められ、負の数値はすべてより大きな負の数値に丸められます。
関数 fix を使用してゼロ方向に丸めることができます。

ゼロ方向の丸めと切り捨て
ゼロ方向の丸めと "切り捨て" または "チョッピング" は、同じものであると見なされることがあります。ただし、ゼロ方向の丸めと切り捨てによって生じる結果は、符号なしの数や 2 の補数では異なります。
たとえば、5 ビットの符号なしの数の 2 つの最下位ビットを切り捨てることで、ゼロ方向に丸める場合を考えてみましょう。符号なしの数 100.01 = 4.25 は 100 = 4 に切り捨てられます。したがって、符号なしの数の切り捨ては、ゼロ方向の丸めまたは負方向の丸めと同じになります。
次に、2 つの最下位ビットを切り捨てて 5 ビットの 2 の補数を丸める場合を考えてみましょう。2 の補数 100.01 = -3.75 をゼロ方向に丸めると、-3.00 になります。しかし、100.01 = -3.75 の下位 2 桁を除去してバイナリ ワードを切り捨てると 100 = -4 になり、これは負方向の丸めと同じ結果です。
参考
ceil | convergent | floor | nearest | round | fix