コンポジションと ECU ソフトウェア シミュレーション
相互接続され、連携して動作する複数の AUTOSAR ソフトウェア コンポーネント モデルを開発する場合は、シミュレーション用に AUTOSAR コンポジション モデルに結合できます。コンポジションは、ソフトウェア コンポーネントの関連グループを集約する AUTOSAR ソフトウェア コンポーネントです。コンポジションはコンポーネントのスケーリングをサポートし、設計における複雑度を管理するのに役立ちます。
AUTOSAR コンポジションの Simulink® 表現を作成するには、次のいずれかの操作を行います。
コンポジションの AUTOSAR XML (ARXML) 記述をインポートする (Classic Platform)。
モデルを作成し、Model ブロックを使用して AUTOSAR コンポーネント モデルを参照および接続する。
あるいは、System Composer™ ソフトウェアがある場合は、AUTOSAR アーキテクチャ モデルを作成し、Software Composition ブロックを使用して AUTOSAR コンポジションをモデル化できます。詳細については、ソフトウェア アーキテクチャのモデル化を参照してください。
コンポジション モデルをシミュレーションする場合、集約された AUTOSAR コンポーネントを組み合わせた動作をシミュレーションします。
AUTOSAR Classic Platform の場合、AUTOSAR Blockset は基本ソフトウェア (BSW) ブロックを提供します。これにより、AUTOSAR ランタイム環境で実行する BSW サービスへのソフトウェア コンポーネントの呼び出しをモデル化できます。BSW サービスには NVRAM Manager (NvM)、Diagnostic Event Manager (Dem) および Function Inhibition Manager (FiM) があります。ランタイム環境では、AUTOSAR ソフトウェア コンポーネントは通常、クライアント/サーバー通信または送信側/受信側通信を使用して BSW サービスにアクセスします。
BSW サービスを呼び出す AUTOSAR コンポーネントをシミュレーションするには、含めるコンポジション モデルを作成し、事前構成された BSW サービス コンポーネント ブロックを追加します。このブロックは、BSW サービスの参照実装を提供します。
Simulink Design Verifier™ がある場合は、AUTOSAR コンポーネント モデルで検証を実行できます。
ブロック
Control Function Available Caller | AUTOSAR Function Inhibition Manager (FiM) サービス インターフェイス ControlFunctionAvailable の呼び出し (R2020a 以降) |
Dem Status Inject | 回復をテストするためのイベント障害の挿入 (R2022a 以降) |
Dem Status Override | 動作をシミュレートして検証するためのイベントのオーバーライド (R2022a 以降) |
DiagnosticEventAvailableCaller | AUTOSAR Diagnostic Event Manager (Dem) サービス インターフェイス EventAvailable の呼び出し (R2020a 以降) |
DiagnosticInfoCaller | AUTOSAR Diagnostic Event Manager (Dem) サービス インターフェイス DiagnosticInfo の呼び出し |
DiagnosticMonitorCaller | AUTOSAR Diagnostic Event Manager (Dem) サービス インターフェイス DiagnosticMonitor の呼び出し |
DiagnosticOperationCycleCaller | AUTOSAR Diagnostic Event Manager (Dem) サービス インターフェイス OperationCycle の呼び出し (R2020a 以降) |
Diagnostic Service Component | エミュレーション用の AUTOSAR 診断サービスおよびランタイム環境 (RTE) の構成 |
Function Inhibition Caller | AUTOSAR Function Inhibition Manager (FiM) サービス インターフェイス FunctionInhibition の呼び出し (R2020a 以降) |
NvMAdminCaller | AUTOSAR NVRAM Manager (NvM) サービス インターフェイス NvMadmin の呼び出し |
NvMServiceCaller | AUTOSAR NVRAM Manager (NvM) サービス インターフェイス NvMService の呼び出し |
NVRAM Service Component | エミュレーション用 AUTOSAR NVRAM サービスおよびランタイム環境 (RTE) の構成 |
関数
createCompositionAsModel | AUTOSAR ARXML ソフトウェア コンポジションの Simulink 表現の作成 |
updateModel | ARXML の変更内容の AUTOSAR モデルまたはアーキテクチャへの更新 |
トピック
- AUTOSAR ソフトウェア コンポーネントとコンポジション
再使用可能な AUTOSAR ソフトウェア コンポーネントを開発し組み立てて AUTOSAR コンポジションを作成します。
- AUTOSAR コンポジションの Simulink へのインポート
AUTOSAR ソフトウェア コンポジションの XML 記述から Simulink® モデルを作成します。
- アトミック ソフトウェア コンポーネントをもつ AUTOSAR ソフトウェア コンポジションのインポート (Classic Platform)
AUTOSAR ソフトウェア コンポジションとそれに含まれるコンポーネントおよびコンポジションをインポートします。
- AUTOSAR ソフトウェア コンポーネントの結合とシミュレーション
コンポジション モデルの AUTOSAR ソフトウェア コンポーネントをシミュレーションのため結合します。
- AUTOSAR コンポーネントと生成されたコードの設計とシミュレーション
動作アルゴリズムの実装、コンポーネントとコンポジションのシミュレーション、コンポーネント コードの生成を行い、AUTOSAR のコンポーネントを開発します。
- AUTOSAR 基本ソフトウェア サービス呼び出しのモデル化
AUTOSAR ソフトウェア コンポーネントと AUTOSAR 基本ソフトウェア (BSW) サービスの間の通信をモデル化する。
- AUTOSAR Diagnostic Event Manager サービスの呼び出しの構成
事前設定された AUTOSAR 基本ソフトウェア ブロックを使用して Diagnostic Event Manager (Dem) サービスに対するコンポーネント呼び出しを実装する。
- AUTOSAR Function Inhibition Manager サービスの呼び出しの構成
事前設定された AUTOSAR 基本ソフトウェア ブロックを使用して Function Inhibition Manager (FiM) サービスに対するコンポーネント呼び出しを実装する。
- AUTOSAR NVRAM Manager サービスの呼び出しの構成
事前設定された AUTOSAR 基本ソフトウェア ブロックを使用して NVRAM Manager (NvM) サービスに対するコンポーネント呼び出しを実装する。
- シミュレーション用の AUTOSAR 基本ソフトウェア サービス実装の構成
AUTOSAR 基本ソフトウェアの呼び出し側ブロックをシステムレベルでシミュレーションする場合は、基本ソフトウェア サービスの参照実装を使用します。
- AUTOSAR 基本ソフトウェア サービスとランタイム環境のシミュレーション
参照実装を使用して、基本ソフトウェア メモリと診断サービスへの AUTOSAR コンポーネント呼び出しをシミュレートします。
- AUTOSAR 関数抑止のサービス呼び出しの構成とシミュレーション
参照実装を使用して、基本ソフトウェアの関数抑止および関連するサービスへの AUTOSAR コンポーネント呼び出しをシミュレーションします。
- 診断フォールト挿入を使用した AUTOSAR コンポーネントの動作のシミュレーションと検証
この例では、AUTOSAR Diagnostic Event Manager (Dem) の呼び出しを含む Simulink® でモデル化された AUTOSAR コンポーネントの動作をシミュレートして検証する方法を説明します。