AUTOSAR ソフトウェアコンポーネントの結合とシミュレーション

相互接続され、連携して動作する複数の AUTOSAR ソフトウェアコンポーネントモデルを開発する場合は、シミュレーション用に AUTOSAR コンポジションモデルに結合できます。コンポジションは、ソフトウェアコンポーネントの関連グループを集約する AUTOSAR ソフトウェアコンポーネントです。

AUTOSAR コンポジションの Simulink^® 表現を作成するには、次のいずれかの操作を行います。

コンポジションの AUTOSAR XML (ARXML) 記述をインポートする (Classic Platform)。
モデルを作成し、Model ブロックを使用して AUTOSAR コンポーネントモデルを参照および接続する。

あるいは、System Composer™ ソフトウェアがある場合は、AUTOSAR アーキテクチャモデルを作成し、Software Composition ブロックを使用して AUTOSAR コンポジションをモデル化できます。詳細については、ソフトウェアアーキテクチャのモデル化を参照してください。

コンポジションモデルをシミュレーションする場合、集約された AUTOSAR コンポーネントを組み合わせた動作をシミュレーションします。

AUTOSAR コンポーネントとコンポジションの開発が終わった後、1 つのシステムレベルのシミュレーションに属するコンポーネントのグループをテストすることができます。たとえば、コンポジション、コンポーネント、スケジューラ、プラントモデル、および場合によっては基本ソフトウェアサービスコンポーネントおよび呼び出し元を含む、システムレベルのモデルを作成できます。システムレベルのモデルを構成して閉ループシステムのシミュレーションや開ループシステムのシミュレーションを実行できます。

AUTOSAR コンポジションのモデル (Classic Platform) としてのインポート

コンポジションは、ソフトウェアコンポーネントの関連グループを集約する AUTOSAR ソフトウェアコンポーネントです。コンポジションはコンポーネントのスケーリングをサポートし、設計における複雑度を管理するのに役立ちます。

AUTOSAR Classic Platform 向けのソフトウェアコンポーネントを開発している場合、ARXML ファイルからコンポジション記述をインポートして AUTOSAR コンポジションモデルを作成できます。AUTOSAR インポーター関数 createCompositionAsModel を使用します。この関数呼び出しでは、ARXML ファイル例 ThrottlePositionControlComposition.arxml からコンポジションモデル ThrottlePositionControlComposition が作成されます。

openExample('ImportAUTOSARCompositionToSimulinkExample');
ar = arxml.importer('ThrottlePositionControlComposition.arxml');
createCompositionAsModel(ar,'/Company/Components/ThrottlePositionControlComposition');

集約された AUTOSAR コンポーネントを組み合わせた動作をシミュレーションするには、コンポジションモデルをシミュレーションします。モデルウィンドウで [実行] ボタンをクリックするか、またはこの MATLAB^® コマンドを入力します。

simOutComposition = sim('ThrottlePositionControlComposition');

詳細については、AUTOSAR コンポジションの Simulink へのインポートを参照してください。

AUTOSAR コンポーネントのシミュレーションのためのコンポジションモデルの作成

関連する AUTOSAR ソフトウェアコンポーネントをシミュレーションのためコンポジションモデルに結合するには、Simulink モデルを作成し、Model ブロックを使用して AUTOSAR コンポーネントモデルを参照して結合します。

この例では、AUTOSAR コンポジションモデルを作成します。作成されたモデルは AUTOSAR モデル例 autosar_composition の簡略化バージョンです。構成を効率よく行い、問題を解決するため、新しいモデルをモデル例 autosar_composition と比較できます。必要であれば、モデル間の入力端子と出力端子などの要素をコピーできます。完成したコンポジションモデルの図については、手順 4 を参照してください。

一緒にシミュレーションする AUTOSAR ソフトウェアコンポーネントモデルを作業フォルダーに移動し、そのフォルダーに cd コマンドを実行します。この例では、次のコンポーネントモデルを使用します。
- autosar_swc_actuator
- autosar_swc_controller
- autosar_swc_pedal_sensor
- autosar_swc_throttle_sensor
これらのモデルには、openExample コマンドを使用してアクセスできます。ここで、入力引数は文字ベクトルとして指定されたモデルの名前です。
Simulink モデルを作成します。モデルを composition の名前をもつ作業フォルダーに保存します。
各 AUTOSAR コンポーネントモデルについて、次を行います。
1. コンポーネントモデルを個別に開いて、シミュレーションができることを検証します。
2. composition モデルで Model ブロックを追加し、そのブロックを、コンポーネントを参照するよう構成します。Model ブロックパラメーターで、オプション [レートのスケジュール] を選択します。このオプションにより、レートベースのランナブルタスクが、エクスポートされた関数と同じようにスケジュールされます。
3. コンポーネントで必要な端子を追加します。
4. コンポーネントモデル autosar_swc_throttle_sensor には特別な調整が必要です。親モデル composition が (モデル例 autosar_composition とは異なり) コンポーネントを 1 回だけ参照するためです。モデルエクスプローラーを開き、autosar_swc_throttle_sensor のモデルワークスペースを開いて、データオブジェクト TPSPercent_LkupTbl を選択し、[引数] オプションをクリアします。
各 AUTOSAR コンポーネントについて Model ブロックを作成したら、ここに示すようにコンポーネントを接続します。

集約された AUTOSAR コンポーネントを組み合わせた動作をシミュレーションするには、コンポジションモデルをシミュレーションします。モデルウィンドウで [実行] ボタンをクリックするか、またはこの MATLAB コマンドを入力します。

simOutComposition = sim('composition');

詳細については、AUTOSAR コンポーネントと生成されたコードの設計とシミュレーションを参照してください。

AUTOSAR のシステムレベルシミュレーションの代替方法

AUTOSAR コンポーネントとコンポジションの開発が終わった後、1 つのシステムレベルのシミュレーションに属するコンポーネントのグループをテストすることができます。たとえば、コンポジション、コンポーネント、プラントモデル、および場合によっては基本ソフトウェアサービスコンポーネントおよび呼び出し元を含む、システムレベルのモデルを作成できます。システムレベルのモデルを構成して閉ループシステムのシミュレーションや開ループシステムのシミュレーションを実行できます。システムレベルのモデルについては、Simulink モデル、または Simulink Test™ テストハーネスモデルを使用します。

閉ループシミュレーションの例については、モデル例 autosar_system を開きます。このモデルは、AUTOSAR コンポジションモデル autosar_composition についてシステムレベルのテストハーネスを提供します。

openExample('autosar_system');

スロットル位置のスコープがモデルと共に開きます。システムレベルのモデル autosar_system をシミュレートする場合、スコープには、コンポジションモデル autosar_composition のスロットル位置コントロールアルゴリズムがどの程度ペダルの入力を追跡しているかが示されます。この動作を改善するには、コンポジション内のコンポーネントのアルゴリズムを変更することも、センサーソースを変更することもできます。