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連続および離散ウェーブレット変換

このトピックでは、連続ウェーブレット変換 (CWT) と離散ウェーブレット変換 (DWT) の主な違いについて説明します (間引きバージョンと非間引きバージョンの両方)。cwt は、計算環境に実装できるようにした CWT の離散化バージョンです。この説明では 1 次元の例に焦点を当てますが、より高い次元にも適用できます。

cwt ウェーブレット変換は、信号を標準ウェーブレットのシフトされたコピーおよびスケーリング (伸長または縮小) されたコピーと比較します。ψ(t)t=0を中心とし、[-T/2, T/2] で時間サポートをもつウェーブレットである場合、1sψ(tus)t = uを中心とし、時間サポート[-sT/2+u, sT/2+u]をもちます。関数 cwt は、すべての周波数振幅が同じ値に正規化されるように、L1 正規化を使用します。0<s<1の場合はウェーブレットが縮小 (収縮) され、s>1の場合はウェーブレットが引き伸ばされます。これを表す数学用語が膨張です。この操作によって、膨張したウェーブレットおよび平行移動されたウェーブレットと照合することで信号の特徴を抽出する方法の例については、連続ウェーブレット変換およびスケールベースの解析 を参照してください。

CWT と離散ウェーブレット変換 (dwtmodwt など) の主な違いは、スケール パラメーターが離散化される方法です。CWT は離散ウェーブレット変換よりも細かくスケールを離散化します。CWT では、2 の分数乗である基底を固定するのが一般的です。たとえば、21/v です。ここで、v は 1 より大きい整数です。v パラメーターは、しばしば "オクターブあたりの音の数" と呼ばれます。この基底のスケールを正の整数乗 (たとえば、2j/vj=1,2,3,) に増やすことで、異なるスケールが得られます。CWT の平行移動パラメーターは、ここで m と示される整数値に離散化されます。結果として得られる CWT の離散化ウェーブレットは次のようになります。

12j/νψ(nm2j/v).

v がオクターブあたりの音の数と呼ばれる理由は、スケールを 1 オクターブ増やす (2 倍にする) には v の中間スケールが必要になるからです。たとえば 2v/v=2 を受け取り、次のオクターブである 4 に達するまで指数の分子を増やします。2v/v=2 から 22v/v=4 へと移行します。v 個の中間ステップがあります。v の一般的な値は 10、12、14、16、32 です。v の値が大きいほど、スケール パラメーター s の離散化が細かくなります。ただし、CWT はすべてのスケールに対して計算されなければならないため、必要な計算量も増加します。log2スケールのスケール間の差分は 1/v です。CWT でのスケール ベクトルの例については、連続ウェーブレット変換を使用した時間-周波数解析 および Time-Frequency Analysis of Modulated Signals を参照してください。

離散ウェーブレット変換では、スケール パラメーターは常に 2 の整数乗に離散化されます (2j。j=1,2,3,...)。これにより、オクターブあたりの音の数は常に 1 になります。離散ウェーブレット変換では、log2 スケールのスケール間の差分は常に 1 です。これは、CWT を使用した場合よりもかなり粗いスケール パラメーター (s) のサンプリングであることに注意してください。さらに、間引き (ダウンサンプリングされた) 離散ウェーブレット変換 (DWT) では、平行移動パラメーターは常にスケールに比例します。これは、スケール2jでは、常に 2jmで平行移動することを意味しています。ここで、m は非負の整数です。modwtswt のような非間引き離散ウェーブレット変換では、スケール パラメーターは 2 のべき乗に制限されますが、平行移動パラメーターは CWT の場合と同じように整数です。DWT の離散化ウェーブレットは次の形式になります。

12jψ(12j(n2jm)).

非間引き離散ウェーブレット変換の離散化ウェーブレット (MODWT など) は次のとおりです。

12jψ(nm2j).

要約は以下のとおりです。

  • CWT と離散ウェーブレット変換は、スケール パラメーターの離散化方法に違いがあります。一般的に、CWT は基底が 2 より小さい指数スケールを使用します (たとえば、21/12)。離散ウェーブレット変換は常に基底が 2 に等しい指数スケールを使用します。離散ウェーブレット変換のスケールは 2 のべき乗です。CWT と離散ウェーブレット変換の両方の物理的なスケール解釈において、信号のサンプリング間隔が 1 に等しくない場合はそのサンプリング間隔を含める必要があることに注意してください。たとえば、CWT を使用しており、基底を s0=21/12 に設定すると仮定します。このスケールに物理的な意味をもたせるには、サンプリング間隔 Δt で乗算しなければなりません。そのため、サンプリング間隔を考慮に入れて約 4 オクターブをカバーするスケール ベクトルは s0jΔtj=1,2,48 です。サンプリング間隔はスケールを乗算しますが、指数には含まれないことに注意してください。離散ウェーブレット変換の場合、基底スケールは常に 2 です。

  • 間引き離散ウェーブレット変換と非間引き離散ウェーブレット変換は、平行移動パラメーターの離散化方法に違いがあります。間引き離散ウェーブレット変換 (DWT) は常にスケールの整数倍 2jm で平行移動します。非間引き離散ウェーブレット変換は整数シフトで平行移動します。

スケールと平行移動の離散化方法におけるこうした違いは、結果的に 2 つのクラスのウェーブレット変換に利点と欠点をもたらします。また、これらの違いによって、あるウェーブレット変換が優れた結果をもたらす可能性のある用途が決まります。スケールおよび平行移動パラメーターの離散化による重要な結果は次のとおりです。

  • DWT は、多数の自然信号のスパース表現を提供します。つまり、多くの自然信号の重要な特徴は、一般的に元の信号よりもはるかに小さい DWT 係数のサブセットによって獲得されます。これによって信号を "圧縮" します。DWT では、常に元の信号と同じ数の係数になりますが、その係数の多くは値が 0 に近くなる可能性があります。結果的に、これらの係数を破棄しながらも、高品質な信号の Approximation を維持できることがしばしばあります。CWT では、長さが N の信号の N 個のサンプルから、スケールの数に等しい M を使用した M 行 N 列の係数行列になります。CWT は非常に冗長な変換です。各スケールのウェーブレット間およびスケール間に有意なオーバーラップが存在します。CWT を計算し、係数を保存するために必要な計算リソースは DWT よりもかなり大きくなります。非間引き離散ウェーブレット変換も冗長ですが、冗長性係数は CWT よりも大幅に少ないのが一般的です。なぜなら、スケール パラメーターがそれほど細かく離散化されないためです。非間引き離散ウェーブレット変換の場合、N 個のサンプルから L+1 行 N 列の係数行列になります。ここで、L は変換のレベルです。

  • DWT でスケールと平行移動を厳密に離散化することで、必ず DWT は正規直交変換になります (直交ウェーブレットを使用している場合)。信号解析では、正規直交変換には多くの利点があります。多くの信号モデルは確定的な信号とホワイト ガウス ノイズから構成されています。正規直交変換ではこの種類の信号を取得して、信号とホワイト ノイズに適用される変換を出力します。つまり、正規直交変換はホワイト ガウス ノイズを受け取り、ホワイト ガウス ノイズを出力します。入力と出力のノイズは無相関です。これは、多くの統計信号処理設定で重要です。DWT の場合、目的の信号は一般的に振幅の大きな少数の DWT 係数によって獲得されますが、ノイズは破棄することができる多くの小さな DWT 係数になります。線形代数を学んだことがある場合、解析やベクトル表現で正規直交基底を使用して多くの利点が得られたことは間違いないでしょう。DWT におけるウェーブレットは正規直交ベクトルのようなものです。CWT および非間引き離散ウェーブレット変換のどちらも正規直交変換ではありません。CWT および非間引き離散ウェーブレット変換におけるウェーブレットは技術的にフレームと呼ばれ、線形的な従属性を持つセットです。

  • DWT はシフト不変ではありません。DWT はダウンサンプリングするため、入力信号のシフトはすべてのレベルの DWT 係数において単純な等価シフトとはなりません。信号の単純シフトによって、スケールによる DWT 係数の信号エネルギーの大幅な再配置が生じる可能性があります。CWT および非間引き離散ウェーブレット変換はシフト不変です。DWT におけるシフト不変の不足を軽減する並列木複素数離散ウェーブレット変換など、DWT にはいくつかの変更点があります。このトピックに関する概念的な資料についてはCritically Sampled and Oversampled Wavelet Filter Banksを、例についてはDual-Tree Wavelet Transformsを参照してください。

  • 離散ウェーブレット変換は離散フィルター バンクと等価です。具体的には、離散ウェーブレット変換はツリー構造の離散フィルター バンクであり、信号は最初にローパスとハイパス フィルターでフィルタリングされ、ローパスおよびハイパス サブバンドを生成します。その後、ローパス サブバンドが同じスキームで反復的にフィルタリングされ、狭いオクターブバンドのローパスおよびハイパス サブバンドを生成します。DWT では、フィルター出力は連続する各段階でダウンサンプリングされます。非間引き離散ウェーブレット変換では、出力はダウンサンプリングされません。通常、離散ウェーブレット変換を定義するフィルターには少数の係数しかないため、変換を非常に効率的に実施できます。DWT と非間引き離散ウェーブレット変換の両方について、実際にはウェーブレットの式は必要ありません。フィルターで十分です。これは、CWT には当てはまりません。最も一般的な CWT の実施では、ウェーブレットを明示的に定義する必要があります。非間引き離散ウェーブレット変換は信号をダウンサンプリングしませんが、フィルター バンクの実装によって依然として高い計算パフォーマンスを得ることができます。ただし、DWT ほど高パフォーマンスではありません。

  • 離散ウェーブレット変換は、逆変換で信号の完全再構成を提供します。これは、信号の離散ウェーブレット変換を行い、その係数を使用して信号の厳密な再現を数値精度の範囲内で合成できることを意味します。逆 CWT を実施できますが、再構成が完全でない場合が多くあります。CWT 係数から信号を再構成すると、数値演算の安定性がかなり低下します。

  • CWT でスケールを細かくサンプリングすると、結果的に忠実度の高い信号解析になることが一般的です。CWT を使用すると、離散ウェーブレット変換を使用するよりも適切に信号の過渡特性の位置を特定したり、振動動作を特徴付けることができます。

ウェーブレット変換と用途の詳細情報については、以下を参照してください。

連続ウェーブレット変換と離散ウェーブレット変換のガイドライン

前節に基づいて、ここでは離散ウェーブレット変換または連続ウェーブレット変換を使用するかどうかを決定するための基本的なガイドラインを紹介します。

  • 用途が、圧縮、ノイズ除去、または信号伝送用に可能な限り最もスパースな信号表現を得ることである場合は、wavedec と共に DWT を使用してください。

  • 用途で正規直交変換が必要な場合は、いずれかの直交ウェーブレット フィルターと共に DWT を使用してください。Wavelet Toolbox™ の直交ファミリは、ウェーブレット マネジャー wavemngr のタイプ 1 ウェーブレットとして指定されています。有効な組み込み直交ウェーブレット ファミリは 'haar''dbN' 'fkN''coifN'、または 'symN' です。 'fk' を除いて、N はすべてのファミリの消失モーメントの数です。'fk' については、N はフィルター係数の数です。詳細については、waveinfo を参照してください。

  • 用途でシフト不変変換が必要ではあるが、依然として完全再構成および計算効率の尺度が必要である場合は、modwt のような非間引き離散ウェーブレット変換または dddtree のような並列木変換を試してください。

  • 主要な目標が詳細な時間-周波数 (スケール) 解析または信号の過渡特性の高精度な位置推定である場合は、cwt を使用してください。CWT を使用した時間-周波数解析の例については、連続ウェーブレット変換を使用した時間-周波数解析を参照してください。

  • ウェーブレット係数をしきい値処理することで信号のノイズを除去する場合は、関数 wdenoise またはウェーブレット信号デノイザーアプリを使用します。wdenoise およびウェーブレット信号デノイザーは、データに適用できる既定の設定、およびさまざまなノイズ除去のシンプルなインターフェイスを提供します。このアプリを使用して、信号を可視化およびノイズ除去し、結果を比較できます。信号のノイズ除去の例については、Denoise A Signal Using Default ValuesおよびDenoise a Signal with the Wavelet Signal Denoiserを参照してください。イメージのノイズ除去の場合は、wdencmp を使用します。例については、信号とイメージのノイズ除去 を参照してください。

  • 用途でウェーブレット係数の統計的性質を確実に理解する必要がある場合は、離散ウェーブレット変換を使用してください。CWT の統計的性質を理解するための積極的な取り組みがありますが、現在は離散ウェーブレット変換について、より多くの分布結果が存在します。ノイズ除去における DWT の成功は、その大部分が統計性質に対する理解によるものです。非間引き離散ウェーブレット変換を使用した推定および仮説検定の例については、Wavelet Analysis of Financial Dataを参照してください。

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