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loss
判別分析分類器の分類損失
説明
は、分類損失を返します。これは、L
= loss(Mdl
,Tbl
,ResponseVarName
)Tbl.ResponseVarName
内の真のクラス ラベルと比較して、学習済みの判別分析分類器 Mdl
が table Tbl
内の予測子データをどの程度の精度で分類するかを表すスカラーです。
分類損失 (L
) は汎化または再代入の品質に対する尺度です。解釈は損失関数と加重スキームによって異なりますが、一般に、優れた分類器の方が分類損失値が小さくなります。
loss
は、L
を計算するときに、Mdl
の Prior
プロパティに格納されている、学習に使用されたクラス確率に対して、Tbl.ResponseVarName
のクラス確率を正規化します。
では、前の構文におけるいずれかの入力引数の組み合わせに加えて、1 つ以上の名前と値の引数を使用して追加のオプションを指定します。たとえば、分類損失関数や観測値の重みを指定できます。L
= loss(___,Name=Value
)
メモ
予測子データ X
に欠損値があり、LossFun
が "mincost"
または "classiferror"
に設定されていない場合、関数 loss
で NaN
が返されることがあります。詳細については、欠損値がある予測子データに対して loss で NaN が返されることがあるを参照してください。
例
分類誤差の推定
フィッシャーのアヤメのデータ セットを読み込みます。
load fisheriris
データ内の観測値をすべて使用して、判別分析モデルに学習をさせます。
Mdl = fitcdiscr(meas,species);
学習観測値を使用してモデルの分類誤差を推定します。
L = loss(Mdl,meas,species)
L = 0.0200
または、Mdl
がコンパクトでない場合は、Mdl
を resubLoss
に渡すことにより学習標本の分類誤差を推定できます。
入力引数
Mdl
— 学習済みの判別分析分類器
ClassificationDiscriminant
モデル オブジェクト | CompactClassificationDiscriminant
モデル オブジェクト
学習済みの判別分析分類器。fitcdiscr
で学習させた ClassificationDiscriminant
モデル オブジェクト、または compact
で作成した CompactClassificationDiscriminant
モデル オブジェクトとして指定します。
Tbl
— 標本データ
テーブル
モデルを学習させるために使用する標本データ。テーブルとして指定します。Tbl
の各行は 1 つの観測値に、各列は 1 つの予測子変数に対応します。カテゴリカル予測子変数はサポートされていません。必要に応じて、応答変数 (カテゴリカルにすることが可能) 用および観測値の重み用の追加列を Tbl
に含めることができます。Tbl
には、Mdl
に学習させるために使用したすべての予測子変数が含まれていなければなりません。文字ベクトルの cell 配列ではない cell 配列と複数列の変数は使用できません。
Mdl
を学習させるために使用した応答変数が Tbl
に含まれている場合、ResponseVarName
または Y
を指定する必要はありません。
table に格納されている標本データを使用して Mdl
に学習をさせた場合、loss
の入力データも table に含まれていなければなりません。
データ型: table
ResponseVarName
— 応答変数名
Tbl
内の変数の名前
応答変数の名前。Tbl
内の変数の名前で指定します。Mdl
を学習させるために使用した応答変数が Tbl
に含まれている場合、ResponseVarName
を指定する必要はありません。
ResponseVarName
を指定する場合は、文字ベクトルまたは string スカラーとして指定しなければなりません。たとえば、応答変数 Y
が Tbl.Y
として格納されている場合、"Y"
として指定します。それ以外の場合、Tbl
の列は Y
を含めてすべて予測子として扱われます。
応答変数は、categorical 配列、文字配列、string 配列、logical ベクトル、数値ベクトル、または文字ベクトルの cell 配列でなければなりません。応答変数が文字配列の場合、各要素は配列の 1 つの行に対応しなければなりません。
データ型: char
| string
Y
— クラス ラベル
categorical 配列 | 文字配列 | string 配列 | logical ベクトル | 数値ベクトル | 文字ベクトルの cell 配列
名前と値の引数
オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN
として指定します。ここで Name
は引数名、Value
は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後ろにする必要がありますが、ペアの順序は関係ありません。
R2021a より前では、名前と値をそれぞれコンマを使って区切り、Name
を引用符で囲みます。
例: L = loss(Mdl,meas,species,LossFun="binodeviance")
LossFun
— 損失関数
"mincost"
(既定値) | "binodeviance"
| "classifcost"
| "classiferror"
| "exponential"
| "hinge"
| "logit"
| "quadratic"
| 関数ハンドル
損失関数。組み込みの損失関数名または関数ハンドルを指定します。
次の表に、組み込みの損失関数の値を示します。対応する文字ベクトルまたは string スカラーを使用して、いずれかを指定します。
値 | 説明 |
---|---|
"binodeviance" | 二項分布からの逸脱度 |
"classifcost" | 観測誤分類コスト |
"classiferror" | 10 進数の誤分類率 |
"exponential" | 指数損失 |
"hinge" | ヒンジ損失 |
"logit" | ロジスティック損失 |
"mincost" | 最小予測誤分類コスト (事後確率である分類スコアの場合) |
"quadratic" | 二次損失 |
"mincost"
は、事後確率である分類スコアに適しています。既定では、判別分析分類器は分類スコアとして事後確率を返します (predict
を参照)。
関数ハンドル表記を使用して独自の関数を指定します。n は X
内の観測値の個数、K は異なるクラスの個数 (numel(Mdl.ClassNames)
) であるとします。使用する関数のシグネチャは次のようになっていなければなりません。
lossvalue = lossfun
(C,S,W,Cost)
出力引数
lossvalue
はスカラーです。関数名 (
lossfun
) を指定します。C
は n 行 K 列の logical 行列であり、対応する観測値が属するクラスを各行が示します。列の順序はMdl.ClassNames
のクラスの順序に対応します。各行について観測値
p
がクラスq
に属する場合はC(p,q) = 1
を設定することにより、C
を作成します。行p
の他のすべての要素を0
に設定します。S
は、分類スコアの n 行 K 列の行列です。列の順序はMdl.ClassNames
のクラスの順序に対応します。S
は分類スコアの行列で、predict
の出力と同様です。W
は、観測値の重みの n 行 1 列の数値ベクトルです。W
を渡す場合、重みは合計が1
になるように正規化されます。Cost
は、誤分類コストの、K 行 K 列の数値行列です。たとえば、Cost = ones(K) - eye(K)
は、正しい分類のコストとして0
を、誤分類のコストとして1
を指定します。
例: LossFun="binodeviance"
例: LossFun=@
Lossfun
データ型: char
| string
| function_handle
Weights
— 観測値の重み
ones(size(X,1),1)
(既定値) | 数値ベクトル | Tbl
内の変数の名前
観測値の重み。数値ベクトルまたは Tbl
内の変数の名前を指定します。X
または Tbl
の各行に含まれている観測値には、Weights
の対応する重みが適用されます。
数値ベクトルで Weights
を指定する場合、Weights
のサイズは X
または Tbl
の行数と等しくなければなりません。
Tbl
内の変数名を Weights
として指定する場合、文字ベクトルまたは string スカラーを指定しなければなりません。たとえば、重みが Tbl.W
として格納されている場合、Weights
を "W"
として指定します。それ以外の場合、Tbl
の列は Tbl.W
を含めてすべて予測子として扱われます。
独自の損失関数を指定しない場合、Weights
が正規化され、合計が各クラスの事前確率の値になります。
例: Weights="W"
データ型: single
| double
| char
| string
詳細
分類損失
"分類損失" 関数は分類モデルの予測誤差を評価します。複数のモデルで同じタイプの損失を比較した場合、損失が低い方が予測モデルとして優れていることになります。
以下のシナリオを考えます。
L は加重平均分類損失です。
n は標本サイズです。
バイナリ分類は以下です。
yj は観測されたクラス ラベルです。陰性クラスを示す -1 または陽性クラスを示す 1 (あるいは、
ClassNames
プロパティの最初のクラスを示す -1 または 2 番目のクラスを示す 1) を使用して符号化されます。f(Xj) は予測子データ X の観測値 (行) j に対する陽性クラスの分類スコアです。
mj = yjf(Xj) は、yj に対応するクラスに観測値 j を分類する分類スコアです。正の値の mj は正しい分類を示しており、平均損失に対する寄与は大きくありません。負の値の mj は正しくない分類を示しており、平均損失に大きく寄与します。
マルチクラス分類 (つまり、K ≥ 3) をサポートするアルゴリズムの場合、次のようになります。
yj* は、K - 1 個の 0 と、観測された真のクラス yj に対応する位置の 1 から構成されるベクトルです。たとえば、2 番目の観測値の真のクラスが 3 番目のクラスであり K = 4 の場合、y2* = [
0 0 1 0
]′ になります。クラスの順序は入力モデルのClassNames
プロパティ内の順序に対応します。f(Xj) は予測子データ X の観測値 j に対するクラス スコアのベクトルで、長さは K です。スコアの順序は入力モデルの
ClassNames
プロパティ内のクラスの順序に対応します。mj = yj*′f(Xj).したがって mj は、観測された真のクラスについてモデルが予測するスカラー分類スコアです。
観測値 j の重みは wj です。観測値の重みは、その合計が
Prior
プロパティに格納された対応するクラスの事前確率になるように正規化されます。そのため、次のようになります。
この状況では、名前と値の引数 LossFun
を使用して指定できる、サポートされる損失関数は次の表のようになります。
損失関数 | LossFun の値 | 式 |
---|---|---|
二項分布からの逸脱度 | "binodeviance" | |
観測誤分類コスト | "classifcost" | ここで、 はスコアが最大のクラスに対応するクラス ラベル、 は真のクラスが yj である場合に観測値をクラス に分類するユーザー指定のコストです。 |
10 進数の誤分類率 | "classiferror" | ここで、I{·} はインジケーター関数です。 |
クロスエントロピー損失 | "crossentropy" |
加重クロスエントロピー損失は次となります。 ここで重み は、合計が 1 ではなく n になるように正規化されます。 |
指数損失 | "exponential" | |
ヒンジ損失 | "hinge" | |
ロジット損失 | "logit" | |
最小予測誤分類コスト | "mincost" |
重み付きの最小予測分類コストは、次の手順を観測値 j = 1、...、n について使用することにより計算されます。
最小予測誤分類コスト損失の加重平均は次となります。 |
二次損失 | "quadratic" |
既定のコスト行列 (正しい分類の場合の要素値は 0、誤った分類の場合の要素値は 1) を使用する場合、"classifcost"
、"classiferror"
、および "mincost"
の損失の値は同じです。既定以外のコスト行列をもつモデルでは、ほとんどの場合は "classifcost"
の損失と "mincost"
の損失が等価になります。これらの損失が異なる値になる可能性があるのは、最大の事後確率をもつクラスへの予測と最小の予測コストをもつクラスへの予測が異なる場合です。"mincost"
は分類スコアが事後確率の場合にしか適さないことに注意してください。
次の図では、1 つの観測値のスコア m に対する損失関数 ("classifcost"
、"crossentropy"
、および "mincost"
を除く) を比較しています。いくつかの関数は、点 (0,1) を通過するように正規化されています。
事後確率
点 x がクラス k に属する事後確率は、事前確率と多変量正規密度の積です。1 行 d 列の平均 μk および 1 行 d 列の点 x における d 行 d 列の共分散 Σk をもつ、多変量正規密度関数は次のとおりです。
ここで、 は Σk の行列式、 は逆行列です。
P(k) でクラス k の事前確率を表してみます。すると、観測 x がクラス k になる事後確率は次のとおりです。
ここで P(x) は正規化定数、P(x|k)P(k) の合計 k です。
事前確率
事前確率は次の 3 つの選択肢のいずれかです。
'uniform'
— クラスk
の事前確率は、クラスの総数に対して 1 です。'empirical'
— クラスk
の事前確率は、クラスk
の学習標本の数を学習標本の合計で除算した値です。カスタム — クラス
k
の事前確率は、prior
ベクトルのk
番目の要素です。fitcdiscr
を参照してください。
分類モデル (Mdl
) を作成した後で、ドット表記を使用して事前確率を設定できます。
Mdl.Prior = v;
ここで v
は各要素が発生する頻度を表す正の要素のベクトルです。新しい事前確率を設定する場合に、分類器に再学習させる必要はありません。
コスト
観測ごとの予測コストの行列は、コストで定義されています。
拡張機能
tall 配列
メモリの許容量を超えるような多数の行を含む配列を計算します。
この関数は、tall 配列を完全にサポートします。この関数でインメモリ データまたは tall データに対して学習を行ったモデルを使用できます。
詳細は、tall 配列を参照してください。
バージョン履歴
R2011b で導入R2022a: 欠損値がある予測子データに対して loss
で NaN が返されることがある
関数 loss
で加重平均分類損失を計算する際に、スコアが NaN の観測値が省略されなくなりました。そのため、予測子データ X
に欠損値があり、名前と値の引数 LossFun
が "classifcost"
、"classiferror"
、または "mincost"
として指定されていない場合に、loss
で NaN が返されることがあります。ほとんどの場合、テスト セットの観測値に予測子の欠損がなければ、関数 loss
で NaN が返されることはありません。
この変更により、fitcauto
を使用する場合の分類モデルの自動選択が改善されます。この変更の前は、NaN 以外の予測子が少ないモデルが選択される (新しいデータの分類に最適であると予測される) ことがありました。
コードの loss
で NaN が返される場合、このような結果にならないように、次のいずれかを行ってコードを更新できます。
rmmissing
またはfillmissing
を使用して、欠損値を削除するか置き換えます。名前と値の引数
LossFun
を"classifcost"
、"classiferror"
、または"mincost"
として指定します。
次の表に、オブジェクト関数 loss
で NaN が返される可能性がある分類モデルを示します。詳細については、それぞれの関数 loss
の「互換性の考慮事項」を参照してください。
モデル タイプ | 完全またはコンパクトなモデル オブジェクト | オブジェクト関数 loss |
---|---|---|
判別分析分類モデル | ClassificationDiscriminant , CompactClassificationDiscriminant | loss |
分類用のアンサンブル学習器 | ClassificationEnsemble , CompactClassificationEnsemble | loss |
ガウス カーネル分類モデル | ClassificationKernel | loss |
k 最近傍分類モデル | ClassificationKNN | loss |
線形分類モデル | ClassificationLinear | loss |
ニューラル ネットワーク分類モデル | ClassificationNeuralNetwork , CompactClassificationNeuralNetwork | loss |
サポート ベクター マシン (SVM) 分類モデル | loss |
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