tunableTF
一定数の極と零点をもつ調整可能な伝達関数
説明
固定次の調整可能な SISO 伝達関数モデルを作成するためのモデル オブジェクト。
tunableTF
では、パラメーターの調査や、systune
や looptune
などの調整コマンドを使用した自動調整用に、指定された次数の伝達関数をパラメーター化できます。
tunableTF
はパラメトリック モデルの制御設計ブロック ファミリの一部です。その他の制御設計ブロックには、tunablePID
、tunableSS
および tunableGain
があります。
作成
説明
入力引数
name
— パラメトリック伝達関数の名前
文字ベクトル
パラメトリック伝達関数の名前。'filt'
または 'DM'
などの文字ベクトルとして指定します。プロパティを参照してください。
Nz
— パラメトリック伝達関数の零点の数
非負の整数
パラメトリック伝達関数 blk
の零点の数。非負の整数として指定します。
Np
— パラメトリック伝達関数の極の数
非負の整数
パラメトリック伝達関数 blk
の極の数。非負の整数として指定します。
Ts
— サンプル時間
スカラー
スカラーとして指定されたサンプル時間。
sys
— モデル
tf
モデル
blk
の極の数、零点の数、サンプル時間、およびパラメーターの初期値を提供するモデル。tf
モデルとして指定します。
プロパティ
Numerator, Denominator
— 分子と分母の係数のパラメーター表現
param.Continuous
オブジェクト
調整可能な伝達関数 blk
の分子係数 am, ..., a0 および分母係数 1,bn–1, ..., b0 のパラメーター表現。param.Continuous
オブジェクトとして格納されます。これらの param.Continuous
オブジェクトのプロパティに関する一般的な情報は、param.Continuous
(Simulink Design Optimization) オブジェクトのリファレンス ページを参照してください。
blk.Numerator
および blk.Denominator
の以下のフィールドは、hinfstruct
を使用して blk
を調整するときに使用されます。
フィールド | 説明 |
---|---|
Value | 分子 am, ..., a0 または分母係数 1,bn–1, ..., b0 の現在の値の配列。 既定では、係数は安定して厳密にプロパーな伝達関数になる値に初期化されます。入力
|
Free | 係数が固定か調整可能かを決定する論理値の配列。以下に例を示します。
既定: |
Minimum | パラメーターの最小値。このプロパティは、パラメーターの調整された値に下限を設定します。たとえば、 既定: |
Maximum | パラメーターの最大値。このプロパティは、パラメーターの調整された値に上限を設定します。たとえば、 既定: |
Ts
— サンプル時間
0
(連続時間) (既定値) | スカラー
サンプル時間。スカラーとして格納されます。連続時間モデルの場合、Ts = 0
。離散時間モデルの場合、Ts
はサンプリング周期を表す正のスカラーです。この値は、モデルの TimeUnit
プロパティで指定される単位で表されます。指定のないサンプル時間を伴う離散時間モデルを示すには、Ts = -1
と設定します。
このプロパティを変更してもモデルの離散化やリサンプリングは行われません。
TimeUnit
— 時間変数、サンプル時間、およびむだ時間の単位
'seconds'
(既定値) | 'nanoseconds'
| 'microseconds'
| 'milliseconds'
| 'minutes'
| 'hours'
| 'days'
| 'weeks'
| 'months'
| 'years'
モデル内の時間変数、サンプル時間 Ts
、および何らかのむだ時間の単位。次の値のいずれかとして格納されます。
'nanoseconds'
'microseconds'
'milliseconds'
'seconds'
'minutes'
'hours'
'days'
'weeks'
'months'
'years'
このプロパティを変更しても他のプロパティには影響しないため、システム全体の動作が変更されます。chgTimeUnit
を使用して、システム動作を変更せずに時間単位を変換します。
InputName
— 入力チャネル名
すべての入力チャネルに対する ''
(既定値) | 文字ベクトル | 文字ベクトルの cell 配列
入力チャネル名。文字ベクトルまたは文字ベクトルの cell 配列として格納されます。
文字ベクトル — 単入力モデルの場合 (たとえば
'controls'
など)。文字ベクトルの cell 配列 — 多入力モデルの場合。
または、自動的なベクトル拡張を使用して多入力モデルの入力名を割り当てます。たとえば、sys
が 2 入力モデルである場合は、以下のようになります。
sys.InputName = 'controls';
入力名は自動的に {'controls(1)';'controls(2)'}
へと拡張されます。
省略形表記 u
を使用して、InputName
プロパティを参照できます。たとえば、sys.u
は sys.InputName
と同じです。
以下を含めて、入力チャネル名はいくつかの用途をもちます。
モデル表示とプロット上のチャネルの識別
MIMO システムのサブシステムの抽出
モデル相互接続時における接続点の指定
InputUnit
— 入力チャネル単位
すべての入力チャネルに対する ''
(既定値) | 文字ベクトル | 文字ベクトルの cell 配列
入力チャネル単位。文字ベクトルまたは文字ベクトルの cell 配列として格納されます。
文字ベクトル — 単入力モデルの場合 (たとえば
'seconds'
など)。文字ベクトルの cell 配列 — 多入力モデルの場合。
InputUnit
を使用して入力信号単位を追跡します。InputUnit
はシステムの動作に影響しません。
InputGroup
— 入力チャネル グループ
フィールドのない構造体 (既定値) | 構造体
入力チャネル グループ。構造体として格納されます。InputGroup
プロパティによって、MIMO システムの入力チャネルをグループに割り当て、各グループを名前で参照することができます。この構造体においてフィールド名はグループ名であり、フィールド値は各グループに属する入力チャネルです。以下に例を示します。
sys.InputGroup.controls = [1 2]; sys.InputGroup.noise = [3 5];
これは、入力チャネル 1、2 および 3、5 をそれぞれ含む controls
および noise
という名前の入力グループを作成します。その後、以下を使用して controls
入力からすべての出力にサブシステムを抽出できます。
sys(:,'controls')
OutputName
— 出力チャネル名
すべての出力チャネルに対して ''
(既定値) | 文字ベクトル | 文字ベクトルの cell 配列
出力チャネル名。文字ベクトルまたは文字ベクトルの cell 配列として格納されます。
文字ベクトル — 単出力モデルの場合。たとえば、
'measurements'
とします。文字ベクトルの cell 配列 — 多出力モデルの場合。
または、自動的なベクトル拡張を使用して多出力モデルの出力名を割り当てます。たとえば、sys
が 2 出力力モデルである場合は、以下のようになります。
sys.OutputName = 'measurements';
出力名は自動的に {'measurements(1)';'measurements(2)'}
へと拡張されます。
省略形表記 y
を使用して、OutputName
プロパティを参照できます。たとえば、sys.y
は sys.OutputName
と同じです。
以下を含めて、出力チャネル名はいくつかの用途をもちます。
モデル表示とプロット上のチャネルの識別
MIMO システムのサブシステムの抽出
モデル相互接続時における接続点の指定
OutputUnit
— 出力チャネル単位
すべての出力チャネルに対して ''
(既定値) | 文字ベクトル | 文字ベクトルの cell 配列
出力チャネル単位。文字ベクトルまたは文字ベクトルの cell 配列として格納されます。
文字ベクトル — 単出力モデルの場合。たとえば、
'seconds'
とします。文字ベクトルの cell 配列 — 多出力モデルの場合。
OutputUnit
を使用して出力信号単位を追跡します。OutputUnit
はシステムの動作に影響しません。
OutputGroup
— 出力チャネル グループ
フィールドのない構造体 (既定値) | 構造体
出力チャネル グループ。構造体として格納されます。OutputGroup
プロパティによって、MIMO システムの出力チャネルをグループに割り当て、各グループを名前で参照できます。この構造体内においてフィールド名はグループ名であり、フィールド値は各グループに属する出力チャネルです。以下に例を示します。
sys.OutputGroup.temperature = [1]; sys.OutputGroup.measurement = [3 5];
これは、出力チャネル 1 および 3、5 をそれぞれ含む temperature
および measurement
という名前の出力グループを作成します。その後、以下を使用してすべての入力から measurement
出力にサブシステムを抽出できます。
sys('measurement',:)
Name
— システム名
''
(既定値) | 文字ベクトル
システム名。文字ベクトルとして格納されます。たとえば、'system_1'
とします。
Notes
— システムに関連付けるテキスト
[0×1 string]
(既定値) | string | 文字ベクトルの cell 配列
システムに関連付けるテキスト。string または文字ベクトルの cell 配列として格納されます。プロパティには指定したデータ型が格納されます。たとえば、sys1
と sys2
が動的システム モデルである場合、その Notes
プロパティを次のように設定できます。
sys1.Notes = "sys1 has a string."; sys2.Notes = 'sys2 has a character vector.'; sys1.Notes sys2.Notes
ans = "sys1 has a string." ans = 'sys2 has a character vector.'
UserData
— システムに関連付けるデータ型
[]
(既定値) | MATLAB® データ型
システムに関連付けるデータ型。任意の MATLAB データ型として指定します。
オブジェクト関数
systune | MATLAB でモデル化された固定構造制御システムの調整 |
looptune | 固定構造フィードバック ループの調整 |
genss | 一般化状態空間モデル |
hinfstruct (Robust Control Toolbox) | H∞ tuning of fixed-structure controllers |
例
パラメトリック SISO 伝達関数の作成
2 つの零点、4 つの極、および少なくとも 1 つの積分器のあるパラメトリック SISO 伝達関数を作成します。
積分器のある伝達関数には、1/s の因子があります。そのため、パラメーター化された伝達関数がパラメーター値に関係なく少なくとも 1 つの積分器を必ずもつようにするために、分母の最下位の係数をゼロに固定します。
blk = tunableTF('tfblock',2,4); % two zeros, four poles blk.Denominator.Value(end) = 0; % set last denominator entry to zero blk.Denominator.Free(end) = 0; % fix it to zero
入力名と出力名の割り当て
パラメトリック伝達関数を作成して、名前を入力と出力に割り当てます。
blk = tunableTF('tfblock',2,3); blk.InputName = {'error'}; % assign input name blk.OutputName = {'control'}; % assign output name
バージョン履歴
R2016a で導入R2016a: ltiblock.tf
からの名前変更
R2016a より前は、tunableTF
は ltiblock.tf
と呼ばれていました。
参考
オブジェクト
tunablePID
|tunableSS
|tunablePID2
|tunableGain
|genss
関数
systune
|looptune
|hinfstruct
(Robust Control Toolbox)
MATLAB コマンド
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