誘導モーターの速度制御
Simulink を使用した誘導モーター速度制御アルゴリズムの開発と展開
Simulink を使用した誘導モーター速度制御アルゴリズムの開発と展開
モーター制御アルゴリズムの設計と実装
誘導モーターの速度制御は、誘導モーターの電流を操作して速度を調整するプロセスです。多くの場合、誘導モーターは固定周波数の用途に使用されますが、産業用駆動装置や電気自動車などの可変周波数の用途にも利用されています。可変周波数での動作では、インバーターが固定子巻線への電流を変調します。
誘導モーターの滑りと結果として得られるトルク
凡例:
黄色の矢印 – 結果として得られるトルク
赤紫色の矢印 – 回転する固定子の磁場
青色の矢印 – 回転子の速度
誘導モーターは、固定子と回転子の磁場が結合することで動作します。固定子の電流は回転する磁場を生成し、回転子に電流と遅れ磁場を誘導します。磁場の相互作用により、回転子は固定子の磁場の回転速度よりも遅い角速度で回転します。「滑り」と呼ばれるこの回転遅れは、モーターシャフトにトルクをかけます。モーターの負荷が増加すると、滑りとモーターのトルク出力が増加します。
かご形誘導モーターの場合には、ベクトル制御 (FOC) を使用した速度制御は、磁束が Id に比例し、トルクが Iq に比例するように、Id と Iq を調整します。こうした制御手法により、速度範囲が拡大し、動的状態および定常状態での性能の両方が向上します。Simulink® を使用すると、マルチレートシミュレーションを利用して、ハードウェアテストの前に、モーターの全動作範囲にわたって FOC アルゴリズムを設計、調整、検証できます。
以下の Simulink によるブロック線図は、三相かご形誘導モーターの速度制御に用いる一般的な FOC アルゴリズムを示しています。
誘導モーターの速度制御に用いる FOC アルゴリズム。
誘導モーター制御戦略の主な構成要素は次のとおりです。
Simscape Electrical™ と Motor Control Blockset™ には、誘導モーターの速度制御のシミュレーションモデル開発に関する誘導モーターおよびベクトル制御の例が用意されています。Simulink による誘導モーター速度制御のシミュレーションは、プロトタイプのテストを削減し、ハードウェアでのテストが現実的ではない故障状態に対する制御アルゴリズムのロバスト性を検証するのに役立ちます。
Simscape Electrical と Motor Control Blockset を使用すると、モーター制御エンジニアは次の方法で誘導モーターの速度制御を開発できます。
Simulink を使用してパワー エレクトロニクス制御を電気自動車、再生可能エネルギー、バッテリーシステム、電力変換、およびモーター制御に適用するための学生、研究者、エンジニア向けの MathWorks コミュニティ。
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