ブラシレスDC モーター制御とは?
電子整流方式である「ブラシレス」モーターは、機械的整流方式の「ブラシ付き」モーターより高い電気効率とトルク重量比を備えることから、その利用が拡大し続けています。ブラシレス DC (BLDC) モーターは、固定子巻線の集中巻きにより台形波状の逆起電力を持つ、永久磁石同期電動機 (PMSM) として一般的に定義されています。これにより BLDC モーターは、固定子巻線の分布巻きにより正弦波状の逆起電力を持つ PMSM モーターと区別されます。
ブラシレス DC モーターは、通常、台形波制御を使用しますが、ベクトル制御も使用されています。永久磁石同期モーターは、通常、ベクトル制御のみを使用します。ブラシレス DC モーターの台形波制御は、ベクトル制御よりも簡単な制御手法であり、一度に 2 つの位相のみを励磁します。トルク制御をするには、1 つの PID コントローラーだけが必要になります。また、ベクトル制御とは異なり、Clarke 変換 ((クラーク変換) や Park 変換 (パーク変換)を使用してモーターの座標変換をする必要がありません。
台形法でブラシレス DC モーターを設計するモーター制御エンジニアは、以下のタスクを実行します。
- 電流/電圧を制御する内側のループに使用する PI コントローラーを含むコントローラー アーキテクチャを開発
- 速度および位置を制御する任意の外側のループに使用する PI コントローラーを開発
- 性能要件を満たすために、すべての PI コントローラーのゲインを調整
- SVM 制御を設計
- 故障検出および保護ロジックを設計
- さまざまな動作条件でコントローラーの性能を検証し妥当性を確認
- マイクロコントローラーに固定小数点または浮動小数点のコントローラーを実装
Simulink を使用したブラシレス DC モーターの制御設計により、マルチレートのシミュレーションを使用して制御アルゴリズムを設計、調整、および検証し、ハードウェアでのテストの前にモーターのすべての動作範囲で設計エラーを検出して修正することができます。Simulink によるシミュレーションを使用すると、プロトタイプによるテストの量を削減し、ハードウェアではテストできない故障状態に対して制御アルゴリズムのロバスト性を検証することができます。以下を行うことができます。
- 台形波状の逆起電力または任意形状の逆起電力を持つブラシレス DC モーターをモデル化
- 電流コントローラー、速度コントローラー、および変調器をモデル化
- インバーターのパワー エレクトロニクスをモデル化
- ボード線図や根軌跡などの線形制御設計手法および自動 PID 調整などの手法を使用して、ブラシレス DC モーター制御システムのゲインを調整
- 起動、シャットダウン、エラーのモードをモデル化し、安全な動作を確保するディレーティングと保護ロジックを設計
- I/O チャネルの信号調節および処理アルゴリズムを設計
- モーターとコントローラーの閉ループ シミュレーションを実行し、正常および異常の動作シナリオでシステム性能をテスト
- ラピッド プロトタイピング、ハードウェアインザループ テスト、および製品実装向けに、ANSI、ISO、またはプロセッサに最適化された C コードと HDL を自動生成
製品使用例および使い方
ユーザー事例
ソフトウェア リファレンス
参考: Simscape Electrical, ベクトル制御, PID 制御, 空間ベクトル変調, Simulink によるモーター制御設計, Simulink によるパワー エレクトロニクス制御設計, モーター制御開発, MPPT アルゴリズム, パワー エレクトロニクス シミュレーション