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ギア状態監視のための状態インジケーター

ギア状態監視のメトリクスは、ギアボックスの開発とその時間ベースの予知保全にとって大変重要です。インジケーターによってギアの異常の検出が可能になり、故障が進行する前に致命的な障害を防止するのに役立ちます。状態監視のシステムは、たとえば振動、アコースティック エミッション、温度、オイル堆積物の解析など、さまざまなタイプの入力データを扱います。振動解析、アコースティック エミッション、およびオイル堆積物に基づくシステムが最も一般的なタイプです。

次の図は、ギア状態のメトリクスの特定と、その後の評価のワークフローを示しています。

診断特徴デザイナー アプリおよび Predictive Maintenance Toolbox™ のコマンド ライン機能を使用して、以下を行うことができます。

  • 個々のファイル、アンサンブル ファイル、またはアンサンブル データストアから、測定データまたはシミュレーション データをインポートする。

  • 時間同期平均化 (TSA) 信号、通常の信号、残差信号、および差分信号などの新しい変数を導出する。

  • 変数からギア状態のメトリクスを生成する。

  • 定格動作と故障動作を最もよく区別する可能性の高い特徴を数値的に判定できるよう、特徴をランク付けする。

  • 特徴の効果について理解を深めアルゴリズムの学習に役立てるため、最も効果的な特徴を分類学習器アプリに直接エクスポートする。

ギア状態のメトリクスの抽出

元のデータから、以下の方法で信号を導出し、ギア状態のメトリクスを抽出します。

  1. 時間同期平均化 (TSA) を抽出します。

    診断特徴デザイナー アプリコマンド ライン
    [フィルター処理と平均化] ドロップダウン メニューの [時間同期信号平均化] オプションを使用します。

    関数 tsa および tachorpm を使用します。

  2. 通常の信号、残差信号、および差分信号を求めます。

    診断特徴デザイナー アプリコマンド ライン
    [フィルター処理と平均化] ドロップダウン メニューの [時間同期平均化信号のフィルター処理] オプションを使用します。

    次の関数を使用します。

  3. 前の手順で取得した信号のセットから状態監視メトリクスを計算します。

    診断特徴デザイナー アプリコマンド ライン
    [時間領域の特徴] ドロップダウン メニューの [回転機の特徴] オプションを使用します。関数 gearConditionMetrics を使用します。

故障の正確な場所を特定できるギア状態のメトリクスには以下が含まれます。

TSA 信号から計算

  • Root-Mean Square (RMS) — 劣化の後期段階におけるギアボックスの全般的な状態を示します。RMS はギアボックスの負荷と速度の変化に敏感です。RMS は通常、ギアボックスの全体的状態の優れたインジケーターですが、歯の初期故障については優れたインジケーターではありません。また、不均衡な回転要素の検出にも有用です。標準的な正規分布の RMS は 1 です。

  • Kurtosis — 信号の正規化された 4 次モーメントで、振幅の分布における主要なピークを示します。尖度は分布に外れ値がどの程度発生しやすいかの尺度です。標準正規分布の尖度は 3 です。外れ値がより発生しやすい分布の尖度値は 3 より大きくなり、外れ値が発生しにくい分布の尖度値は 3 より小さくなります。破損したギア列では、信号の振幅分布に鋭いピークが見られるため Kurtosis の値がより高くなります。

  • Crest Factor (CF) — 信号のピーク値と RMS 値の比率で、振動信号がインパルス特性を示す場合は特に、破損の初期兆候を示します。

差分信号から計算

  • FM4 — 差分信号の振幅のピークあるいは平坦さの度合いを示します。FM4 は分散の 2 乗で正規化され、ギアの噛み合いにおける有限数の歯のみに局限される故障を検出します。標準正規分布の FM4 は 3 です。

  • M6A — 差分信号の振幅のピークあるいは平坦さの度合いを示します。M6A は分散の 3 乗で正規化され、回転機のコンポーネントにある表面の破損を示します。標準的な正規分布の M6A は 15 です。

  • M8AM6A インジケーターの改良版。M8A は分散の 4 乗で正規化されます。標準的な正規分布の M8A は 105 です。

信号の混合から計算

  • FM0 — TSA 信号のピーク値と通常の信号のエネルギーとの比率を比較します。FM0 は、ギアの噛み合いパターンにおける歯の切損や重度の摩損などの大きな異常を特定します。

  • Energy Ratio (ER) — 差分信号のエネルギーと通常の噛み合いコンポーネントのエネルギーとの比率。Energy Ratio は、ギアの複数の歯が破損している重度の摩損を示します。

残差信号のセットから計算

  • NA4FM4 インジケーターの改良版。NA4 は破損の開始を示し、それが広がり大きくなるにつれて破損に反応し続けます。

特徴の評価とモデルの学習

"特徴選択" の手法では、実行しようとしている解析に無関係なギア状態のメトリクスを除外することで、大規模なデータセットの削減に役立ちます。状態監視のコンテキストにおいて、無関係な特徴とは、故障動作から健全な動作を分離しない、あるいは異なる故障状態の区別に役立たない特徴です。言い換えれば、特徴選択とは、ギアボックスの性能劣化にともない検出可能かつ安定した形で変化するため、状態インジケーターとしての役割に適しているギア メトリクスを特定することです。

厳密な相対評価を行うには、専用の統計的手法を使用して特徴をランク付けすることができます。各手法は、定格動作と故障動作間など、データ グループ間の区別をする能力によって特徴にスコアを与え、ランク付けを行います。ランク付けの結果によって、効果のない特徴を排除し、派生した変数や特徴を計算する際にパラメーター調整のランク付けの効果を評価することができます。

診断特徴デザイナー アプリコマンド ライン

ヒストグラムによって特徴の有効度の初期評価を実行できます。さらに厳密な相対評価を実行するには、[特徴のランク付け] オプションを使用して専用の統計的手法により特徴をランク付けできます。

選択したメトリクスを Statistics and Machine Learning Toolbox™ の分類学習器アプリにエクスポートするには、[エクスポート] オプションを使用します。

以下の特徴選択関数から選択できます。

ギアの状態メトリクス候補のセットを定義したら、それらを Statistics and Machine Learning Toolbox の分類学習器アプリにエクスポートできます。分類学習器は、特徴セットにより各種のモデルをテストする自動化された方法を使用して、データの分類をモデルに学習させます。そうすることで、分類学習器は最適なモデルと最も効果的な特徴を決定します。予知保全の場合、分類学習器を使用する目的は、健全なシステムのデータと故障状態のシステムのデータを区別するモデルを選択し、学習させることです。このモデルをギア列の故障の検出と予測用のアルゴリズムに組み込むことができます。

参考

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