iddata
時間領域または周波数領域のシステム同定用の入出力データとそのプロパティ
説明
iddata
オブジェクトは、同定するシステムの入出力測定データをカプセル化するために使用します。システム同定関数では、これらの測定値をモデルの推定に使用します。モデル検証関数では、シミュレーションの入力として入力測定値を使用し、推定されたモデルの応答が元のデータにどの程度適合するかを比較するのに出力測定値を使用します。
iddata
オブジェクトには、測定値の単一のセットを含めることも、複数のセットを含めることもできます。それぞれのデータのセットが "実験" に対応します。オブジェクトには次の特性があり、オブジェクトのプロパティでエンコードされます。
データは周波数領域または時間領域のいずれかで表されます。オブジェクトはそれぞれの領域に相互に変換できます。
時間領域のデータは、等間隔サンプルでも非等間隔サンプルでもかまいません。ただし、
iddata
オブジェクトを推定に使用するには、データは等間隔サンプルでなければならず、各実験の入力データと出力データが同じ時点で記録されている必要があります。データのプロパティとして、サンプル時間、開始時間、時間点、周波数サンプル点、サンプル間動作などを指定できます。
データ成分、実験、およびオブジェクト全体を区別するための注釈として、ラベルやコメントを指定できます。
オブジェクトのプロパティにアクセスするには、ドット表記を使用します。たとえば、コマンド sys = iddata(ym,um,Tsamp)
で iddata
オブジェクトを作成するとします。ym
は測定出力データ、um
は測定入力データ、Tsamp
はサンプル時間です。iddata
は、これらの変数を InputData
、OutputData
、および Ts
の各プロパティに格納します。データを表示または変更するには、sys.InputData
、sys.OutputData
、および sys.Ts
を使用します。ドット表記を使用したプロパティの表示と変更の例については、プロパティの表示と変更を参照してください。
作成
構文
説明
時間領域データの使用
は、時間領域の出力信号 data
= iddata(y
,u
,Ts
)y
と入力信号 u
を含む iddata
オブジェクトを作成します。Ts
は実験データのサンプル時間を指定します。
iddata
を使用して、y
と u
を cell 配列として指定すると、複数実験の iddata
オブジェクトを作成できます。あるいは、単一実験の iddata
オブジェクトを作成し、それらのオブジェクトを merge (iddata)
を使用して 1 つの複数実験の iddata
オブジェクトに結合できます。複数実験の iddata
オブジェクトの詳細については、Create Multiexperiment Data at the Command Lineを参照してください。
周波数領域データの使用
追加のプロパティの構成
は、名前と値の引数を使用して追加のプロパティを設定します。data
= iddata(___,Name,Value
)Name,Value
は、前述の構文における任意の入力引数の組み合わせの後に指定します。
入力引数
プロパティ
オブジェクト関数
一般に、システム同定データに適用できるすべての関数は iddata
オブジェクトに適用できます。これらの関数は 3 つの一般的なタイプに分類されます。
iddata
オブジェクトに対して操作を行い、結果のオブジェクトを返す関数を使用して、iddata
オブジェクトを操作および処理できます。既存の
iddata
オブジェクトを時間領域と周波数領域の間で変換するには、fft
およびifft
を使用します。以下に例を示します。datafd = fft(Data); datatd = ifft(Dataf);
複数の実験を含む単一の
iddata
オブジェクトにiddata
オブジェクトをマージするには、merge (iddata)
を使用します。複数実験のiddata
オブジェクトから実験を抽出するには、getexp
を使用します。以下に例を示します。data123 = merge(data1,data2,data3); data2 = getexp(data123,2);
より詳細な例については、特定のデータ セグメントの抽出とモデル化を参照してください。
iddata
オブジェクトのデータをフィルター処理したり不良なデータを削除したりするには、detrend
やidfilt
などの前処理関数を使用します。以下に例を示します。data_d = detrend(data); data_f = idfilt(data,filter);
iddata
オブジェクトに対して解析的な処理を実行し、プロットを作成したり特定のパラメーターや値を返したりする関数を使用して、データを解析し、推定に使用する入力を判断できます。iddata
オブジェクトのデータを使用してモデルを推定、シミュレート、検証する関数を使用して、動的モデルを作成し、モデルの応答が検証データにどの程度一致するかを評価できます。以下のリストには、
iddata
オブジェクトで使用できる関数の代表的なサブセットが含まれています。