GeneralizedLinearMixedModel クラス
一般化線形混合効果モデル クラス
説明
GeneralizedLinearMixedModel
オブジェクトは、固定効果および変量効果両方を含む応答変数の回帰モデルを表します。このオブジェクトはデータ、モデルの説明、当てはめた係数、共分散パラメーター、計画行列、残差、残差プロットおよび GLME (一般化線形混合効果) モデルのその他の診断情報で構成されます。predict
関数を使用してモデルの応答を予測でき、random
関数を使用して新しい設計点に乱数データを生成できます。
構築
fitglme(
を使用して GLME (一般化線形混合効果) モデルを標本データに当てはめることができます。詳細は、tbl
,formula
)fitglme
を参照してください。
入力引数
formula
— モデル仕様の式
'y ~ fixed + (random1|grouping1) + ... + (randomR|groupingR)'
という形式の文字ベクトルまたは string スカラー
モデル仕様の式。'y ~ fixed + (random1|grouping1) + ... + (randomR|groupingR)'
という形式の文字ベクトルまたは string スカラーを指定します。詳細は、式を参照してください。
例: 'y ~ treatment +(1|block)'
プロパティ
Coefficients
— 固定効果係数の推定
データセット配列
固定効果係数の推定および関連する統計。各係数および以下の列に対し 1 つの行をもつデータセット配列として格納されます。
Name
— 係数の名前Estimate
— 推定される係数値SE
— 推定の標準誤差tStat
— 係数が 0 であるという検定の t 統計量DF
— t 統計量に関連付けられた自由度pValue
— t 統計量の p 値Lower
— 信頼限界の下限Upper
— 信頼限界の上限
ベクトルとしてこれらの列のいずれかを取得するには、ドット表記を使ってプロパティにインデックスを付けます。
coefTest
メソッドを使用して係数に他の検定を実行します。
CoefficientCovariance
— 推定固定効果ベクトルの共分散
行列
推定固定効果ベクトルの共分散。行列として保存されます。
データ型: single
| double
CoefficientNames
— 固定効果係数の名前
文字ベクトルの cell 配列
固定効果係数の名前。文字ベクトルの cell 配列として格納されます。定数項の係数のラベルは (Intercept)
です。他の係数のラベルは、乗算する項を示します。項にカテゴリカル予測子が含まれる場合、ラベルはその予測子の水準も示します。
データ型: cell
DFE
— 誤差に対する自由度
正の整数値
誤差に対する自由度。正の整数値として格納します。DFE
は観測値の数から推定係数の数を引いたものです。
DFE
には、固定効果係数で仮説検定をするために分母の自由度を計算する 'Residual'
メソッドに対応する自由度が含まれます。n が観測値の個数、p が固定効果の係数の個数である場合、DFE
は n – p に等しくなります。
データ型: double
Dispersion
— モデル分散パラメーター
スカラー値
モデル分散パラメーター。スカラー値として格納されます。分散パラメーターは応答の条件付き分散を定義します。
一般化線形混合効果モデルでは、条件付き平均が μi、分散パラメーターが σ2 である場合、観測値 i に対する応答 yi の条件付き分散は次のようになります。
ここで、wi は i 番目の観測値の重みであり、v は指定された応答の条件付き分布に対する分散関数です。Dispersion
プロパティには、指定された GLME モデルに対して推定される σ2 が格納されます。Dispersion
の値は応答の指定された条件付き分布により異なります。二項分布およびポアソン分布では、Dispersion
の理論値は σ2 = 1.0 に等しくなります。
FitMethod
がMPL
またはREMPL
で、fitglme
の'DispersionFlag'
名前と値のペアの引数がtrue
の場合、分散パラメーターはすべての分布データから推定されます。これには二項分布およびポアソン分布が含まれます。FitMethod
がApproximateLaplace
またはLaplace
の場合、fitglme
の'DispersionFlag'
名前と値のペアの引数は適用されません。また、分散パラメーターは二項分布およびポアソン分布では 1.0 で固定されます。その他すべての分布については、Dispersion
はデータから推定されます。
データ型: double
DispersionEstimated
— 分散パラメーターが推定されたかを示すフラグ
true
| false
分散パラメーターが推定されたかを示すフラグ。論理値として格納されます。
FitMethod
がApproximateLaplace
またはLaplace
の場合、分散パラメーターは二項分布およびポアソン分布の場合は 1.0 の理論値で固定され、DispersionEstimated
はfalse
になります。その他の分布では、分散パラメーターはデータから推定され、DispersionEstimated
はtrue
になります。FitMethod
がMPL
またはREMPL
で、かつfitglme
の'DispersionFlag'
名前と値のペアの引数がtrue
に指定される場合、分散パラメーターは二項分布およびポアソン分布を含むすべての分布に推定され、DispersionEstimated
はtrue
になります。FitMethod
がMPL
またはREMPL
であり、かつfitglme
において'DispersionFlag'
名前と値のペアの引数がfalse
に指定される場合、分散パラメーターは二項分布およびポアソン分布の理論値で固定され、DispersionEstimated
はfalse
になります。二項分布およびポアソン分布以外の分布については、分散パラメーターはデータから推定され、DispersionEstimated
はtrue
になります。
データ型: logical
Distribution
— 応答分布名
'Normal'
| 'Binomial'
| 'Poisson'
| 'Gamma'
| 'InverseGaussian'
応答分布名。次のいずれかとして格納されます。
'Normal'
— 正規分布'Binomial'
— 二項分布'Poisson'
— ポアソン分布'Gamma'
— ガンマ分布'InverseGaussian'
— 逆ガウス分布
FitMethod
— モデルの当てはめに使用するメソッド
'MPL'
| 'REMPL'
| 'ApproximateLaplace'
| 'Laplace'
モデルの当てはめに使用するメソッド。以下のいずれかとして格納されます。
'MPL'
— 疑似最尤法'REMPL'
— 制限付き疑似最尤法'ApproximateLaplace'
— 固定効果をプロファイルし、近似ラプラス方式を使った最尤法'Laplace'
— ラプラス方式を使った最尤法
Formula
— モデル仕様の式
オブジェクト
モデル仕様の式。オブジェクトとして保存されます。モデル仕様の式はウィルキンソンの表記法を使用し、GLME モデルでの固定効果項、変量効果項およびグループ化変数間の関係を記述します。詳細は、式を参照してください。
Link
— リンク関数の特性
構造体
リンク関数の特性。以下のフィールドを含む構造体として格納されます。リンクは関数 G
です。分布パラメーター MU
は、次のように線形予測子 ETA
にリンクされます。G(MU) = ETA
。
フィールド | 説明 |
---|---|
Name | リンク関数の名前 |
Link | G を定義する関数 |
Derivative | G の導関数 |
SecondDerivative | G の 2 次導関数 |
Inverse | G の逆関数 |
データ型: struct
LogLikelihood
— 尤度関数の対数
スカラー値
推定係数値で評価される尤度関数の対数。スカラー値として格納されます。LogLikelihood
はモデルの当てはめに使用されるメソッドにより異なります。
'Laplace'
または'ApproximateLaplace'
を使用する場合、LogLikelihood
は最大化された対数尤度です。'MPL'
を使用する場合、LogLikelihood
は疑似尤度の最後の反復からの疑似データが最大化された対数尤度です。'REMPL'
を使用する場合、LogLikelihood
は、疑似尤度の最後の反復からの疑似データが最大された制限付き対数尤度です。
データ型: double
ModelCriterion
— モデル基準
テーブル
当てはめた一般化線形混合効果モデルを比較するためのモデル基準。以下のフィールドをもつ表として格納されます。
フィールド | 説明 |
---|---|
AIC | 赤池情報量基準 |
BIC | ベイズ情報量基準 |
LogLikelihood |
|
Deviance | –2 倍の LogLikelihood |
NumCoefficients
— 固定効果係数の数
正の整数値
当てはめた一般化線形混合効果モデルの固定効果係数の数。正の整数値として格納されます。
データ型: double
NumEstimatedCoefficients
— 推定固定効果係数の数
正の整数値
当てはめた一般化線形混合効果モデルの推定固定効果係数の数。正の整数値として格納されます。
データ型: double
NumObservations
— 観測値の数
正の整数値
近似で使用される観測値の数。正の整数値として保存されます。NumObservations
はテーブルまたはデータセット配列 tbl
の行数から fitglme
の 'Exclude'
名前と値のペアを使用して除外した行、または NaN
値を含む行を差し引いた行数です。
データ型: double
NumPredictors
— 予測子の数
正の整数値
一般化線形混合効果モデルで予測子として使用される変数の数。正の整数値として格納されます。
データ型: double
NumVariables
— 変数の総数
正の整数値
応答や予測子を含む変数の総数。正の整数値として格納されます。標本データがテーブルまたはデータセット配列 tbl
に含まれている場合、NumVariables
は tbl
内の応答変数に含まれる変数の総数です。NumVariables
に変数が含まれる場合、これらは予測子または応答として使用されません。
データ型: double
ObservationInfo
— 観測についての情報
テーブル
近似に使用される観測についての情報。テーブルとして格納します。
ObservationInfo
には、観測ごとに 1 つの行と以下の列があります。
名前 | 説明 |
---|---|
Weights | 観測値の重みの値。既定値は 1 です。 |
Excluded | fitglme において観測値を近似から除外するために 'Exclude' 名と値のペアの引数を使用する場合、Excluded は true または 1 です。それ以外の場合は、Excluded は false または 0 です。 |
Missing | 応答または予測子の値が欠損しているために観測値を近似から除外した場合 、 欠損値は、数値の場合は |
Subset | 観測値が近似で使用された場合、Subset は true です。欠損していたか除外されたため観測値が近似で使用されなかった場合、Subset は false です。 |
BinomSize | 観測値ごとの二項サイズ。この列は二項分布を当てはめるときのみ適用されます。 |
データ型: table
ObservationNames
— 観測の名前
文字ベクトルの cell 配列
当てはめに使用される観測値の名前。文字ベクトルの cell 配列として格納されます。
データが観測名を含むテーブルまたはデータセット配列
tbl
に含まれている場合、ObservationNames
はそれらの名前を使用します。データが行列または観測名を含まないテーブルまたはデータセット配列にある場合、
ObservationNames
は空の cell 配列です。
データ型: cell
PredictorNames
— 予測子の名前
文字ベクトルの cell 配列
当てはめで予測子として使用される変数の名前。NumPredictors
と同じ長さの文字ベクトルの cell 配列として格納されます。
データ型: cell
ResponseName
— 応答変数の名前
文字ベクトル
当てはめで応答変数として使用される変数の名前。文字ベクトルとして格納されます。
データ型: char
Rsquared
— 当てはめたモデルで説明される応答の変動性の比率
構造体
当てはめたデルで説明される応答の変動性の比率。構造体として格納されます。Rsquared
は当てはめたモデルの R 二乗値を含み、これは複数の相関係数とも呼ばれます。Rsquared
には以下のフィールドがあります。
フィールド | 説明 |
---|---|
Ordinary | 決定係数値。構造体のスカラー値として格納されます。Rsquared.Ordinary = 1 — SSE./SST |
Adjusted | 固定効果係数の数を調整した決定係数値。構造体のスカラー値として格納されます。Rsquared.Adjusted = 1 — (SSE./SST)*(DFT./DFE) 、ここで DFE = n – p 、DFT = n – 1 、n は観測値の総数であり、p は固定効果係数の数です。 |
データ型: struct
SSE
— 誤差二乗和
正のスカラー
誤差二乗和。正のスカラーを指定します。SSE
は二乗した条件付き残差の重み付き和で、次のように計算します。
ここで N は観測値の個数、wieff は i 番目の有効な重み、yi は i 番目の応答、fi は i 番目の当てはめた値です。
i 番目の有効な重みは以下のように計算します。
ここで、wi は i 番目の観測値の重み、vi は i 番目の観測値の分散項、 と はそれぞれ β と b の推定値です。
i 番目の当てはめた値は次のように計算します。
ここで、g はリンク関数、xiT は固定効果の計画行列 X の i 番目の行、ziT は変量効果の計画行列 Z の i 番目の行、δi は i 番目のオフセット値です。
データ型: double
SSR
— 回帰二乗和
正のスカラー
回帰二乗和。正のスカラーを指定します。SSR
は一般化線形混合効果回帰で説明される二乗和で、当てはめた値と応答の平均の間における偏差の二乗和に等しい値です。SSR
は次のように計算されます。
ここで、N は観測値の個数、wieff は i 番目の有効な重み、fi は i 番目の当てはめた値、 は応答の加重平均です。
i 番目の有効な重みは以下のように計算します。
ここで、wi は i 番目の観測値の重み、vi は i 番目の観測値の分散項、 と はそれぞれ β と b の推定値です。
i 番目の当てはめた値は次のように計算します。
ここで、g はリンク関数、xiT は固定効果の計画行列 X の i 番目の行、ziT は変量効果の計画行列 Z の i 番目の行、δi は i 番目のオフセット値です。
データ型: double
SST
— 二乗の総和
正のスカラー
二乗総和。正のスカラーを指定します。
切片をもつ GLME モデルでは、SST
は次のように計算されます。
SST = SSE + SSR
,
ここで、SST
は二乗総和、SSE
は誤差二乗和、SSR
は回帰二乗和です。
切片のない GLME モデルでは、SST
は次のように計算されます。
ここで、N は観測値の個数、wieff は i 番目の有効な重み、yi は i 番目の応答値、 は応答の加重平均です。
データ型: double
VariableInfo
— 変数の情報
テーブル
近似で使用される変数の情報。表として保存されます。VariableInfo
は変数ごとに 1 つの行をもち、以下の列を含みます。
列名 | 説明 |
---|---|
Class | 変数のクラス ('double' 、'cell' 、'nominal' など)。 |
Range | 変数の値の範囲。
|
InModel | 変数が当てはめたモデルの予測子である場合、 変数が当てはめたモデルに含まれていない場合、 |
IsCategorical | 変数の型がカテゴリカル予測子 (セル、論理、カテゴリカルなど) として処理される場合、 変数が連続予測子である場合、 |
データ型: table
VariableNames
— 変数の名前
文字ベクトルの cell 配列
テーブルまたはデータセット配列 tbl
に含まれているすべての変数の名前。文字ベクトルの cell 配列として格納されます。
データ型: cell
Variables
— 変数
テーブル
変数。テーブルとして格納します。近似がテーブルまたはデータセット配列 tbl
に基づいている場合、Variables
は tbl
と同じです。
データ型: table
オブジェクト関数
anova | 一般化線形混合効果モデルの分散分析 |
coefCI | 一般化線形混合効果モデルの係数の信頼区間 |
coefTest | 一般化線形混合効果モデルの固定効果と変量効果についての仮説検定 |
compare | 一般化線形混合効果モデルの比較 |
covarianceParameters | 一般化線形混合効果モデルの共分散パラメーターの抽出 |
designMatrix | 固定効果と変量効果の計画行列 |
fitted | 一般化線形混合効果モデルからの当てはめた応答 |
fixedEffects | 固定効果と関連する統計の推定 |
partialDependence | 部分依存の計算 |
plotPartialDependence | 部分依存プロット (PDP) および個別条件付き期待値 (ICE) プロットの作成 |
plotResiduals | 一般化線形混合効果モデルの残差のプロット |
predict | 一般化線形混合効果モデルの応答の予測 |
random | 当てはめた一般化線形混合効果モデルからのランダム応答の生成 |
randomEffects | 変量効果と関連する統計の推定 |
refit | 一般化線形混合効果モデルの再当てはめ |
residuals | 当てはめた一般化線形混合効果モデルの残差 |
response | 一般化線形混合効果モデルの応答ベクトル |
例
一般化線形混合効果モデルの当てはめ
標本データを読み込みます。
load mfr
このシミュレーションされたデータは、世界中で 50 の工場を操業している製造企業から取得しており、各工場が完成品の生産のためにバッチ処理を実行しています。同社は各バッチの欠陥数を減少させるために新たな製造プロセスを開発しました。新しいプロセスの効果をテストするため、同社は実験に参加させる 20 工場を無作為に選びました。10 工場では新プロセスを実施しますが、残りの 10 工場では旧プロセスの実行を続けます。各 20 工場で、同社は 5 つのバッチ (合計 100 バッチ) を実行し以下のデータを記録しました。
新しいプロセスがバッチに使用されたかどうかを示すフラグ (
newprocess
)各バッチの処理時間。時間単位 (
time
)バッチの温度。摂氏 (
temp
)バッチで使用する化学薬品の供給業者 (
A
、B
またはC
) を示すカテゴリカル変数 (supplier
)バッチ内の欠陥数 (
defects
)
またデータに含まれる time_dev
と temp_dev
は、摂氏 20 度で 3 時間の標準プロセスから得られる時間と温度の絶対偏差をそれぞれ表します。
固定効果予測子として newprocess
、time_dev
、temp_dev
および supplier
を使用して一般化線形混合効果モデルを当てはめます。工場特有の変動に起因して品質に差がある可能性を考慮するために、factory
別にグループ化された切片の変量効果項を含めます。応答変数 defects
はポアソン分布であり、このモデルの適切なリンク関数は対数です。係数の予測にラプラス近似メソッドを使用します。ダミー変数エンコードを 'effects'
として指定すると、ダミー変数の係数の合計が 0 になります。
欠陥数はポアソン分布を使用してモデル化できます
これは一般化線形混合効果モデルに対応します
ここで
は、バッチ 処理中の工場 で実行されたバッチで観測された欠陥数です。
は、バッチ () 処理中の工場 () に対応する欠陥の平均数です。
、 および は、バッチ 処理中の工場 に対応する各変数の測定値です。たとえば は、工場 で実行されたバッチ 処理中に新プロセスが使用されたかどうかを示します。
および はエフェクト (ゼロサム) コーディングを使用するダミー変数であり、バッチ 処理中に工場 で実行されたバッチに対して、それぞれ会社
C
またはB
が加工化学薬品を供給したかどうかを示します。は、工場特有の品質変動に相当する、各工場 の変量効果の切片です。
glme = fitglme(mfr,'defects ~ 1 + newprocess + time_dev + temp_dev + supplier + (1|factory)', ... 'Distribution','Poisson','Link','log','FitMethod','Laplace','DummyVarCoding','effects');
モデルを表示します。
disp(glme)
Generalized linear mixed-effects model fit by ML Model information: Number of observations 100 Fixed effects coefficients 6 Random effects coefficients 20 Covariance parameters 1 Distribution Poisson Link Log FitMethod Laplace Formula: defects ~ 1 + newprocess + time_dev + temp_dev + supplier + (1 | factory) Model fit statistics: AIC BIC LogLikelihood Deviance 416.35 434.58 -201.17 402.35 Fixed effects coefficients (95% CIs): Name Estimate SE tStat DF pValue Lower Upper {'(Intercept)'} 1.4689 0.15988 9.1875 94 9.8194e-15 1.1515 1.7864 {'newprocess' } -0.36766 0.17755 -2.0708 94 0.041122 -0.72019 -0.015134 {'time_dev' } -0.094521 0.82849 -0.11409 94 0.90941 -1.7395 1.5505 {'temp_dev' } -0.28317 0.9617 -0.29444 94 0.76907 -2.1926 1.6263 {'supplier_C' } -0.071868 0.078024 -0.9211 94 0.35936 -0.22679 0.083051 {'supplier_B' } 0.071072 0.07739 0.91836 94 0.36078 -0.082588 0.22473 Random effects covariance parameters: Group: factory (20 Levels) Name1 Name2 Type Estimate {'(Intercept)'} {'(Intercept)'} {'std'} 0.31381 Group: Error Name Estimate {'sqrt(Dispersion)'} 1
Model information
表は標本データの観測値の合計 (100)、固定効果および変量効果係数の数 (それぞれ 6 および 20)、共分散パラメーターの数 (1) を表示しています。また、応答変数は Poisson
分布であり、リンク関数は Log
であり、近似メソッドが Laplace
であることもわかります。
Formula
はウィルキンソンの表記法によるモデル仕様を示します。
Model fit statistics
表はモデルの適合度の評価に使用された統計を表します。これには赤池情報量基準 (AIC
)、ベイズ情報量基準 (BIC
) 値、対数尤度 (LogLikelihood
) および逸脱度 (Deviance
) の値が含まれます。
Fixed effects coefficients
表は、fitglme
が 95% の信頼区間を返したことを示します。これには固定効果予測子ごとに 1 行が含まれ、各列にはその予測子に対応する統計が含まれます。列 1 (Name
) には各固定効果係数の名前が含まれ、列 2 (Estimate
) にはその推定値が含まれ、列 3 (SE
) には係数の標準誤差が含まれます。列 4 (tStat
) には係数が 0 に等しいという仮説検定のための 統計量が含まれます。列 5 (DF
) と列 6 (pValue
) には 統計量に対応する自由度と 値がそれぞれ含まれます。最後の 2 列 (Lower
および Upper
) には、各固定効果係数の 95% 信頼区間の下限と上限がそれぞれ表示されます。
Random effects covariance parameters
は各グループ化変数 (ここでは factory
のみ) の表を表示します。これには水準の総数 (20)、共分散パラメーターの型および推定値が含まれます。ここでの std
は、工場の予測子に関連付けられている変量効果の標準偏差が fitglme
から返されることを示します。この推定値は 0.31381 です。また、誤差パラメーターの型 (ここでは分散パラメーターの平方根) およびその推定値 1 を含む表も表示します。
fitglme
により生成される標準表示は変量効果パラメーターの信頼区間を指定しません。covarianceParameters
を使用して、これらの値を計算し表示します。
バイナリ データへの一般化混合効果モデルの当てはめ
標本データ セット carbig
を読み込みます。
load carbig
変数 Acceleration
、Model_Year
、および Cylinders
には、自動車の加速度、製造年、およびエンジンの気筒数のデータが格納されています。このデータは、1970 年から 1982 年までに製造された自動車から収集したものです。
自動車の気筒が 4 気筒よりも多いかどうかを示す変数 CylinderCats
を作成します。関数table
を使用して、Acceleration
、Model_Year
、および CylinderCats
のデータから table を作成します。
CylinderCats = Cylinders>4; tbl = table(Acceleration,Model_Year,CylinderCats);
CylinderCats
を応答変数、Model_Year
を変量効果として使用して、一般化混合効果モデルをデータに当てはめます。応答データの分布を二項として指定します。
glme = fitglme(tbl,"CylinderCats~Acceleration+(Acceleration|Model_Year)",Distribution="Binomial");
glme
は、当てはめ後のモデルに関する情報を含む GeneralizedLinearMixedModel
オブジェクトです。
オブジェクト関数fixedEffects
を使用して、既定の信頼水準 95% で固定効果 Acceleration
の統計量を調べます。
[~,~,statsFixed] = fixedEffects(glme)
statsFixed = FIXED EFFECT COEFFICIENTS: DFMETHOD = 'RESIDUAL', ALPHA = 0.05 Name Estimate SE tStat DF pValue Lower Upper {'(Intercept)' } 4.3838 1.2374 3.5428 404 0.00044213 1.9513 6.8163 {'Acceleration'} -0.29673 0.077896 -3.8093 404 0.00016104 -0.44986 -0.1436
Acceleration
項の "p" 値が小さく、自動車の加速度は自動車が 4 気筒よりも多気筒であるかどうかに統計的に有意な影響を与えることを示しています。
オブジェクト関数randomEffects
を使用して、既定の信頼水準 95% で変量効果 Model_Year
の統計量を調べます。
[~,~,statsRandom] = randomEffects(glme)
statsRandom = RANDOM EFFECT COEFFICIENTS: DFMETHOD = 'RESIDUAL', ALPHA = 0.05 Group Level Name Estimate SEPred tStat DF pValue Lower Upper {'Model_Year'} {'70'} {'(Intercept)' } 3.041 2.1322 1.4262 404 0.15457 -1.1506 7.2326 {'Model_Year'} {'70'} {'Acceleration'} -0.16836 0.13906 -1.2107 404 0.22672 -0.44173 0.10501 {'Model_Year'} {'71'} {'(Intercept)' } 3.4715 2.3452 1.4802 404 0.13959 -1.1389 8.0818 {'Model_Year'} {'71'} {'Acceleration'} -0.21721 0.15106 -1.4378 404 0.15125 -0.51418 0.079764 {'Model_Year'} {'72'} {'(Intercept)' } 4.2634 2.4382 1.7486 404 0.081124 -0.52977 9.0566 {'Model_Year'} {'72'} {'Acceleration'} -0.28827 0.15892 -1.8139 404 0.070435 -0.6007 0.024149 {'Model_Year'} {'73'} {'(Intercept)' } 3.7951 2.1976 1.7269 404 0.084949 -0.52512 8.1153 {'Model_Year'} {'73'} {'Acceleration'} -0.21079 0.14182 -1.4864 404 0.13796 -0.48958 0.067996 {'Model_Year'} {'74'} {'(Intercept)' } -0.77693 2.6678 -0.29123 404 0.77103 -6.0214 4.4675 {'Model_Year'} {'74'} {'Acceleration'} 0.056863 0.16571 0.34314 404 0.73167 -0.2689 0.38263 {'Model_Year'} {'75'} {'(Intercept)' } -3.2681 2.1531 -1.5178 404 0.12984 -7.5008 0.96463 {'Model_Year'} {'75'} {'Acceleration'} 0.24151 0.13346 1.8096 404 0.071093 -0.020847 0.50387 {'Model_Year'} {'76'} {'(Intercept)' } -0.28228 2.0922 -0.13492 404 0.89274 -4.3952 3.8306 {'Model_Year'} {'76'} {'Acceleration'} 0.045966 0.13069 0.35171 404 0.72524 -0.21096 0.30289 {'Model_Year'} {'77'} {'(Intercept)' } -0.78239 2.2806 -0.34305 404 0.73174 -5.2658 3.701 {'Model_Year'} {'77'} {'Acceleration'} 0.052519 0.14498 0.36226 404 0.71735 -0.23249 0.33752 {'Model_Year'} {'78'} {'(Intercept)' } -0.46307 2.2693 -0.20406 404 0.83841 -4.9242 3.9981 {'Model_Year'} {'78'} {'Acceleration'} 0.050014 0.14243 0.35114 404 0.72567 -0.22999 0.33002 {'Model_Year'} {'79'} {'(Intercept)' } -2.5181 2.0134 -1.2507 404 0.21178 -6.4762 1.44 {'Model_Year'} {'79'} {'Acceleration'} 0.19051 0.1257 1.5156 404 0.1304 -0.056591 0.43761 {'Model_Year'} {'80'} {'(Intercept)' } -2.6168 2.4053 -1.0879 404 0.27728 -7.3452 2.1117 {'Model_Year'} {'80'} {'Acceleration'} 0.10117 0.14903 0.67883 404 0.49763 -0.19181 0.39414 {'Model_Year'} {'81'} {'(Intercept)' } -1.8396 2.4268 -0.75801 404 0.44888 -6.6103 2.9312 {'Model_Year'} {'81'} {'Acceleration'} 0.08723 0.15145 0.57596 404 0.56497 -0.2105 0.38496 {'Model_Year'} {'82'} {'(Intercept)' } -2.0238 2.5531 -0.79267 404 0.42843 -7.0428 2.9953 {'Model_Year'} {'82'} {'Acceleration'} 0.058853 0.15948 0.36903 404 0.7123 -0.25467 0.37237
table 出力の "p" 値が大きく、いずれの変量効果項も自動車が 4 気筒よりも多気筒であるかどうかに統計的に有意な影響を与えると結論付けるだけの十分な証拠はないことを示しています。
詳細
式
一般に、モデル仕様の式は 'y ~ terms'
という形式の文字ベクトルまたは string スカラーです。一般化線形混合効果モデルでは、この式は 'y ~ fixed + (random1|grouping1) + ... + (randomR|groupingR)'
の形式になります。ここで、fixed
および random
には固定効果および変量効果の項がそれぞれ含まれます。R はモデルのグループ化変数の数です。
テーブル tbl
に以下のものが格納されていると仮定します。
応答変数
y
連続変数またはグループ化変数である予測子変数
Xj
グループ化変数
g1
、g2
、...、gR
ここで、Xj
および gr
のグループ化変数は、categorical 配列、logical 配列、文字配列、string 配列、または文字ベクトルの cell 配列が可能です。
この場合、'y ~ fixed + (random1|g1) + ... + (randomR|gR)'
の形式の式において、項 fixed
は固定効果の計画行列 X
の仕様に対応し、random
1 はグループ化変数 g
1 に対応する変量効果の計画行列 Z
1 の仕様であり、同様に random
R はグループ化変数 g
R に対応する変量効果の計画行列 Z
R の仕様です。fixed
項および random
項はウィルキンソンの表記法で表現できます。
ウィルキンソンの表記法は、モデルに存在する因子を記述します。この表記法は、モデルに存在する因子に関係するものであり、それらの因子の乗数 (係数) に関係するものではありません。
ウィルキンソンの表記法 | 標準表記の因子 |
---|---|
1 | 定数 (切片) 項 |
X^k 、k は正の整数 | X , X2 , ..., Xk |
X1 + X2 | X1 , X2 |
X1*X2 | X1 , X2 , X1.*X2 (elementwise multiplication of X1 and X2) |
X1:X2 | X1.*X2 のみ |
- X2 | X2 は含めない |
X1*X2 + X3 | X1 , X2 , X3 , X1*X2 |
X1 + X2 + X3 + X1:X2 | X1 , X2 , X3 , X1*X2 |
X1*X2*X3 - X1:X2:X3 | X1 , X2 , X3 , X1*X2 , X1*X3 , X2*X3 |
X1*(X2 + X3) | X1 , X2 , X3 , X1*X2 , X1*X3 |
Statistics and Machine Learning Toolbox™ 表記は、-1
を使用して項を明示的に削除しない限り、常に定数項を含みます。線形混合効果モデルの仕様例を次にいくつか挙げます。
次に例を示します。
式 | 説明 |
---|---|
'y ~ X1 + X2' | 切片 X1 および X2 の固定効果。これは、'y ~ 1 + X1 + X2' と等価です。 |
'y ~ -1 + X1 + X2' | X1 と X2 の切片と固定効果はありません。-1 を含めることによって暗黙的な切片の項は抑制されます。 |
'y ~ 1 + (1 | g1)' | グループ化変数 g1 の水準ごとの切片の固定効果と切片の変量効果の和。 |
'y ~ X1 + (1 | g1)' | 固定勾配のランダム切片モデル。 |
'y ~ X1 + (X1 | g1)' | 相関があり得るランダムな切片と勾配。これは、'y ~ 1 + X1 + (1 + X1|g1)' と等価です。 |
'y ~ X1 + (1 | g1) + (-1 + X1 | g1)' | 切片と勾配の独立した変量効果項。 |
'y ~ 1 + (1 | g1) + (1 | g2) + (1 | g1:g2)' | g1 と g2 に対する独立したメイン効果のあるランダムな切片モデル + 独立した交互作用効果。 |
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