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coefTest

クラス: GeneralizedLinearMixedModel

一般化線形混合効果モデルの固定効果と変量効果についての仮説検定

説明

pVal = coefTest(glme) は一般化線形混合効果モデル glme のすべての固定効果係数は切片を除き 0 に等しいという帰無仮説に対する F 検定の p 値を返します。

pVal = coefTest(glme,H) は、指定された対比行列 H を使用して F 検定の p 値を返します。帰無仮説は H0: Hβ = 0 です。ここで、β は固定効果ベクトルです。

pVal = coefTest(glme,H,C) は、仮定された値 C を使用して F 検定の p 値を返します。帰無仮説は H0: Hβ = C です。ここで、β は固定効果ベクトルです。

pVal = coefTest(glme,H,C,Name,Value) は、1 つ以上の名前と値のペアの引数で指定された追加オプションを使用して、一般化線形混合効果モデル glme の固定効果および/または変量効果係数に対する F 検定の p 値を返します。たとえば、F 検定には、分母の自由度の近似を計算する方法を指定できます。

[pVal,F,DF1,DF2] = coefTest(___) はさらに、前の構文のいずれかを用いて F 統計量 FF の分子と分母の自由度 DF1DF2 をそれぞれ返します。

入力引数

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一般化線形混合効果モデル。GeneralizedLinearMixedModel オブジェクトとして指定します。このオブジェクトのプロパティとメソッドについては、GeneralizedLinearMixedModel を参照してください。

固定効果の対比。mp 列の行列として指定します。ここで pglme 内の固定効果係数の数です。H の各行が 1 つの対比を表します。H の各列 (左から右) は、fixedEffects メソッドによってその推定が返される p 行 1 列の固定効果ベクトル beta (上から下) の各行に対応します。

データ型: single | double

帰無仮説 Hβ = C を検定するために仮定した値。m 行 1 列のベクトルを指定します。ここで、βfixedEffects により推定が返される固定効果のベクトルです。

データ型: single | double

名前と値の引数

オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで Name は引数名、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペアの順序は重要ではありません。

R2021a より前では、名前と値をそれぞれコンマを使って区切り、Name を引用符で囲みます。

自由度の近似の計算方法。'DFMethod' と次のいずれかの値で構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。

説明
'residual'自由度の値は n - p に等しい定数であると仮定されます。n は観測値の個数、p は固定効果の個数です。
'none'自由度は無限大に設定されます。

例: 'DFMethod','none'

変量効果の対比。'REContrast' および mq 列の行列からなるコンマ区切りのペアとして指定します。ここで qglme 内の変量効果パラメーターの数です。行列の各列 (左から右) は、randomEffects メソッドによってその推定が返される q 行 1 列の変量効果ベクトル B (上から下) の各行に対応します。

データ型: single | double

出力引数

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一般化線形混合効果モデル glme の固定効果および/または変量効果係数に対する F 検定の p 値。スカラー値として返されます。

fitglme と最尤近似メソッド ('Laplace' または 'ApproximateLaplace') のいずれかを使用して GLME モデルを当てはめる場合、coefTest は、固定効果および変量効果の推定された線形結合の CMSEP (予測の条件付き平均二乗誤差) の近似を使用して、p 値を計算します。これは固定効果推定の不確実性を考慮していますが、共分散パラメーター推定の不確実性は考慮していません。固定効果のみの検定では、fitglme'CovarianceMethod' 名前と値のペアの引数を 'JointHessian' として指定する場合、coefTest は共分散パラメーターを推定する際の不確実性を考慮します。

疑似尤度の近似法 ('MPL' または 'REMPL') のいずれかと fitglme を使用して GLME モデルを当てはめる場合、coefTest は疑似尤度の最後の反復による近似線形混合効果モデルに基づいて推定します。

F 統計量です。スカラー値として返されます。

F 統計値 F の分子の自由度です。スカラー値として返されます。

  • 帰無仮説 H0: Hβ = 0 または H0: Hβ = C を検定する場合、DF1H 内の線形独立である行の数に等しくなります。

  • 帰無仮説 H0: Hβ + KB = C を検定する場合、DF1[H,K] にある線形的に独立した行の数と等しくなります。

F 統計値 F の分母の自由度です。スカラー値として返されます。DF2 の値は、'DFMethod' 名前と値のペアの引数によって指定されたオプションで決まります。

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標本データを読み込みます。

load mfr

このシミュレーションされたデータは、世界中で 50 の工場を操業している製造企業から取得しており、各工場が完成品の生産のためにバッチ処理を実行しています。同社は各バッチの欠陥数を減少させるために新たな製造プロセスを開発しました。新しいプロセスの効果をテストするため、同社は実験に参加させる 20 工場を無作為に選びました。10 工場では新プロセスを実施しますが、残りの 10 工場では旧プロセスの実行を続けます。各 20 工場で、同社は 5 つのバッチ (合計 100 バッチ) を実行し以下のデータを記録しました。

  • 新しいプロセスがバッチに使用されたかどうかを示すフラグ (newprocess)

  • 各バッチの処理時間。時間単位 (time)

  • バッチの温度。摂氏 (temp)

  • バッチで使用する化学薬品の供給業者 (AB または C) を示すカテゴリカル変数 (supplier)

  • バッチ内の欠陥数 (defects)

またデータに含まれる time_devtemp_dev は、摂氏 20 度で 3 時間の標準プロセスから得られる時間と温度の絶対偏差をそれぞれ表します。

固定効果予測子として newprocesstime_devtemp_dev および supplier を使用して一般化線形混合効果モデルを当てはめます。factory 別にグループ化された変量効果の切片を含めます。これは工場特有の変動に起因する品質に差がある可能性を考慮するためです。応答変数 defects はポアソン分布であり、このモデルの適切なリンク関数は対数です。係数の予測にラプラス近似メソッドを使用します。ダミー変数エンコードを 'effects' として指定すると、ダミー変数の係数の合計が 0 になります。

欠陥数はポアソン分布を使用してモデル化できます

defectsijPoisson(μij)

これは一般化線形混合効果モデルに対応します

log(μij)=β0+β1newprocessij+β2time_devij+β3temp_devij+β4supplier_Cij+β5supplier_Bij+bi,

ここで

  • defectsij は、バッチ j 処理中の工場 i で実行されたバッチで観測された欠陥数です。

  • μij は、バッチ j (j=1,2,...,5) 処理中の工場 i (i=1,2,...,20) に対応する欠陥の平均数です。

  • newprocessijtime_devij および temp_devij は、バッチ j 処理中の工場 i に対応する各変数の測定値です。たとえば newprocessij は、工場 i で実行されたバッチ j 処理中に新プロセスが使用されたかどうかを示します。

  • supplier_Cij および supplier_Bij はエフェクト (ゼロサム) コーディングを使用するダミー変数であり、バッチ j 処理中に工場 i で実行されたバッチに対して、それぞれ会社 C または B が加工化学薬品を供給したかどうかを示します。

  • biN(0,σb2) は、工場特有の品質変動に相当する、各工場 i の変量効果の切片です。

glme = fitglme(mfr,'defects ~ 1 + newprocess + time_dev + temp_dev + supplier + (1|factory)','Distribution','Poisson','Link','log','FitMethod','Laplace','DummyVarCoding','effects');

供給業者 C と供給業者 B との間になんらかの有意差があるかどうかを検定します。

H = [0,0,0,0,1,-1];

[pVal,F,DF1,DF2] = coefTest(glme,H)
pVal = 
0.2793
F = 
1.1842
DF1 = 
1
DF2 = 
94

p 値が大きいので、5% の有意水準では供給業者 C と供給業者 B に有意差がないことがわかります。ここで coefTest は、F 統計量、分子の自由度、および近似した分母の自由度も返します。

供給業者 A と供給業者 B との間になんらかの有意差があるかどうかを検定します。

fitglme を使用してモデルを当てはめるときに、名前と値のペアの引数 'DummyVarCoding''effects' として指定する場合、以下のようになります。

βA+βB+βC=0,

ここで、βAβB および βC はそれぞれ供給業者 A、B および C に対応します。βA は、A の効果から A、B および C の平均効果を減算した値です。供給業者 A と供給業者 B の間の検定に対応する対比行列を求めるため、次のようにします。

βB-βA=βB-(-βB-βC)=2βB+βC.

disp(glme) の出力から、対比行列の列 5 は βC に、列 6 は βB に対応します。したがって、この検定の対比行列は H = [0,0,0,0,1,2] として指定します。

H = [0,0,0,0,1,2];

[pVal,F,DF1,DF2] = coefTest(glme,H)
pVal = 
0.6177
F = 
0.2508
DF1 = 
1
DF2 = 
94

p 値が大きいので、5% の有意水準では供給業者 A と供給業者 B に有意差がないことがわかります。

参照

[1] Booth, J.G., and J.P. Hobert. “Standard Errors of Prediction in Generalized Linear Mixed Models.” Journal of the American Statistical Association, Vol. 93, 1998, pp. 262–272.