信号ラベルの定義の作成またはインポート
信号ラベラーでは、MAT ファイルに保存されている既存の signalLabelDefinition
オブジェクトをインポートするか、アプリで信号ラベルの定義を labeledSignalSet
に直接追加できます。
信号ラベルの定義を使用して信号のラベルを定義します。ラベルは次の 6 つのタイプです。
"属性" ラベルは、信号特性全体を定義します。
"関心領域" (ROI) ラベルは、開始時間と終了時間をもつ関心領域上の信号特性を定義します。
"点" ラベルは、時間内のある関心点における信号特性を定義します。
"時間-周波数 ROI" ラベルは、時間および周波数の両方の開始点と終了点をもつ関心領域上のスペクトログラム特性を定義します。
"特徴属性" ラベルは、特徴に対応する信号特性全体を定義します。
"特徴の ROI" ラベルは、特徴に対応する関心領域での信号特性を定義します。
メモ
信号特徴抽出器は、特徴を抽出するときに、属性特徴ラベルおよび特徴の ROI ラベルを自動的に生成します。詳細については、Feature Extraction Using Signal Feature Extractorを参照してください。
各ラベルは 4 つのデータ型のうち 1 つをもつことができます。
"logical" ラベルは、
true
とfalse
のいずれかです。categorical ラベルは、指定するカテゴリ セットの 1 つに属します。
数値 ラベルは任意の数値をもちます。
string ラベルは文字列で表される任意の値をもちます。
例: 数値属性として平均 RMS 値で信号にラベルを付ける定義を作成します。
コマンド ラインで次のコードを入力します。
このコードは、信号ラベラーに読み込んでlblRMS = signalLabelDefinition("MeanRMSattr", ... 'LabelType','attribute','LabelDataType','numeric'); save('MeanRMSdef','lblRMS')
MeanRMSattr
というラベルの定義をインポートできるファイルMeanRMSdef.mat
を作成します。信号ラベラーの [ラベラー] タブで [定義の追加] をクリックし、
[ラベルの定義の追加]
を選択します。ダイアログ ボックスで、[ラベル名] をMeanRMS
として、[ラベルのタイプ] を[属性]
として、[データ型] を[数値]
として指定します。
例: 立ち上がり遷移の場合は "rising"
、立ち下がり遷移の場合は "falling"
として、信号のゼロクロッシングにラベル付けする定義を作成します。
コマンド ラインで次のコードを入力します。
このコードは、信号ラベラーに読み込んでldf = signalLabelDefinition("Crosses",'LabelType','point', ... 'LabelDataType','categorical','Categories',["rising","falling"]); save('CrossDef','ldf')
Crosses
というラベルの定義をインポートできるファイルCrossDef.mat
を作成します。信号ラベラーの [ラベラー] タブで [定義の追加] をクリックし、
[ラベルの定義の追加]
を選択します。ダイアログ ボックスで、[ラベル名] をcrossings
として、[ラベルのタイプ] を[点]
として、[データ型] を[categorical]
として、カテゴリをrising
およびfalling
として、各カテゴリを新しい行に指定します。
信号ラベルの定義のインポート
既存の信号ラベルの定義をインポートするには、[ラベラー] タブの [インポート] をクリックし、[ラベルの定義]
、[ファイルから]
を選択します。ダイアログ ボックスで、インポートするラベルの定義を含む MAT ファイルの名前を指定します。MAT ファイルには signalLabelDefinition
オブジェクトのベクトルが 1 つだけ含まれていなければなりません。
ラベルの定義の作成
信号ラベルの定義をラベル付き信号セットに追加するには、[ラベラー] タブで [定義の追加] をクリックし、[ラベルの定義の追加]
を選択します。ダイアログ ボックスで、以下のフィールドを指定します。
ラベル名 — テキスト ボックスに名前を指定します。
ラベル タイプ —
[属性]
、[ROI]
、[点]
、[時間-周波数 ROI]
のいずれかを選択します。ラベルの説明 (オプション) — テキスト ボックスに説明を指定します。
データ型 —
[string]
、[numeric]
、[logical]
(既定)、または[categorical]
の 1 つを選択します。カテゴリ — このフィールドは、[データ型] を
[categorical]
として指定した場合に表示されます。各カテゴリを 1 行ごとに入力します。既定の設定 (オプション) — 信号ラベルの既定値を指定します。
[logical]
ラベルの場合、[true]
と[false]
のいずれかを選択します。[categorical]
ラベルの場合、指定した任意のカテゴリを選択します。時間-周波数変換: スペクトログラム — このセクションは、[ラベル タイプ] を
[時間-周波数 ROI]
に指定した場合に表示されます。このセクションを使用して、時間-周波数のラベル付けに使用されるスペクトログラムのオプションを指定します。
このアクションはコマンド ラインで addLabelDefinitions
を使用することと同じです。
メモ
信号ラベラー セッションで作成した信号ラベルの定義を再利用する場合は、定義を MAT ファイルにエクスポートして、後続のセッションでインポートしなければなりません。
時間-周波数 ROI ラベルの定義用のスペクトログラム オプションの指定
時間-周波数 ROI ラベルの定義を作成するときは、ラベルを付けるスペクトログラムを計算するために、信号ラベラーのオプションを指定しなければなりません。信号ラベラーは既定のオプションを使用します。スペクトログラムのオプションを変更するには、[ラベル タイプ] で [時間-周波数 ROI]
ドロップダウン項目を選択し、[時間-周波数変換] の下にある [オプション] をクリックします。
スペクトログラム計算のために信号をセグメントに分割する方法として、漏れを制御する方法、分解能帯域幅を制御する方法、またはウィンドウの長さを制御する方法の 3 つがあります。詳細については、Spectrogram Computation in Signal Labelerを参照してください。次の表は、選択した方法に応じて指定できるパラメーターの一覧です。
オプション | 仕様 |
---|---|
分解能タイプ | 分解能タイプ — スペクトログラムの分解能タイプ。次のいずれかとして返されます。
|
漏れパラメーター | 漏れ — スペクトル漏れ。40 以下の非負のスカラーとして指定します。 時間分解能 — スペクトログラム計算での時間分解能を設定するモード。次のいずれかとして指定します。
分解能 — スペクトログラムの時間分解能 (サンプル単位)。正のスカラーとして指定します。 オーバーラップ (%) — 隣接するセグメント間でオーバーラップするサンプルの割合。100 未満の非負のスカラーとして指定します。 再割り当て — スペクトログラム値を再割り当てするオプション。このオプションを有効にすると、信号ラベラーは、時間と周波数の再割り当てを実行してスペクトル推定の局所化を鮮明にするようにスペクトログラム計算を設定します。再割り当て手法では、読み取りと解釈の容易なピリオドグラムとスペクトログラムが作成されます。この手法では、各スペクトル推定はビンの幾何学的中心ではなく、そのビンのエネルギー中心に再代入されます。この手法により、チャープとインパルスの厳密な局所化が行われます。 |
RBW パラメーター | RBW — スペクトログラム計算での分解能帯域幅を設定するモード。次のいずれかとして指定します。
ウィンドウ — ウィンドウ。 サイドローブの減衰 (dB) — チェビシェフ ウィンドウまたはカイザー ウィンドウのサイドローブ減衰量。20 (チェビシェフ ウィンドウ) 以上または 45 (カイザー ウィンドウ) 以上のスカラーとしてデシベル単位で指定します。 オーバーラップ (%) — 隣接するセグメント間でオーバーラップするサンプルの割合。100 未満の非負のスカラーとして指定します。 |
ウィンドウの長さパラメーター | ウィンドウの長さ — スペクトログラム計算でのウィンドウの長さを設定するモード。次のいずれかとして指定します。
ウィンドウ — ウィンドウ。 サイドローブの減衰 (dB) — チェビシェフ ウィンドウまたはカイザー ウィンドウのサイドローブ減衰量。20 (チェビシェフ ウィンドウ) 以上または 45 (カイザー ウィンドウ) 以上のスカラーとしてデシベル単位で指定します。 オーバーラップ (%) — 隣接するセグメント間でオーバーラップするサンプルの割合。100 未満の非負のスカラーとして指定します。 NFFT — スペクトログラム計算での離散フーリエ変換 (DFT) 点の数を設定するモード。次のいずれかとして指定します。
|
パワー パラメーター | パワーの下限 (dB) — スペクトログラムの最小パワーしきい値を設定するモード。次のいずれかとして指定します。
スペクトル (dB) — スペクトログラムの振幅にデシベルを使用するオプション。無効にすると、信号ラベラーによって次のいずれかの時間-周波数表現を使用するオプションが設定されします。
|
スペクトログラム オプションを使用して時間-周波数 ROI ラベルの定義を作成すると、時間-周波数のラベル付けに指定されたスペクトログラム オプションが信号ラベラーによってロックされます。スペクトログラム オプションがロック解除されている間はラベルの描画ができません。
ラベル付けを行う前に、スペクトログラム オプションのロックを解除してさらに変更するには、ラベルの定義を編集するか、スペクトログラムの表示設定のロックを解除します。
ラベルの定義を編集してスペクトログラム オプションを変更するには、時間-周波数 ROI のラベルの定義を選択し、[ラベラー] タブの [ラベルの定義] セクションで [編集] ボタンをクリックするか、ラベルの定義を右クリックして
[編集]
を選択し、[時間-周波数変換] の下にあるロック アイコンをクリックし、[オプション] をクリックします。スペクトログラム表示設定のロックを解除してスペクトログラム オプションを変更するには、[表示] タブの [スペクトログラム] ボタンを切り替え、[スペクトログラム] タブにあるロック アイコンをクリックします。
サブラベルの定義の作成
サブラベルの定義を追加するには、[ラベルの定義] ブラウザーで定義を選択し、[ラベラー] タブで [定義の追加] をクリックし、[サブラベルの定義の追加]
を選択します。ダイアログ ボックスの上部に、サブラベルを追加するラベルの名前が [親の名前] として表示されます。
このアクションはコマンド ラインで addLabelDefinitions
を使用することと同じです。
メモ
ラベルは任意の数の "サブラベル" をもちます。サブラベル自体がサブラベルをもつことはできません。時間-周波数 ROI ラベルの定義はサブラベルをサポートしていません。
ラベルまたはサブラベルの編集
ラベルまたはサブラベルの定義を編集するには、[ラベルの定義] ブラウザーで定義を選択し、[編集] ボタンをクリックします。ダイアログ ボックスで、以下のフィールドを指定します。
ラベル名 — テキスト ボックスに値を指定します。
ラベルの説明 — テキスト ボックスに値を指定します。
カテゴリ — このフィールドは、[データ型] を
[categorical]
として指定した場合に表示されます。カテゴリを追加することはできますが、既存のカテゴリは削除できません。新しいカテゴリそれぞれを 1 行ごとに入力します。既定の設定 — 信号ラベルの既定値を指定します。
[logical]
ラベルの場合、[true]
と[false]
のいずれかを選択します。[categorical]
ラベルの場合、指定した任意のカテゴリを選択します。既定値の編集は既存ラベルに影響しません。新しい既定値は、新しいメンバー、新しい領域、または新しい点にのみ適用されます。
時間-周波数変換: スペクトログラム — このセクションは、[ラベル タイプ] を
[時間-周波数 ROI]
に指定した場合に表示されます。このセクションを使用して、時間-周波数のラベル付けに使用されるスペクトログラムのオプションを指定します。スペクトログラム オプションが既に指定されている場合、オプションがロックされている可能性があります。オプションのロックを解除して編集することはできますが、オプションを編集すると既存の時間-周波数ラベルとの互換性がなくなる可能性があることに注意してください。
[ラベル タイプ] または [データ型] フィールドは変更できません。ラベルの定義のラベル タイプまたはデータ型を変更するには、定義を削除して、目的のプロパティを持つ定義を追加します。
このアクションはコマンド ラインで editLabelDefinition
を使用することと同じです。
ラベルまたはサブラベルの削除
ラベルまたはサブラベルの定義を削除するには、[ラベルの定義] ブラウザーで定義を選択し、ツールストリップで [削除] ボタンをクリックします。
このアクションはコマンド ラインで removeLabelDefinition
を使用することと同じです。