comm.OFDMDemodulator
OFDM 法を使用した復調
説明
OFDMDemodulator
オブジェクトは、直交周波数分割多重法を使用して復調します。出力は変調信号のベースバンド表現で、対になるオブジェクト OFDMModulator
に入力されたものです。
OFDM 信号を復調するには、以下の手順に従います。
メモ
R2016b 以降では、step
メソッドを使用して、System object™ によって定義された演算を実行する代わりに、引数を関数であるかのように使ってオブジェクトを呼び出すことができます。たとえば、y = step(obj,x)
と y = obj(x)
は同等の演算を実行します。
構築
H = comm.OFDMDemodulator
は、直交周波数分割復調法を使用して入力信号を変調する復調器 System object H
を作成します。
H = comm.OFDMDemodulator(
は、指定された各プロパティを指定値に設定して、OFDM 復調器オブジェクト Name
,Value
)H
を作成します。(Name1
,Value1
,...,NameN
,ValueN
) のように、追加の名前と値のペアの引数を任意の順番で指定できます。
H = comm.OFDMDemodulator(hMod)
は、OFDM 復調器オブジェクト H
を作成します。このオブジェクトのプロパティは対応する OFDM 変調器オブジェクト hMod
によって決まります。
プロパティ
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FFT の長さ NFFT は、変調処理で使用されるサブキャリアの数と等しくなります。 サブキャリアの数を指定します。既定の設定は |
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左右の保護帯域に割り当てられる保護帯域のサブキャリアの数。 左右のサブキャリアの数は [0,NFFT/ |
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パイロット信号を分離して追加の出力端子で送信できるようにするかどうかを制御する |
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CyclicPrefixLength プロパティは、OFDM サイクリック プレフィックス長を指定します。スカラーを指定した場合、プレフィックス長はすべてのアンテナのすべてのシンボルで同じになります。長さ Nsym の行ベクトルを指定した場合、プレフィックス長はシンボルごとに変えられますが、アンテナ長はすべて同じ長さのままです。既定値は |
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このプロパティは、シンボルの数 Nsym を指定します。Nsym は正の整数として指定します。既定値は |
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このプロパティは、OFDM 変調信号の受信に使用されるアンテナの数 NR を決定します。NR は正の整数として指定します。既定値は |
メソッド
info | OFDM 法の次元情報の提供 |
showResourceMapping | OFDM 復調器 System object で作成される OFDM シンボルの副搬送波マッピングの表示 |
step | OFDM 法を使用した復調 |
reset
を使用するとき、このメソッドは、前に処理されたフレーム内の最後のシンボルのウィンドウ処理されたサフィックスをリセットします。
例
アルゴリズム
直交周波数分割多重 (OFDM) 復調器 System object は、N 個の並列データ ストリームを提供する FFT 演算を使用して、OFDM 入力信号を復調します。
次の図は OFDM 復調器を示しています。N 個の一連の相関器から構成され、それらの相関器は後でパラレルからシリアルに変換されるそれぞれの OFDM サブキャリアに割り当てられています。
保護帯域と保護間隔
OFDM サブキャリアには 3 つのタイプがあります。データ、パイロットおよび null です。データ サブキャリアはデータの送信に使用され、パイロット サブキャリアはチャネル推定に使用されます。null サブキャリアでは送信は行われず、これにより DC null の提供と OFDM リソース ブロック間のバッファーを実現します。これらのバッファーは保護帯域と呼ばれ、符号間干渉を防ぐことを目的としています。null と保護帯域の割り当ては、標準によって異なります (たとえば、802.11n の場合は LTE の場合とは異なります)。その結果として、この OFDM 変調器オブジェクトでは必要に応じてサブキャリア インデックスを割り当てることができます。
保護帯域の概念と同様、OFDM 変調器オブジェクトは保護間隔をサポートしています。保護間隔は、信号の直交性が時間分散チャネルによって失われないよう、OFDM シンボル間に時間的な区切りを設けるために使用されます。保護間隔が遅延拡散よりも長い限り、それぞれのシンボルは他のシンボルに干渉しません。保護間隔は、サイクリック プリフィックスを使用して作成されます。サイクリック プリフィックスでは、OFDM シンボルの最後部がコピーされ、次の OFDM シンボルの最前部に挿入されます。サイクリック プレフィックス挿入の効果は、時間分散のスパンがサイクリック プレフィックスの期間を超えない限り持続します。OFDM 変調器オブジェクトによって、サイクリック プレフィックス長の設定が可能になります。サイクリック プレフィックスを使用する場合の欠点は、オーバヘッドの増加です。
参考文献
[1] Dahlman, E., S. Parkvall, and J. Skold. 4G LTE/LTE-Advanced for Mobile Broadband.London: Elsevier Ltd., 2011.
[2] Andrews, J. G., A. Ghosh, and R. Muhamed, Fundamentals of WiMAX, Upper Saddle River, NJ: Prentice Hall, 2007.
[3] IEEE Standard 802.16-2017. "Part 16: Air Interface for Broadband Wireless Access Systems." March 2018.
拡張機能
バージョン履歴
R2014a で導入