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ブレーキ テスト

このリファレンス アプリケーションは、スプリットミュー テストなどのブレーキ テストにおける車両運動モデル全体を表します。独自のバージョンを作成して、車両が通常および極端な運転条件下で設計要件を満たすことをテストするフレームワークを確立できます。このリファレンス アプリケーションは、走行およびハンドリングの調査やシャシー制御の開発で、ブレーキ テストにおける車両運動を特徴付けるために使用します。この操作や類似の操作の詳細については、SAE J299_200901 規格4 および ISO 21994:2007 規格5 を参照してください。

先進運転支援システム (ADAS) および自動運転 (AD) の知覚、計画、および制御ソフトウェアをテストするために、3D 環境で操作を実行できます。3D 可視化エンジンのプラットフォームの要件やハードウェアの推奨事項については、Unreal Engine シミュレーション環境の要件と制限を参照してください。

ブレーキ テストのリファレンス アプリケーションの作業コピーを作成して開くには、次のように入力します。

次の表は、リファレンス アプリケーションのブロックとサブシステムをまとめています。一部のサブシステムにはバリアントがあります。

リファレンス アプリケーションの要素説明バリアント

Straight Maneuver Reference Generator

直線操作を実行するための加速指令と制動指令を生成します。車両が縦方向速度の設定点に到達するまで、指定されたレートで加速が開始します。車両コントローラーは、縦方向速度の設定点を指定された時間または距離にわたって維持します。その後、コントローラーは車両を減速します。

必要に応じて、スプリットミュー テストにおけるブレーキ前の故障条件を指定します。車両速度、ステアリング角度、またはヨー レートがブレーキ前の許容範囲内でない場合は、ブロックが故障条件を設定します。既定値は ISO 145126 への準拠を表します。

Driver Commands

加速、制動、ギア、およびステアリングの各指令を生成するためにリファレンス アプリケーションで使用するドライバー モデルを実装します。

既定では、Driver Commands サブシステムのバリアントは Predictive Driver ブロックです。

Environment

一定または分割の摩擦係数のスケーリング係数など、風や道路による力を実装します。

Controllers

エンジン制御ユニット (ECU)、トランスミッション、アンチロック ブレーキ システム (ABS)、およびアクティブ デファレンシャルのコントローラーを実装します。

Passenger Vehicle

以下を実装します。

  • 車体、サスペンション、車輪

  • エンジン

  • ステアリング、トランスミッション、動力伝達装置、ブレーキ

Visualization

車両の軌跡、ドライバーの応答、および 3D 可視化を提供します。

3D 可視化を有効にするには、3D Engine ブロックのパラメーター [3D エンジン][有効] に設定します。

3D 可視化環境の最小ハードウェア要件については、Unreal Engine シミュレーション環境の要件と制限を参照してください。

既定のバリアントをオーバーライドするには、[モデル化] タブの [設計] セクションでドロップダウンをクリックします。[一般] セクションで [バリアント マネージャー] を選択します。バリアント マネージャーで、使用するバリアントに移動します。右クリックして [この選択肢を使用してオーバーライド] を選択します。

Straight Maneuver Reference Generator

Straight Maneuver Reference Generator ブロックは、直線操作を実行するための加速指令と制動指令を生成します。車両が縦方向速度の設定点に到達するまで、指定されたレートで加速が開始します。車両コントローラーは、縦方向速度の設定点を指定された時間または距離にわたって維持します。その後、コントローラーは車両を減速します。

[操縦パラメーター] を使用して、操縦開始時間、速度の設定点、加速度、および減速度を指定します。

必要に応じて、[追跡パラメーター] タブで、[ブレーキ前の逸脱追跡を有効にする] を選択します。パラメーターを使用して、スプリットミュー テストにおけるブレーキ前の故障条件を指定します。車両速度、ステアリング角度、またはヨー レートがブレーキ前の許容範囲内でない場合は、ブロックが故障条件を設定します。既定値は ISO 145126 への準拠を表します。

詳細については、Straight Maneuver Reference Generator を参照してください。

Driver Commands

Driver Commands ブロックは、加速、制動、ギア、およびステアリングの各指令を生成するためにリファレンス アプリケーションで使用するドライバー モデルを実装します。既定では、Reference Generator ブロックのパラメーター [操縦固有のドライバー、初期位置、およびシーンを使用] を選択すると、指定した操作のドライバーがリファレンス アプリケーションで選択されます。

車両指令モード設定

実装

Longitudinal Driver

Longitudinal Driver ブロック — 縦方向の速度追跡コントローラー。このブロックでは、基準速度とフィードバック速度に基づいて、0 から 1 までの間で変化する正規化された加速指令と制動指令を生成します。このブロックは、ドライバーの動的応答をモデル化したり、縦方向のドライブ サイクルを追跡するために必要な指令を生成したりするために使用します。

Predictive Driver (既定)

Predictive Driver ブロック — 縦方向の速度と横方向の基準変位を追跡するための正規化されたステアリング指令、加速指令、制動指令を生成するコントローラー。正規化された指令は -1 から 1 までの間で変化します。このコントローラーでは、シングルトラック (二輪) モデルを使用して、最適なシングルポイント プレビュー コントロールを行います。

Open Loop

ステアリング、加速、制動、およびギアの各指令の定数または信号ベースの入力に応じてリファレンス アプリケーションを構成できるように開ループ システムを実装します。

Environment

Environment サブシステムは、一定または分割の摩擦係数のスケーリング係数など、風や道路による力を実装します。

Road Track Friction ブロックの [Type of surface] パラメーターを使用して摩擦係数のスケーリング係数を指定します。

  • Constant friction coefficient scaling factor — 操作時の一定の表面摩擦

  • Split friction coefficient scaling factor — 2 つの摩擦係数

    スプリットミューのブレーキ テスト用の摩擦のスケーリング係数を指定するには、このオプションを選択します。有効化されたパラメーターを使用して、地面の摩擦係数と四角形表面の摩擦係数のスケーリング係数を設定します。

詳細については、Road Track Friction を参照してください。

このリファレンス アプリケーションには次の Ground Feedback バリアントがあります。

環境バリアント説明

Ground Feedback

3D Engine

Vehicle Terrain Sensor ブロックを使用して 3D 環境にレイ トレーシングを実装します。

Constant (既定)

Road Track Friction ブロック出力に基づいて、一定または分割の摩擦係数のスケーリング係数を実装します。

Controllers

Controllers サブシステムは、エンジン トルク、トランスミッション ギア、ブレーキ圧力、および差圧の各指令を生成します。

ECU

ECU コントローラーは、エンジン トルク コマンドを生成します。このコントローラーでは、エンジン トルク コマンドをモデル ワークスペース変数 EngRevLim で指定された値に制限することで過度の空ぶかしを防止します。既定では、この値は 7000 rpm です。差分トルク指令がエンジン トルク コマンドの制限を超えると、ECU はエンジン トルク コマンドを指令差分トルクに設定します。

Transmission Control

Transmission Controller サブシステムは、トランスミッション ギア指令を生成します。このコントローラーには次のバリアントがあります。

バリアント説明

Transmission Controller

Stateflow® のロジックを使用して車両加速度、車輪回転数、およびエンジン回転数に基づいてギア指令を生成するトランスミッション制御モジュール (TCM) を実装します。

Driver - No Clutch

開ループ トランスミッション制御。コントローラーはギア指令をギア要求に設定します。

PRNDL Controller (既定)

Stateflow のロジックを使用して車両加速度、制動指令、車輪回転数、エンジン回転数、およびギア要求に基づいてギア指令を生成するトランスミッション制御モジュール (TCM) を実装します。

Paddles

車両加速度とエンジン回転数を使用してギア指令を生成するパドル コントローラーを実装します。

Brake Pressure Control

Brake Controller サブシステムは、ブレーキ圧力指令を生成するための Brake Pressure Control サブシステムを実装します。Brake Pressure Control サブシステムには次のバリアントがあります。

バリアント説明

Bang Bang ABS

2 つの状態を切り替えて車輪滑りを調整する ABS フィードバック コントローラーを実装します。バンバン制御により、実際の滑りと望ましい滑りの間の誤差が最小限に抑えられます。望ましい滑りとして、コントローラーは mu スリップ曲線がピーク値に到達する滑り値を使用します。この望ましい滑り値は、制動距離が最小になる最適値です。

Open Loop (既定)

開ループ ブレーキ制御。コントローラーはブレーキ圧力指令を制動指令に基づく基準ブレーキ圧力に設定します。

Five-State ABS

操作をシミュレートするときの 5 状態の ABS 制御。1,2,3 5 状態の ABS コントローラーでは、車輪減速度と車両加速度に基づく論理スイッチを使用して各車輪のブレーキ圧力を制御します。

操作時の車輪のロックアップを防止したり、制動距離を短縮したり、ヨー安定性を維持したりするには、5 状態の ABS 制御の使用を検討してください。

既定の ABS のパラメーターは、次のいずれかである路面を想定して設定されています。

  • 摩擦係数のスケーリング係数が 0.6 で一定である。

  • 摩擦係数のスケーリング係数が 0.6 と 0.8 で分割である。

路面を指定するには、Environmentを参照してください。

Active Differential Control

Active Differential Control サブシステムは、差圧指令を生成します。指令を計算するために、このサブシステムには次のバリアントがあります。

バリアント説明

Rear Diff Controller

以下に基づいて差圧指令を生成するコントローラーを実装します。

  • ステアリング角度

  • 車両のピッチ、ヨー、ロール

  • 制動指令

  • 車輪回転数

  • ギア

  • 車両加速度

No Control (既定)

コントローラーを実装しません。差圧指令は 0 に設定されます。

Passenger Vehicle

Passenger Vehicle サブシステムには、エンジン、コントローラー、および四輪の車体が含まれます。具体的には、車両には次のサブシステムがあります。

Body, Suspension, Wheels サブシステムバリアント説明

PassVeh7DOF

PassVeh7DOF

四輪の車両:

  • 車体の自由度 (DOF) は 3 — 縦方向、横方向、ヨー

  • 各車輪の DOF は 1 — 回転

サブシステムには以下を含むタイヤのバリアントがあります。

  • Fiala

  • Magic Formula

PassVeh14DOF

PassVeh14DOF (既定)

四輪の車両。

  • 車体の DOF は 6 — 縦方向、横方向、垂直方向、ピッチ、ヨー、ロール

  • 各車輪の DOF は 2 — 垂直方向、回転

サブシステムには以下を含むサスペンションのバリアントがあります。

  • Double Wishbone

  • Independent Mapped Front

  • Kinematics and Compliance Independent Suspension

サブシステムには以下を含むタイヤのバリアントがあります。

  • Fiala

  • Magic Formula

  • Dugoff

Engine サブシステムバリアント説明

Mapped Engine

SiMappedEngine (既定)

火花点火 (SI) マップ エンジン

Steering, Transmission, Driveline, and Brakes サブシステム

バリアント説明

Driveline Ideal Fixed Gear

Driveline モデル

All Wheel Drive

全輪駆動、前輪駆動、後輪駆動、または後輪駆動アクティブ デファレンシャルの動力伝達装置を構成し、トルク カップリングのタイプを指定します。

Front Wheel Drive

Rear Wheel Drive

Rear Wheel Drive Active Differential (既定)

Transmission

Ideal (既定)

理想的な固定ギア トランスミッションを実装します。

Brake Hydraulics

NA

コントローラーがシリンダーに制動指令を適用するときの油圧システムのヒューリスティックな応答を実装します。前輪と後輪のバイアス係数が含まれます。サブシステムは、加えられた圧力をシリンダーのスプール位置に変換します。ブレーキ圧力を生成するために、スプールからシリンダーの下流側にフローが適用されます。

Visualization

シミュレーションを実行すると、Visualization サブシステムにより、ドライバー、車両、および応答の情報が提供されます。ステアリング、車両速度、エンジン回転数、横方向加速度などの車両信号のログが操作時にリファレンス アプリケーションで記録されます。ログに記録された信号をシミュレーション データ インスペクターを使用してインポートし、そのデータを調べることができます。

要素説明

Driver Commands

ドライバーの指令:

  • ハンドホイール角度

  • 加速指令

  • 制動指令

Vehicle Response

車両の応答:

  • エンジン回転数

  • 車両速度

  • 横方向加速度

  • ABS インジケーター

  • 横滑り防止装置 (ESP) インジケーター – トラクション制御システム (TCS) がアクティブであることを示す

Yaw rate、Brake Pressure、Velocity、Lat Accel

Scope ブロック

  • Yaw Rate — 時間に対するステアリング角度

  • BrkPrs — 時間に対するステアリング角度

  • VehWhlSpd — 時間に対する縦方向車輪回転数

  • <ay> — 時間に対する横方向加速度

Vehicle XY Plotter

車両の横方向の距離に対する縦方向の距離

ISO 15037-1:2006 ブロック

ステアリング ホイールの角度とトルク、縦方向と横方向の速度、横滑り角など、ISO 規格の測定信号をシミュレーション データ インスペクターに表示します。

Reference Generator ブロックの [3D エンジン] タブで [有効] を選択して 3D 可視化を有効にすると、車両の応答を Simulation 3D Viewer で表示できます。

カメラ ビューを滑らかに切り替えるには、次のキーボード ショートカットを使用します。

キーボード ショートカットカメラ ビュー

1

左後方

A diagram shows numbered key commands corresponding to camera views

 アニメーション GIF の表示

2

後方

3

右後方

4

5

内部

6

7

左前方

8

前方

9

右前方

0

その他のカメラ コントロールについては、次のキーボード ショートカットを使用します。

キーボード ショートカットカメラ コントロール
Tab

シーン内のすべての車両間でビューを切り替えます。

 アニメーション GIF の表示

マウスのスクロール ホイール

車両からのカメラの距離を制御します。

 アニメーション GIF の表示

L

カメラのラグ効果のオンとオフを切り替えます。ラグ効果を有効にすると、カメラ ビューに以下が含まれます。

  • 車両の並進加速度に基づく位置のラグ

  • 車両の回転速度に基づく回転のラグ

このラグにより、車両の加速と回転の全体的な可視化が改善されます。

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F

フリー カメラ モードのオンとオフを切り替えます。フリー カメラ モードを有効にすると、マウスを使用してカメラのピッチとヨーを変更できます。このモードを使用すると、車両の周りをカメラが旋回移動できます。

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参照

[1] Pasillas-Lépine, William. "Hybrid modeling and limit cycle analysis for a class of five-phase anti-lock brake algorithms." Vehicle System Dynamics 44, no. 2 (2006): 173-188.

[2] Gerard, Mathieu, William Pasillas-Lépine, Edwin De Vries, and Michel Verhaegen. "Improvements to a five-phase ABS algorithm for experimental validation." Vehicle System Dynamics 50, no. 10 (2012): 1585-1611.

[3] Bosch, R. "Bosch Automotive Handbook." 10th ed. Warrendale, PA: SAE International, 2018.

[4] J299_200901. Stopping Distance Test Procedure. Warrendale, PA: SAE International, 2009.

[5] ISO 21994:2007. Passenger cars — Stopping distance at straight-line braking with ABS — Open-loop test method. Geneva: ISO, 2007.

[6] ISO 14512:1999. Passenger cars — Straight-ahead braking on surfaces with split coefficient of friction -- Open-loop test procedure. Geneva: ISO, 2007.

参考

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