シミュレーション データ インスペクターにおける信号プロパティの変更
シミュレーション データ インスペクターでは、信号の表示単位、データ型、名前を変更できます。信号のデータ型を変更すると、シミュレーション データ インスペクターによってディスクに保存されている信号値が変換されます。シミュレーション データ インスペクターにおける信号プロパティの変更は、いかなるモデル、ファイル、ワークスペース変数にも影響しません。
元の信号データを保存するか、変更した信号データをエクスポートしてシミュレーションの入力として使用できます。シミュレーション データ インスペクターからデータをワークスペースまたはファイルにエクスポートできます。詳細については、ワークスペースまたはファイルへのデータのエクスポートを参照してください。
この例では、slexAircraftExample
モデルのシミュレーションによって得られたデータを使用します。この例のデータを生成するには、以下の手順を行います。
モデル
slexAircraftExample
を開きます。openExample('simulink_aerospace/AircraftLongitudinalFlightControlExample')
q, rad/sec
、Stick
、alpha, rad
信号をシミュレーション データ インスペクターのログに記録するには、モデルで信号を選択します。次に、選択項目を右クリックし、コンテキスト メニューから [選択した信号のログ] を選択します。Pilot ブロックをダブルクリックします。[波形] を
[正弦]
に設定し、[OK] をクリックします。モデルのシミュレーションを実行します。
信号の単位の変更
シミュレーション データ インスペクターの信号には、表示単位と保存された単位の 2 つの単位プロパティがあります。一貫性のある単位を使用してデータのセットを解析するには、信号の表示単位を変更します。シミュレーション データ インスペクターでは、信号の保存された単位と表示単位が異なる場合にデータが変換されて、信号は常に表示単位に一致する値を使用してプロットされます。指定する単位はシミュレーション データ インスペクター内の信号のプロパティに限定され、モデルの信号プロパティには影響しません。モデルの単位を指定する方法については、Simulink モデルでの単位の指定を参照してください。
slexAircraftExample
モデルではその信号の単位は指定しません。ただし、一部の信号名には、意図する単位を示すものがあります。
[検査] ペインで
alpha, rad
信号を選択します。選択した信号のプロパティを表示するには、[プロパティ] ペインを展開します。
信号についてラジアンの単位を指定するには、[プロパティ] ペインの [単位の表示] プロパティの横にある空のテキスト ボックスに
rad
と入力します。
Simulink® でサポートされている単位のリストについては、MATLAB® コマンド ウィンドウに showunitslist
と入力してください。
これで、シミュレーション データ インスペクターは alpha, rad
信号のデータが rad
の単位をもつと解釈するようになります。単位なしで信号の表示単位を指定すると、指定された単位によって保存されている単位の値も設定されます。Simulink が認識する単位を信号が一度もつと、シミュレーション データ インスペクターを使用して、サポート対象で互換性のある表示単位に信号を変換できます。単位を変更するために [単位の表示] テキスト ボックスをクリックすると、シミュレーション データ インスペクターに互換性のある単位がドロップダウン リストで表示されます。
alpha, rad
信号の表示単位を、ドロップダウンを使用するか、新しい単位を [単位の表示] フィールドに入力して deg
に変更します。単位を変更すると、シミュレーション データ インスペクターが変換を実行し、プロットが更新されて変換された信号値が表示されます。
1 つの測定タイプ (長さなど)、すべてのログに記録されたデータおよびインポート データに測定システムの単位または一貫性のある単位が使用されるように、シミュレーション データ インスペクターで単位の基本設定を構成することもできます。詳細については、信号の表示単位を参照してください。
メモ
信号の保存された単位を変換するには、関数 convertUnits
を使用します。単位の変換は元に戻すことができないため、精度が失われる場合があります。
信号のデータ型の変更
信号値への影響を解析するため、またはシミュレーションの入力として使用する信号を生成するために、信号のデータ型を変更することができます。シミュレーション データ インスペクターでデータ型を変換しても、モデルの信号プロパティには影響しません。信号のデータ型は、すべての組み込みデータ型に変換することができます。Fixed-Point Designer™ のライセンスを保有している場合は、固定小数点データ型にも変換できます。組み込みデータ型のリストについては、Simulink でサポートされているデータ型を参照してください。
メモ
精度の低いデータ型に変換すると、データの精度が低下し、復元は不可能になります。信号のデータ型を変更する前に、シミュレーション データ インスペクターのデータのコピーを保存することができます。詳細については、シミュレーション データ インスペクターのデータと表示の保存および共有を参照してください。
alpha, rad
信号のデータ型は double
です。このデータ型を single
に変換すると仮定します。まず、alpha, rad
信号を選択します。次に、[プロパティ] ペインを展開して、[データ型] プロパティの横の白いテキスト フィールドをクリックします。single
と入力するか、データ型のドロップダウンからそれを選択します。ドロップダウンの外をクリックすると、シミュレーション データ インスペクターがデータを変換します。
single
データ型は double
データ型より精度が低いため、シミュレーション データ インスペクターは不可逆的な桁落ちについて警告を返します。[Continue] をクリックします。プロットに表示される信号には目に見える変化はありません。元の信号のデータを保存していた場合、変換後の信号と比較して、データ型の変更による影響を解析できます。シミュレーション データ インスペクターのデータを比較する方法の詳細については、シミュレーション データの比較を参照してください。
固定小数点の変換
Fixed-Point Designer のライセンスを保有している場合、シミュレーション データ インスペクターの信号のデータ型を固定小数点データ型に変換することができます。関数 fixdt
を使用して、[データ型] プロパティのテキスト ボックスにデータ型を指定します。
信号名の変更
シミュレーション データ インスペクターで信号名を変更することができます。シミュレーション データ インスペクターで信号名を変更しても、モデルに指定されている信号名には影響しません。新しい名前の指定は、作業領域から、[アーカイブ] ペインから、または [プロパティ] ペインから行えます。信号名を変更するには、信号名をクリックして新しい名前を入力します。たとえば、[単位] プロパティに単位の情報が含まれるようになったため、alpha, rad
信号の名前を alpha
に変更します。
名前を変更した後に、シミュレーション データ インスペクターからデータをエクスポートすると、エクスポートされたデータには新しい名前が使用されます。