Simulink での MSK 信号の復元
この例では、Simulink® モデルを使用してチャネル劣化要因の観測と調整を行い、MSK 信号を復元する方法を説明します。
この例では、doc_commmsksync モデルを使用して、最小偏移変調 (MSK) で変調された信号に対し、タイミング位相オフセット、搬送波位相オフセット、および搬送波周波数オフセットを適用します。制御スイッチと信号表示を使用することで、シミュレーション結果を観測して設定を変更し、信号の復元を改善することができます。

doc_commmsksync モデルでは、MSK 変調された信号が送信され、劣化したチャネルでフィルター処理されます。このモデルには、次のサブシステムとブロック コンポーネントが含まれています。
MSK Source サブシステム — MSK Modulator Basebandブロックにより、Bernoulli Binary Generatorブロックから受信した等確率シンボルが変調されます。
Channel Model サブシステム — このチャネル モデルは、タイミング位相、周波数、および位相内に、個別に調整可能なオフセットを組み込みます。このチャネル モデルにはAWGN Channelブロックも含まれています。
Timing Recovery サブシステム — MSK-Type Signal Timing Recoveryブロックを使用して信号のタイミングが復元されます。
ビット エラー レート (BER) の結果を計算して表示するブロック
このモデルは、読み込み時、複数のブロックによって共有されるパラメーターを初期化します。
シミュレーションを実行すると、劣化要因の推定値と BER メトリクスがディスプレイに表示されます。Carrier Synchronizer ブロックは周波数と位相の両方を補正するため、推定位相オフセットの表示が急速に変動する場合があります。BER Metrics ディスプレイは、計算された BER、観測された誤りの数、および処理されたビットの数で構成される 3 要素ベクトルを表示します。
独立したConstellation Diagramブロックには、タイミングと位相が復元された受信信号が表示されます。このコンスタレーションでは、復元アルゴリズムの動作が視覚的にわかりやすく表現されます。効果を散布図にすぐに表示するには、シミュレーションの実行中に、復元方式のアルゴリズムの "制御スイッチ" を切り替えるか、[劣化要因] セクションの値を個別に調整します。定常状態の BER を計算するには、信号が定常状態に達した後に、[Reset BER] スイッチを使用して BER の計算を再開します。



さらに詳しく調べるには、以下の調査を行います。
周波数オフセットを 0 に設定し、表示された信号コンスタレーションと推定位相オフセットを観察する。
Carrier Synchronizer ブロックの QPSK コンスタレーションの位相オフセットが、入力 MSK 信号に対して 0 度に設定されていることを確認する。
MSK-Type Signal Timing Recovery ブロックの誤り更新ゲインを変化させ、ブロックの定数オフセットと時変オフセットの追跡機能を評価する。このブロックにアクセスするには、Timing Recovery サブシステムを開き、次に Timing Recovery Algorithm サブシステムを開きます。