インシリコ創薬では、計算モデルとシミュレーションを使用して医療機器を開発します。医療機器の研究開発に MATLAB および Simulink を使用すると、以下を行うことができます。

  • 仮想プロトタイピングとテストを可能にすることで、開発をスピードアップし、コストを削減する
  • シミュレーションによる早期の実現可能性調査を通して、医療機器の安全性と有効性を向上させる
  • 医療機器の承認申請向けに、計算モデリングとシミュレーション (CM&S) による調査から得た規制遵守の裏付けとなるエビデンスを提供する

「真っ白なキャンバスの状態から物理的な医療機器の臨床試験を行うまでの開発全体を 40 日間で終わらせることができたのは素晴らしい体験でした。」

製品開発のスピードアップとコスト削減

インシリコ創薬は、計算モデルによる仮想プロトタイピングとテストを可能にすることで、医療機器の研究開発における設計プロセスを大幅にスピードアップし、コストを削減します。このアプローチにより、コストのかかる物理的プロトタイピングや初期段階での臨床試験の必要性を最小限に抑えられます。開発プロセスの早い段階で潜在的な設計上の欠陥や失敗を特定できるため、反復作業を効率化し、コストを削減できます。

医療機器の安全性と有効性の向上

インシリコ創薬は、計算モデリングとシミュレーションを使用して徹底した安全テストと有効性評価を実現することで、医療機器の安全性と有効性を向上させます。これらのシミュレーションにより、潜在的な安全上のリスクや有害事象を特定できるほか、医療機器がある症状に対してどの程度有効な診断または治療を行えるかを早期に示すことができます。これにより、開発プロセスの早い段階で製品設計に改良を加え、臨床試験に向けて最も有望な構成に集中することができるようになります。

規制当局による承認の裏付けとなるエビデンスの提供

インシリコ創薬は、機器性能の包括的な妥当性確認、リスク評価、インシリコ臨床試験の結果を提供することで、医療機器の承認を得るための規制当局への申請を支援することができます。シミュレーション ベースのデータで従来の臨床データを補完し、特にさまざまな患者に個別に合わせたオーダーメイド医療のコンテキストにおいて、機器の安全性と有効性を示します。

インシリコ創薬のモデル例

以下のモデル例を使用して、インシリコ創薬のための MATLAB および Simulink を始めましょう。

医療用人工呼吸器と肺のインシリコ創薬のモデル例。

Simscape による医療用人工呼吸器モデル

この例では、肺モデルを使用した気道陽圧 (PAP) 医療用人工呼吸器システムを示します。これは、医療用人工呼吸器や PAP 装置を取り扱う設計者にとっての開始点となります。

ECMO/人工心肺と心臓血管系のインシリコ創薬のモデル例。

Simscape による ECMO 装置を使用した心臓血管系

心臓血管モデルを使用すると、人間の心臓血管系の流れと圧力をシミュレーションすることができます。このモデルは、ECMO 装置や人工心肺装置の開発に使用することができます。

人工膵臓と糖尿病患者のインシリコ創薬のモデル例。

ファジィ論理コントローラーを使用した人工膵臓

この例では、人工膵臓を制御するファジィ推論システム (FIS) ツリーを設計および最適化する方法を示します。このモデルは、持続血糖モニタリング (CGM) システムおよびインスリンポンプの開発に使用することができます。

透析装置と腎臓のインシリコ創薬のモデル例。

Simulink による透析装置

このモデルは、Simulink と Stateflow を使用した血液透析装置の限外濾過制御システムを示しています。このモデルは透析装置の開発に使用することができます。

輸液ポンプと血流のインシリコ創薬のモデル例。

輸液ポンプのモデルベースデザインと検証

このモデルは、流量制御システムを使用した輸液ポンプを示しています。これは、輸液ポンプなどのセーフティ クリティカルな医療機器の検証と妥当性確認に使用することができます。

ペースメーカーを使用した電気生理学的心臓のインシリコ創薬のモデル例。

Simulink によるペースメーカーを使用した電気生理学的心臓モデル

このモデルは、Simulink によるペースメーカーを使用した電気生理学的心臓を示しています。このモデルは、閉ループテストを行う、ペースメーカーやその他の心調律管理 (CRM) 機器の開発に使用することができます。