小信号解析
パワー エレクトロニクス モデルの線形近似を計算
パワー エレクトロニクス モデルの線形近似を計算
小信号解析を行うと、スイッチング電源などの非線形パワー エレクトロニクス システムの動作を、対象の操作点の周辺で線形時不変 (LTI) モデルを使用して近似できます。小信号解析は、従来の制御理論をパワー エレクトロニクス システムに適用するために有効なステップです。これには、システムの伝達関数や状態空間モデルなどの LTI 表現が必要です。
昇圧コンバーターや降圧コンバーターなど、よく知られた単純なトポロジでは、等価な LTI システムを解析的に導出できます。ただし、非標準のコンバーターのトポロジや複雑なパワー エレクトロニクスシステムに統合されたコンバーターの場合、解析的な導出には非常に時間がかかり、誤りも発生しやすくなります。
産業分野で行われる小信号解析の一般的なアプローチは、パワー エレクトロニクス システムのシミュレーション モデルを構築し、周波数応答の推定を使用することです。周波数応答の推定は、まず、決められた振幅と周波数成分の小さな摂動信号を操作点周辺の入力に重ね合わせ、そのとき発生する摂動に対するシステム応答を測定します。次に、摂動信号と測定された出力信号を使用して、操作点近傍のシステム ダイナミクスを表す周波数応答または伝達関数を計算します。
昇圧コンバーターの小信号解析。昇圧コンバーターは、Simscape Electrical と Simulink でモデル化されています (上)。Simulink Control Design を使用して、sinestream 摂動信号をモデルに組み込み (左下)、周波数応答を計算します (右下)。
さまざまなタイプの入力信号をモデルに組み込み、周波数応答を計算できます。
システムの周波数応答または伝達関数を計算したら、補償器を設計し、線形モデルに対して評価できます。さまざまな操作条件 (異なる目的の出力電圧のレベルや異なるデューティ比など) で小信号解析を繰り返すことにより、それぞれの操作点周りの動作に適したコントローラを構築できます。そして、それら全てを合わせてゲイン スケジュール されたコントローラーを設計すると、目的の操作範囲全体でパワー エレクトロニクス システムを操作できます。
Simulink では、次のような作業が可能です。
Simulink を使用してパワー エレクトロニクス制御を電気自動車、再生可能エネルギー、バッテリーシステム、電力変換、およびモーター制御に適用するための学生、研究者、エンジニア向けの MathWorks コミュニティ。
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