Sensor Fusion and Tracking Toolbox™ には、複数のセンサーからのデータを融合して状況認識や位置推定を維持するシステムの設計やシミュレーション、テストを行うためのアルゴリズムやツールが付属しています。参照例を元にして、監視および自律システム (空中、宇宙、地上、船上、水中のシステムなど) 向けにマルチオブジェクト追跡やセンサーフュージョン開発を行うことができます。
アクティブ/パッシブレーダー、ソナー、Lidar、EO/IR、IMU、GPS といった実際のセンサーのデータを融合することができます。また、仮想センサーから合成データを生成して、さまざまなシナリオでアルゴリズムをテストすることもできます。このツールボックスには、グリッドレベルおよび検出レベルと、オブジェクトレベルまたはトラックレベルの融合を組み合わせたアーキテクチャを評価するためのマルチオブジェクト トラッカーおよび推定フィルターが含まれています。また、グラウンド トゥルース シーンに対するパフォーマンスを検証するためのメトリクス (OSPA、GOSPA など) も用意されています。
このツールボックスは、シミュレーションの高速化やラピッド プロトタイピングのための、C および C++ コード生成をサポートしています。
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空域監視
レーダー、ADS-B、EO/IR センサーなどのアクティブセンサーやパッシブセンサーからのデータを使用して、複数のオブジェクトを追跡します。操縦対象物に対応できるようにトラッカーをカスタマイズします。
宇宙監視
レーダーセンサーからのデータを使用して、複数の宇宙飛行物体を追跡し、宇宙状況認識を生成します。トラッカーで、ケプラー運動モデルや他の軌道モデルを使用するよう設定することができます。
地上監視と海洋監視
高解像度レーダーと Lidar センサーを使用して、地上および海洋アプリケーションの拡張オブジェクトを追跡します。
単一センサー追跡
スマートセンサーで必要になる処理を実行するために、マルチオブジェクト トラッカーをモデル化してシミュレーションします。たとえば、生データをオブジェクトのトラックリストに変換します。
集中型フュージョン
複数のセンサーやセンサーモダリティからのデータを融合した集中型トラッカーを使用して、拡張オブジェクトを追跡します。確率仮説密度 (PHD) トラッカーを使用して、移動オブジェクトの運動学と、オブジェクトの次元および方向を推定します。複雑な都市環境では、グリッドベースのランダム有限集合 (RFS) トラッカーを実装して、各グリッドセルの占有率とその運動学を追跡します。
トラックレベル フュージョン
環境をより包括的に推定できるように、複数の追跡源からのトラックを融合します。帯域幅制約のあるシステムや、陳腐化した結果を取り除くために流言制御を採用したシステムのトラック間フュージョンのアーキテクチャを評価します。
推定フィルターとデータ関連付け
線形/非線形のカルマンフィルター、マルチモデル フィルター、粒子フィルターなどの推定フィルターの豊富なライブラリを使用して、オブジェクトの状態を推定します。2D 割り当て問題や S-D 割り当て問題に対する最適解または k-best な最適解を求めます。検出を検出、検出をトラック、トラックをトラックに割り当てます。
マルチオブジェクト トラッカー
推定フィルター、割り当てアルゴリズム、トラック管理ロジックをマルチオブジェクト トラッカーに統合し、検出をトラックに融合します。センサーデータを検出形式に変換し、シンプルなシナリオにはグローバル最近傍 (GNN) トラッカーを使用します。測定の曖昧さが存在する密接ターゲットの追跡など、難易度の高いシナリオでは、同時確率データ結合トラッカー (JPDA)、多重仮説トラッカー (MHT)、または PHD トラッカーに簡単に切り替えることができます。
拡張オブジェクトとグリッドベースのトラッカー
PHD トラッカーを使用して、拡張オブジェクトの運動学、サイズ、方向を追跡します。Lidar やレーダー点群などの高解像度センサーデータを使用して、グリッドベースの RFS トラッカーで追跡し、複雑な都市環境におけるグリッドセルの動的特性を推定します。
トラックレベル フュージョン
追跡センサーや他のトラック間フュージョン オブジェクトによって生成されたトラックを融合します。帯域幅に制約のあるシステムにおける分散型追跡システムの構築流言伝播を抑え、陳腐化したトラッカーの結果を削減します。
フュージョンのアーキテクチャ
トラッカー アーキテクチャについて詳しく調べ、トラック間フュージョンや中央レベルの追跡、ハイブリッド追跡アーキテクチャの間の設計トレードオフを評価します。静的 (検出) フュージョンを使用して、IR や ESM、バイスタティック レーダーなど、角度のみのセンサーやレンジのみのセンサーによる検出を組み合わせることができます。
オブジェクトの軌跡と姿勢の生成
Tracking Scenario Designer アプリで対話的にシナリオを定義し、さまざまな参照フレーム内のオブジェクトの真の位置や速度、方向を定義して変換する MATLAB スクリプトを生成します。
アクティブ/パッシブ センサーモデル
アクティブセンサー (レーダー、ソナー、Lidar など) をモデル化して、オブジェクトの検出を生成します。方位角、高度、またはその両方において、機械的および電子的なスキャンをシミュレーションします。レーダー警報受信機 (RWR)、電子戦支援装置 (ESM)、パッシブソナー、赤外線センサーをモデル化し、追跡シナリオで使用するために角度のみの検出を生成します。エミッターとセンサーを搭載したマルチスタティック レーダーとソナーシステムをモデル化します。
モンテカルロ シミュレーション:
さまざまなランダムノイズ値を使用して、モンテカルロ シミュレーションを行います。グラウンド トゥルースとセンサーの構成に摂動を与えることで、テストのロバスト性が向上します。
INS センサーモデル
慣性計測装置 (IMU)、GPS、高度計、および INS センサーをモデル化します。モデルの温度やノイズ特性などの環境パラメーターを調整して、実際の環境をエミュレートします。
方向推定
加速度計と磁力計の測定値を融合して、電子コンパス (eCompass) をシミュレーションします。加速度計、ジャイロスコープ、磁力計の測定値を姿勢方位基準装置 (AHRS) フィルターと融合し、方向を推定します。
姿勢推定
慣性センサーおよび GPS を使用して、非ホロノーム方位拘束の有無による姿勢を推定します。GPS を使用せずに姿勢を決定するには、慣性センサーと、高度計またはビジュアル オドメトリを融合します。
シナリオの可視化
オブジェクトの方向や速度、グラウンド トゥルースの軌跡、センサーの測定値、トラックを 3D でプロットします。検出とトラックの不確実性をプロットします。過去の追跡痕でトラック ID を可視化します。
センサーおよび追跡メトリクス
トラックの長さ、トラックの途切れ、トラック ID のスワップなどの、トラック確立、維持、および削除のメトリクスを生成します。位置や速度、加速度、ヨーレートの二乗平均平方根誤差 (RMSE)、または二乗平均正規化推定誤差 (ANEES) を使用して、トラックの正確性を推定します。OSPA と GOSPA メトリクスを統合して、性能を 1 つのスコアにまとめます。アラン分散を使用して、慣性センサーノイズを解析します。
フィルターとトラッカーの調整
割り当てしきい値やフィルター初期化関数と、確認および削除のしきい値など、マルチオブジェクト トラッカーのパラメーターを調整して、性能を最大限に高めます。異なるトラッカーやトラッカー構成間で結果を比較します。INS フィルターを自動調整して、ノイズパラメーターを最適化します。
コード生成
MATLAB Coder™ を使用して、シミュレーションの高速化やデスクトップ プロトタイピングのために、C/C++ コードおよび MEX コードを生成します。コスト計算のしきい値を適用して、割り当てコストの計算にかかる時間を短縮します。