Aerospace Blockset

    大気圏内の飛行体のモデル化

ブロックを使用すると、さまざまな飛行条件や環境条件下での大気圏内における飛行プラットフォームのダイナミクスのモデル化、シミュレーションの実行、システムの挙動の把握が可能です。

質点、3 自由度、および 6 自由度の運動方程式

運動方程式ブロックを使用して、不変質量または可変質量による大気圏内飛行体の質点と 3 自由度および 6 自由度のダイナミクスをモデル化し、シミュレーションします。また、機体、風、地球中心地球固定 (ECEF) 座標系の運動方程式の表現を定義できます。モデルの整合性を確認するため、座標系間の変換および単位変換を行います。

6 自由度を矢印で示した飛行体の 3D 表現。

航空宇宙機のための機体固定座標系。

Data Compendium 導関数

デジタルの Data Compendium (DATCOM) 空力係数を MATLAB® にインポートして、固定翼機ジオメトリをモデル化します。次に、Simulink® で機体にかかる空気力学的な力やモーメントをシミュレーションします。

DATCOM の空力係数をインポートして作成した飛行中の固定翼機。

DATCOM の空力係数の使用例。

リファレンス アプリケーション

すぐにシミュレーション可能な例を使用して、Aerospace Blockset で航空機のダイナミクスをモデル化する方法をご紹介します。

バッテリー容量とペイロードのスイープを示すプロットを持つハイブリッド電気航空機のモデル。

ハイブリッド航空機向けダイナミクスのモデル例。

宇宙船のシミュレーション

CubeSat Vehicle および Spacecraft Dynamics ライブラリ ブロックを使用して、小型衛星の運動およびダイナミクスをモデル化、シミュレーション、解析、可視化します。太陽系の天体暦データを使用して、ユリウス暦の特定の日の天体の位置と速度を計算し、地球の章動と月の秤動について表現します。

CubeSat および宇宙船ダイナミクス

衛星やコンスタレーションの運動とダイナミクスをモデル化します。さまざまなレベルの忠実度で軌道を伝播し、機体の姿勢操作に必要な回転を計算します。Aerospace Toolbox の satelliteScenario オブジェクトを使用して、軌道を可視化し、高レベルのミッション プランニングを行います。

Orbit Propagator ブロックでモデル化された衛星コンスタレーションの可視化。

惑星暦

Simulink で、NASA Jet Propulsion Laboratory (JPL) から取得したチェビシェフ係数を使用して、ユリウス暦の特定の日における太陽系小天体の、特定の物体中心に対する相対的な位置と速度について表現します。地球の章動と月の秤動を組み込むことにより、モデルの精度を向上させることができます。

天体の動きを計算し、地球の章動と月の秤動を実装するためのブロック。

太陽系の天体の属性を表現するブロック。

リファレンス アプリケーション

すぐにシミュレーションできる宇宙船の例を使って始めます。

Orbit Propagator ブロックを使用した Simulink モデル。

すぐにシミュレーションできる、衛星軌道の高レベルなミッション計画を提供する例。

GNC および飛行解析

テンプレートや関数を使用して、航空宇宙機の動的応答に関する高度な解析を行い、GNC ブロックを使用して飛行の制御や調整を行います。

誘導、ナビゲーション、および制御

誘導ブロックでは、2 機の機体間の距離を演算できます。ナビゲーション ブロックでは、加速度計、ジャイロスコープ、慣性計測装置 (IMU) をモデリングできます。制御ブロックでは、航空宇宙機の運動を制御できます。

手のひらサイズのドローンの GNC モデルの例。

飛行制御解析

Aerospace Blockset および Simulink Control Design™ を使用して、航空宇宙機の動的応答の高度な解析を実行できます。初回使用時にはテンプレートを使用し、関数を使用して MIL-F-8785C 規格および MIL-STD-1797A 規格に基づいて Simulink でモデル化された機体の飛行特性の計算と解析を実行します。

6 自由度の De Havilland Beaver の飛行特性を解析するための Simulink モデルの例。

解析開始時には組み込みテンプレートを使用。

環境モデル

検証済みの環境モデルを使用して、標準大気、重力、磁場のプロファイルを表現したり、標準的な風況を実装したりできます。

大気

ブロックを使用して、International Standard Atmosphere (ISA) や 1976 Committee on Extension to the Standard Atmosphere (COESA) の大気モデルなど、標準大気の数学表現を実装できます。

飛行中の De Havilland Beaver と COESA 大気モデルブロック。

COESA 大気モデルを使用した De Havilland Beaver の例。

重力と磁場

標準的なモデルを使用して、重力や磁場を計算します。Environment ライブラリのブロックでは、EGM2008、WMM2020、IGRF13 などの Earth Geopotential Model、World Magnetic Model、International Geomagnetic Reference Field を実装することができます。また、アドオン エクスプローラー を介してダウンロード可能なジオイドデータを基に、高さや起伏を計算することもできます。

International Geometric Reference Field の第 13 世代を使用した地球の磁場強度。

IGRF-13 磁場モデルを使用して、地球の磁場と永年変化を計算します。

MIL-F-8785C、MIL-HDBK-1797、および U.S. Naval Research Laboratory Horizontal Wind Models (HWM) の標準による数学表現などを適用し、飛行シミュレーションで風の影響を考慮します。

ウィンドシア、突風、乱気流の発生をシミュレーションした HL-20 の着陸。 

飛行の可視化

標準的なコックピット計器を使用したり、そのシミュレーションを FlightGear フライト シミュレーターに接続したりすることにより、機体の飛行力学を可視化します。

飛行計器

飛行計器ブロックを使用してナビゲーション変数を表示できます。対気速度計、上昇率計、排気温度計、高度計、人工水平儀、旋回傾斜計などの Flight Instruments ライブラリのブロックを使用することができます。

飛行計器ブロックで飛行データを表示。    

フライト シミュレーター インターフェイス

FlightGear フライト シミュレーターとのインターフェイスを使用して、航空宇宙機のダイナミクスを 3D 環境で可視化します。まずは NASA の HL-20 リフティングボディ宇宙往還機を使用した実行例をご覧ください。

FlightGear インターフェイスを用いた Simulink でモデル化された航空機の可視化。

FlightGear での HL-20 のシミュレーションの可視化例。

機体コンポーネント

線形および非線形のアクチュエーターなどの機体コンポーネント、人間のパイロットの挙動、エンジンシステムをモデル化します。

アクチュエーター

固有振動数、減衰比、レートの制限、偏差の制限に基づいて線形および非線形のアクチュエーターを表現します。

単一の入力と出力を示す Nonlinear Second-Order Actuator ブロック。

非線形アクチュエーターを、そのダイナミクスを導き出すことなくモデル化します。

パイロットモデル

伝達関数を使用して動的モデル内でパイロットの応答を考慮し、パイロットの反応時間を表現します。パイロットモデル ライブラリには 3 種類のブロックが含まれていて、双一次 (Tustin) 変換、精度、交差の各モデルを実装できます。

2 つの入力と 1 つの出力を示す Tustin Pilot Model ブロック。

双一次 (Tustin) 変換パイロットモデルの伝達関数を表現するブロック。

エンジンシステム

Turbofan Engine System ブロックは、特定のスロットル位置、マッハ数、高度における制御されたターボファン エンジン システムの推力および燃料の質量流量を計算します。

エンジンの推力と燃費フローを計算する Turbofan Engine System ブロック。

エンジンとコントローラーの両方を含む Turbofan Engine System ブロック。